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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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爆弾発言

 次の日にオリバーが休暇申請と爆弾発言をしてきた。

「フィリア様、少し休暇をいただきたく思っております。

 すぐに戻るつもりですが、念のため数日空けるとこになるかもしれません。

 その間、連絡が取れないかと思いますが、ルーチェ草の事に関しては遅延なく進んでおりますのでご安心ください。

 あまりにもフィリア様が、心配されているのでちょっと試練を覗いて来ようと思います」


 さらっと、最後に爆弾発言をしてくるオリバーに開いた方が塞がらない。えっ? 試練ってちょっと覗いてくるって言って覗けるものなの?? 私が驚いた。


「えっ? そんな事できるの?」


「おや? フィリア様はご存知かと思っておりましたが、失礼致しました。

 王家の方が開発した試練を援助出来るシステムですよ。

 本来なら援助する方と一緒に扉を潜るものですが、まぁなんとかなるでしょう。

 王家の方からもシステムを使う事にご快諾いただけましたので大丈夫ですよ」


 珍しくオリバーがキョトンとした顔をして首を傾げた。

 ちょっと可愛らしいと思ったが、普段のオリバーから考えるともしかしたらちょっと嫌味もあるかもしれない。

 そういえば、ルイス王子がそう言うのを兄上が開発したと言っていた様な気がする。

 ってか昨日の今日でそんな約束取り付けるなんて、オリバーって一体何者? 


 この国の事を網羅しすぎじゃない?

 有能過ぎる護衛騎士が少し怖く感じた。

 いつの間に王家とも関わり合いを持っていたの??

 そんな簡単に行けるものなの?

 メイソンさんと本当に会えるの?


 などなどいろんな疑問が浮かんできたけれど、当のオリバー本人は、飄々としてもう行く気満々だ。特に気後れしてる様子もない。

 私が呆気に取られて、?マークだらけになっているとオリバーは更に言葉を重ねてきた。


「私の事を心配してくださるのなら、ご一緒に行きますか?」


「えっ?」


 私も試練を覗きに行くの? 

 メイソンさんの事は心配だから気になるのは確かだけど……って、それなら私も試練に行くのと変わらないじゃない? 

 と言う事は戻ってきたら魔法使いになっている? 

 ならないと試練の扉から出て来れないのよね? 

 何を言い出すのかと、私はオリバーをジロリと睨み不貞腐れた。


「私は試練を受けないわ。このままでいいと言ってるでしょ?」


「……本当にそうでしょうか? 今のフィリア様は研究をしてとても楽しそうにされています。

 魔法使いになればもっと多くの研究が出来るのではないでしょうか?

 魅力的だと思いませんか?」


 オリバーはニッコリと笑ってこちらに無理な提案してくる。

 オリバーの言いたい事はわかる。魔力レベルが上がれば、魔力切れで出来なかった研究もあり、魔法使いになればその幅は広がるだろう。

 けれどこれは、半端者の居住区の維持のために始めた研究だ。

 研究は確かにちょっと心躍るが、私はひっそりと余生を過ごしたいのだ。


 研究者は発表すればとても目立つ存在だろう。

 お母様みたいに……。私は目立ちたく無い。

 今回の研究だって元々ジョアンナの交配して出来た薬草を研究させてもらっただけだ。

 この研究はジョアンナに権利がある。私はそれに関われただけで充分。

 オリバーのお陰で販路も確立されそうだし、上手くいけば居住区の予算はこれで足りる。

 余程、情勢が変わったりして新たな事を考えなければならないことも出てくるかもしれないが、まずは安泰だろう。

 無駄遣いせずに貯めておけばもしもの時にも考える時間くらいはあるはずだ。


 私は首を横に振った。

 オリバーは少し悲しそうな笑みを浮かべた後、すぐに元の顔になった。


「わかりました。気が変わりましたらいつでもおっしゃってくださいね。

 ジョアンナ様も今回の薬草の功績を自分の名前で発表されたくは無いとおっしゃっていましたし、こちらで良い人材を手配しましょう。

 心当たりもありますし」


 私は安堵した。オリバーの信頼出来る人なら、この研究を、悪いようにはしないだろう。

 と言うかオリバーがさせないだろう。

 オリバーに任せきりなのを申し訳ないと思いつつ、私はオリバーに感謝した。


「ありがとうオリバー。あなたがいてくれてよかった」


「……っ。……それでは数日以内に帰ってきますので、ご安心下さいね。

 その頃には全て整っているはずですので」


 オリバーは一瞬言葉に詰まったように思ったが、直ぐに有能な執事のように深くお辞儀をして去っていった。


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