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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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好意

 私は本当にゆっくりと魔力移行していたのでかなりの時間を要した。私がエイムに加入して、半年が経った頃漸くバッカスさんのレベルが18から19に上がった。

 私はゆっくり移行したのでバレないと思っていたのだが、上がった時の皆の反応が凄すぎてもっとゆっくりした方がいいのがわかった。何故か私のお陰だと皆が言い出したからだ。それほど居住区でレベルが上がるのは珍しいみたいだ。


「フィリアが来たお陰ね!!」


ケイティさんがバンバンとバッカスさんを叩きながら嬉しそうに言った。バッカスさんは、痛そうにしながらもとても嬉しそうだ。


「えっ? 私は関係ないです。バッカスさんの努力の賜物ですよ!」


私は急いで反論した。私の魔力移行がバレたら困る。私は目立ちたくないのだ。


「フィリアが治癒魔法で癒してくれるおかげで皆、いつも以上に頑張ってだからね!! フィリアが来て風向きが変わったと言うか……勿論いい風にだよ!!

一部の人はそれだけじゃないけど……ね?」


ケイティさんが意味ありげにバッカスさんとメイソンさんの方を向いてニヤニヤしている。

目線を送られた2人は少し赤い顔をして気まずそうな顔をして顔を逸らしていた。


うん。鈍い私でも分かる。2人は私に好意があるみたいだ。前世の旦那以来の好意。旦那以外にそんな感情を向けられた事がないのに、その旦那はこんな好意の向け方ではなかったので、私は反応に困った。

 今世の私は恋愛をするつもりはない。結婚も出産もしたくないのだ。そのために半端者でいるのに好意を向けられても申し訳ないが、困るだけだ。

 私は、みんなに冷やかされる度に困った顔になっていた。それを見て2人は、私は2人に対して好意が無いことは伝わっていると思う。それに私の小心者、人見知りの性格を知っているからか、無理に2人は距離を詰めてきたりしない。


 前世の旦那とは大違いだ。あやつはしつこかったから。しつこいけど絶妙な距離感が凄くて無理に追い返せなかった前世を思い出した。

 

 そんな事は置いといて、2人には直接好意を伝えられた事はない。小心者なので直接言われても困るのだけれど……。なので、何と言うか、うやむやになっているのだけれど、私は普段から恋愛はする気はない事をそれとなく言っている。

 半端者は恋愛してはいけないと言う事はない。半端者居住区内にも、婚姻している半端者同士の人もいるみたいだ。けれどそれは稀だ。この居住区は、神殿にくる寄付金で賄っている。居住区用の寄付金は殆どが半端者の関係者からだ。つまりは私達の家族から……。半端者はここに入っている限り、誰かに養われている事になる。私もそこは心苦しいと思っていた。それはどうにかならないか模索中だ。そんな環境での婚姻は更に私の中ではあり得ないと思っていた。元々今世は恋愛するつもりはないけど。


「バッカスさんの今までの努力のお陰に決まってるじゃない!! 

ぽっと出の誰かさんのお陰だなんてバッカスさんに失礼よ!!」


 むすっとした表情でこちらを睨んでいるのはエイムのメンバーのキャサリンさんだ。私が入ってくるまでは、女性の人は、ケイティさんとキャサリンさんしかおらず、ケイティさんは姉御肌という事もあり、女の子らしい子はキャサリンさんしかいなかった。

 キャサリンさんはそれまでかなりチヤホヤされていたらしく、私が入ってきた事により、自分だけではなくなったので、不快感を覚えている。

 紹介された当初から、刺々しい感じで仲良くなれていない。私としては同じ女性同士、仲良く出来ればと思っていたのだが、難しそうなので諦めた。なるべく関わらないようにしている。と言うより全てのエイムのメンバーにも、少し距離を空けている。

 私はエイムの人達と違ってレベル上げ目的で鍛錬をしていない。同じ目標に向かって鍛錬していない私は少し浮いていると思っている。なので必要以上に仲良くならないようにあくまで救護員としての立場を保っている。そういう、レベル上げの鍛錬をしていないのもキャサリンさんは気に食わないみたいだ。

 自分としてはチヤホヤされていないと思っているが、キャサリンさんにとって私は邪魔でしかないみたいだ。


「キャサリンさんの言う通りです。私はただの救護員でしかありませんので」


「いい子ぶっちゃって! また私が悪者ね!」


キャサリンさんの機嫌は今日はとても悪いみたいだ。

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