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鑑定

 神殿は、前世の大聖堂に似た建物で、物凄く天井の高い、厳かで、神聖な場所だった。

 語彙力なくてごめん。白を基調とした建物で、所々金糸の模様があり、高級感がある。

 床は大理石でやたらコツコツ音が響く。何というか圧倒されるのだが、何かしらパワーをくれる何だか不思議な空間だった。とにかく場違いな気がして、落ち着かない。

 

 私はお母様の後ろに隠れながら進んだ。

初めての場所は苦手だ。心臓に悪い。

中身はおばさんだが、お母様の後ろに隠れていても、見た目は3歳、許されるはずだ。


 案内人の方に続くと、一つの部屋に辿り着いた。

 中に入るとそれほど大きくはない一室で、とてもシンプルな作りで、応接室として最低限のものが置かれているだけだ。

 以前侯爵家を訪れてくれたおじいちゃん神官さんが笑顔で迎えてくれる。


 「ほーっほっほ……。よく来なさった」


 ……私が後ろに隠れているのを笑われたのかもしれない。


 「大司教さま、本日はよろしくお願いします」

 

 お母様が頭を下げると同時に、私も慌てて頭を下げる。

 大司教……ってめちゃお偉い様?

 大司教様は白髪の長い髪を緩く後ろに束ねてお髭も白、高位の神服を着ていなければ、◯ンタさんだ。あっ不敬になるのかな。ごめんなさい。


 「まずはこちらに来なされ」


 お母様と私は大司教様とテーブルを挟んだ椅子に座った。


 「さて、まずは今の状態を確認しようかのぅ。……鑑定」


 大司教は徐に私の方に手を向けて、言葉を紡いだ。


 「ふむふむ、成果が出ておるな。結構、結構!」


 ……? はて? 私は何もしてなかったのですが……??


 「はい! 勿論でございます!!」


 お母様は勢いよく首肯する。


 ……むむむ? どういう事??


 「ほっほっほぉー、けっこう、けっこう!! レベル13に上がっとるわい、順調じゃ!!」


 えっ?! レベルいつの間に上がってるの??

 んぬぬ??


 大司教様とお母様の話を総合すると、この国では生まれてすぐに、魔力操作の補助と魔力暴走を起こさない様に腕輪が嵌められるのが通例である。

 成人するまでに体力、精神力、魔力制御を鍛えて、腕輪を外すのが魔法使いとして一人前になったと言える。

 私にも腕輪が嵌められており特に気にしてなかったのだが、どうやら私の腕輪は他の人とは効能が違うらしい。私の腕輪は、魔力制御に加えて、私に与えられた魔力を吸収して、純粋な魔素に変換して、私の魔力に更に変換されていた様だった。

  

 えっ? 私、レベル上がってるの?? 困ります!!


 そういえばお母様の研究内容に魔力の授受に関するものもあった気がする。

 お母様の専門は妊娠と魔力と試練との関係性だ。

 そういや、他にも本を読んでいるとお母様の書籍もあったなぁ。高位貴族であるお母様の仕事は多岐にわたる。

 高位貴族としての社交は勿論、王宮に関する仕事もある。お母様は研究者でもあり、論文もいくつも書いている。

 凄い! お母様の研究は妊娠と魔力と試練の関係性であり、安全に妊娠出産する事に関する内容だ。



 今、アーレン王国では王位魔法使いの人数がかなり減ってきている。

 それはこの国ができて、平和になり無理やりランクを、あげる必要が無くなった影響だ。

 平和なのは良い事だが、王位魔法使いはこの国の結界維持を担っているため、この国を存続させるためには必要不可欠な存在なのだ。



 ランクが上がる毎に試練があるとされているが、それは妊娠中、お腹にいる時でも変わらない。ただ違うのはお腹にいる時は、母親が代わりに受けているという事だ。

 母親が代わりにという事だが自分よりランクの低い試練に関しては殆ど問題ない。と言うか試練にならない。

 いつの間にかランクが上がっているのだ。なので自分より魔力のランクの低い、又は同じランクの子なら問題にならない。

 この国ができてからは、魔法使いは自分と同じランクの人と結婚する事が殆どなので問題にならない。ただ一つ王族を除いては。



 王族は王位魔法使いであり、結界の継続、管理を担っているので、必要不可欠な存在なのだが、今伴侶不足なのだ。

 それは王位魔法使いの女性がいないからだ。そこで、なるべく安全に妊娠中の試練を受けれるように、研究していたのがお母様だ。


 今の王太子妃のローザ様は高位魔法使いで、王位魔法使いではない。ただお母様の研究で一時的に王位魔法使いになり、そのお陰で第一王子は問題なく生まれた。

 私がお腹の中にいた時の緊急事態だったのは、ローザ様が第二王子妊娠中の時だ。

 ローザ様のレベルが急に不安定になり、一時的に更に魔力が必要になったとか。あれは想定外の事だった。

 


 試練には精神力、体力、魔力操作力、魔力量、適性が、全て必要になるみたいだが、ローザ様はとても素晴らしい方で魔力量以外は王位魔法使いの素質のある方だった。

 なのでその魔力量を補う事で出産を可能にしてたとの事。

 お母様はローザ様の足りない魔力を試練の時に補っていたらしいのだが、その魔力授受の腕輪の応用が今私がつけてる腕輪らしい。


 



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