人間関係は難しい
「そんな事ありませんよ。キャサリンさんは周りをよく見ていて、お話上手です。私は口下手なので、傷は癒せても心は癒せません。キャサリンさんは心の癒し要因ですね! 寧ろそちらの方がとても大切ですよ!」
キャサリンさんはぽっと出の私が気に入らないのは、レベル上げをしないくせにここにいる事もあると思う。キャサリンさんは、エイムの中でもやる気のある方で、挫けそうになる人達の話を聞いて、よく励ましている。
皆のアイドルのような存在で私としては微笑ましい。
けれど、レベル上げをする気のない私は、周りの士気を下げてしまう恐れもあるので、そう言ったところも気に入らないのだと思う。
「そんな事言っても、私は騙されないんだからね!」
キャサリンさんの態度はかたくなだ。一度ついた固定観念は中々変わらないのだろう。私はチヤホヤされる為に来たと、思われないように努力はした。
本当は鍛錬の技量は隠すつもりだったけれど、それはやめて男顔負けの技量で相手をバサバサ倒していったし、治療の時以外はなるべく他の人と関わらないようにして距離をとっていたのだが、あまり認められていないようだ。今思うと、レベル上げをしないのに私が剣技では1番強いことも納得いかないのかもしれない。対応を間違えた?
はぁ……結局、どうやっても私の存在自体が気に入らないのだろう。何をやっても同じだと思い、気にせず今はエイムとの関わりは最低限にしている。これが1番だと思った。人間関係……本当に私は前世も今世も下手だ。もっといい方法があるかもしれないが口下手なので、誤解されやすい。わからない時は、距離を縮めるより、離れた方がいい。
それに特にこの年代の男女間の問題は複雑でややこしい。恋愛要素が含むと尚更。些細な事がきっかけで、仲が良かった親友の亀裂が入ることもしばしばだ。やっぱり恋愛は苦手だ。そういう要素は排除したい。
私は更に男性全般にはよそよそしくするようになった。キャサリンさんの様に敵意を向け続けられるのは堪える。いっそ引き篭もろうかと思うが、一度引き受けた救護員はやめるわけにはいかない。救護員がいる事で士気が上がっている部分があるのは確かだと思う。私がやめればキャサリンさんが責められ、また私に矛先が向きそうだ。結局私の存在は士気を上げているのか……はたまた、下げているのかよくわからない。ただ私は他の人達と違う事は確かだ。
どうするのがいいのかわからないまま、何事も起こらず日々が過ぎ去っていってくれればいいと心から思った。
…………
鍛錬で手加減しなくなった理由はキャサリンさんのためだけではない。それはメイソンさんとバッカスさんに、諦めてもらいたいからだ。男の人にとって自分より強い女の人なんて嫌だろうし、男としてのプライドが、許さないのではないかと思ったからだ。
なので特に2人の場合は、必ず手加減せずに圧勝する様にしている。これは私の意思表示でもあるので、私の態度に表しているためか2人からの好意は薄れてきたのではないかと思っている。冷やかされない様になってきた気がするからだ。
ただ、プライドが許さないのか、2人の鍛錬は激しさを増してきた。私も、負けない様に更に鍛錬を積む事になった。現状維持でいいと思っていたが、向上心のある人達と鍛錬を積むと、更に伸びる気がする。これでグレゴリーさんに怒られないかなと思いつつ、日々鍛錬に打ち込んでいった。あれ? 結局レベル上げをしている事になる……?
私はどこに向かっているの?
…………
気まずく、不安定な関係のまま一年が過ぎた。以前以上に気を遣いながらの魔力移行の為、あれから誰もレベルは上がっていない。そんな時にある人物が面会に訪れた。事前に何人かを経由して面会予約をしていた為、驚きはしないが、相手の方が寧ろ私がここにいる事に驚いている様だった。私は以前の様にフードを被り、面会室に行った。
「お久しぶりですね。ご機嫌いかがですか? サーラ様」
「本当なのね……貴方が半端者なんて今でも信じられないわ。あんなにすごい魔法を生み出していたのに……」
面会に訪れていたのはサーラ様だった。
キャサリンはフィリアを、目の敵にしているので結局何をやっても気に入らない。フィリアは、最初、何とかしようと努力しましたが、実を結びませんでした。
フィリアは最初、目立たないでおこうと思っていたのに、そうするとチヤホヤしてもらう為に来たのだとキャサリンに誤解されてしまいそうだったので、鍛錬に身を入れましたが、今度はレベルを上げる気がないのに強すぎるのが気に入らない。あれこれして、迷走しています。
バッカスとメイソンは諦めていませんが、フィリアが好意に対して嫌がっているのを感じて押し殺しています。好きになってしまうと中々諦めきれないですね。特に閉鎖的な空間であれば尚更。
うまく書けていないと思いつつ、とりあえず先に進む事を、優先させました。伝わってなかったらすみません。




