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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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書庫室へ sideフィリア→ダン

「とりあえずこれで説明は終わりだな。

 細かいことは、午後からの講習で、ある程度説明はあるが、冊子に1度目を通しておいた方が理解しやすいと思う」


 ピコピコハンマーはそんなに痛くはないと思うが、ダンさんは頭を摩りつつ、話を終えた。

 なんとも締まりのない入国審査だった。と言うか審査らしいことは殆どされてないような?

 まぁ郷に入っては郷に従えだ。事務方トップが終わりというのなら終わりなのだろう。


「わかりました。えぇっと冊子を読める場所はありますか?」


 ここは、事務局長の執務室。ずっと占拠しているわけにはいかない。


「ここで良いんじゃないか?? 

 午前中はこれ以外に、仕事を入れてなかったし。

 まぁ落ち着かないなら隣は書庫室だから、そっちでも良いぞ。書庫室ある本は特に禁書でもないから、好きに読んでくれ」


 ダンさんが私から見て右側の扉を指した。

 事務長の午前予定が私だけというのは、さすが教皇様のお陰で、高待遇だ。申し訳ない気持ちになりつつも、聞き捨てならないお言葉を聞いた!

 なんですと!? 本、読み放題!?

 いやいやいや!! ダンさんの仕事の邪魔になるでしょう?

 でもでも!! 執務室の隣だし、扉を閉めれば邪魔にならない?? 事務局長の書庫室にある本……今読まないと一生拝めない本があるかもしれない……。

 なら、答えは一つだ!


「いっ良いのですか!?」

「あっああ…いいぞ」


 私が、凄い勢いで返事をした為か、ダンさんがちょっと引いている。

 本の為なら気にしない。

 だってさ!! 未知の本に心躍るよね!?

 この気持ちわかるでしょう!?

 それに、執務室より、本に囲まれた書庫室の方が私にとっても落ち着くはずだ。

 とても有難い提案だった。


 私は退出の挨拶をして、迷わず隣の扉に手をかける。ダークブラウンの扉にある金色の取手を傾けて開けると、本独特の匂いが鼻を擽る。

 何という安心感だ。ルンルンで車庫室に入った。


 ◇◇◇

 sideダン


 あっという間にフィリアちゃんは書庫室に姿を消した。

 書庫室は防音効果の魔道具を設置しているためこちらの声は聞こえない。

 それにしても……さっきまであんなに緊張していたのが嘘のようだ。

 本好きなのは間違いなさそうだ。

 俺は騎士団の事務方トップという事もあり、書庫室には結構重要な魔道具の本もあったりするのだが、今回の事もあり、禁書の類は俺しか開けられない場所に保管しなおした。

 本来なら書庫室に人を入れた事なんてない。


 フィリアちゃんの事は、入国希望がでた時点で、素行調査が入っている。まぁ、アーレン王国の素行調査はかなり難しいが、あの方ならお茶の子サイサイだったみたいで、詳細なデータが送られてきた。

 ただ、いつもの素行調査とは違い、好きな食べ物やら趣味、嫌いな物等。普段必要のない物まで含まれていて驚いた。

 素行内容自体を見ると、特に問題ない人物だと分かってはいた。

 ただ、時々、高位貴族のビジターパスで来るような人は、素行調査すら改竄してくる場合もある。油断大敵だ。

 更に、総長から制限するな全て自由に、好きなようにと言うから、どんなお高いお貴族様が来るのかと思ったがそうではなかった。まぁそんな人達が住民パスを選択するとは思えない。私が面接した限りでは、人見知りではあるが、特に問題を起こすような人物ではなさそうだ。一先ず、安心か……。


 それにしても……あの人も総長も、フィリアちゃんに関しては、いつもと対応が違いすぎると思っていたが……。

 バネッサの様子もおかしかった。

 とても優しそうな目で扉を見ていたバネッサが、俺の視線を感じてこちらに視線をよこす。


「なにか言いたい事でも?」


 先程のテンション高めの元気っ子は鳴りを潜め、落ち着いたバネッサだ。

「なんかいつもと違わないか?」


 バネッサは元々、明るい性格で、ハキハキしていて、気が利く子ではあるが、今日は妙に元気と言うか、いつも以上に頑張っている気がしてならなかった。


「そっかぁ? 張り切っちゃったかもね?

 漸く会えて嬉しくて……。

 あっ、ダン! フィリアをいじめたら私が許さないからね!!」

「んな事しねぇよ!!」


 ギロリと睨んできたバネッサに思わず声を上げた。

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