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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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本気度

ふぅ……。久々の剣の感触に、緊張感が出てくる。私は精神統一した後、基本の素振りと剣舞を始めた。


…………。思っていたよりも集中していた様で、ふと周りを見ると、他の練習組がポカンとした顔で私を見ていた。……あれ? やらかした?


「フィリアって、剣術が得意なのか?

基本的な素振りと、剣舞だったが綺麗で思わず見入ってしまった……」


メイソンさんが声をかけてきた。


「えぇっと? そうですか? 基本的な事しかしてないと思いますが……?」


特に身体強化して早くした訳でも力強さもなかったはずだ。体を慣らすために流れは大切にしたが、基本的な事しかしてないはず……?


「あぁ……うん。そうなんだが……なんと言うか流れる様な剣舞で早い訳でも力強さもないんだが……女性がやるとあぁなるのか?」


「ちょっと!! 私も女なんですけど?? フィリアの時と違いすぎない?? 私の剣舞もなかなかでしょ!!」


メイソンさんが独り言の様に呟いていると、横からケイティさんが突っ込んできた。ケイティさんの剣筋は真っ直ぐで力強い剣舞だ。サバサバしてるケイティさんは姉御肌で私も信頼できると思っている。私もケイティさんの方が凄いと思うのだが……?


「私もケイティさんの剣舞の方が早くて力強くて好きですよ」


「そうでしょう? 私の魅力がわからないなんて皆お子ちゃまだわ!! さぁさぁフィリアに見惚れてないで自主練に戻りなさい!!」


 皆私を見惚れていた……? 顔の造形は変えていないので今世の私は顔立ちはいいと思う。目立たない様にしようと思っていたのにもうつまずいてしまったのか? 次からはケイティさんの様に力強い剣舞をしようと心に決める。


なんだかんだ訓練に参加しつつ、時々治療して過ごす毎日が始まったのだった。

 


…………



 鍛錬に参加する様になって、エイムにもバラツキがあるのがわかった。半分くらいは真剣に上を目指している人、もう半分は諦めつつ最低限している人だ。

 ここにいる人達は成人している人ばかりだ。魔力レベルは成長期と同じで身長の伸びが止まると魔力レベルも上がりにくい。成人すると魔力レベルは上がりにくいのだ。諦めたくなるのも分かる。それでもここで鍛錬に参加する人達は、外に出たい人なんだと思う。


 ……。私がルイス王子にした様に、ここにいる皆に魔力を与えればそれは叶うのかもしれない。試練が無ければ私はこっそりみんなに魔力を与えていたと思う。


 半端者から魔法使いになる試練は特殊らしく、内容は定かではない。「とっても簡単だった」という人もいれば、「2度と受けたくはない」という人もいるし、試練の扉から未だに帰ってこない人もいる……。半端者の試練は心技体全てが必要と言われている。魔力を下手に与えて私のせいで帰って来ないとなると後味が悪すぎる。

 けれど……中にはとても思い詰めていて、鬼気迫る勢いで鍛錬している人もいる。メイソンさんとバッカスさんだ。バッカスさんもメイソンさんと同じくらいの歳で多分二十歳前後だ。メイソンさんよりは少し身長は低いがそれでも私が見上げるのには変わらない、がたいのいい人だ。バッカスさんはにかっと笑う明るい人でよく冗談を言って笑わせてくれる。それでいて誰よりも真剣に訓練に向き合っているのもバッカスさんだ。真面目な人だ。

 理由は聞いてないけど、2人のやる気は凄まじく、私が治癒魔法を使うのも殆どがこの2人だ。私の治癒魔法がまぁまぁ使える事が分かると2人は自重せず、激しい打ち合いをする様になり、頻繁に怪我をする様になった。

 少しは体を労って下さいと言っているが、あまり聞く耳を持たない。ケイティは「良いところ見せたいのよ」と言うけれど、怪我をするのはたとえ治ったとしても痛いのだ。無理は禁物。けれど、あんなに真剣に取り組んでいるあの2人なら試練を無事受けて戻って来れるのではないかと思った。

 私はこっそり治癒魔法の為と言いつつ、魔力移行を行い始めた。最初、魔力制御の腕輪を外すとやはり驚かれたが、あまりにも怪我が多いのでこの方が治癒魔法の効率がいいと言えば、一応納得はしてくれた様だ。勿論、ルイス王子の様な沢山の魔力量ではなくほんの少しずつゆっくり行う。時間はたくさんある。バレてはいけない。


魔力移行を行なっている時、メイソンさんから


「フィリアの魔力ってあったかいな」


と、穏やかな顔をして言われた時は、ヒヤリとしたがバレてない事を、祈るばかりだ。



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