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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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エイム

 半端者の居住区に入ってわかった事は、ここは半端者を蔑んだりして、隔離して閉じ込めておくと言うよりも、保護する意味合いが強いと言う事だ。

 この制度を作った時は戦時中、勇者アーレンは半端者達を奴隷にならない様に守る意味合いでここを作ったのだ。


 境界線の扉には鍵は掛かっていない。半端者以外は通る事が元々出来ないからかもしれない。

 扉を越えれば警報はなり、対応する神官はいるが、強制的に戻す事はしないらしい。

 居住区においてもそうだ。規律はあるし、起床時間、食事時間、祈りの時間は、決まっているが、割り振られた係などが終われば、後は自由だ。

鍛錬しても良いし、祈願しても良い、引き篭もろうが、私の様に読書しようが自由だ。自由時間に、家族との面会する人もいるらしい。

 らしいと言うのは他の人と会う事が殆どないからだ。鍛錬や祈願等、レベル上げをしてる人達以外は、自分の個室から出てこない人が多いらしい。私も大半の時間を読書に費やして、後は運動不足にならない様に散歩をするくらいだ。私はこの単調な毎日が落ち着くけれど、変わり映えのしない毎日に鬱憤が溜まる人もいそうだ。


 会う事は殆どないけれど、全くない訳ではない。

 私に最初に声をかけてきたのはケイティだった。ケイティはレベル19、魔法使いになる事を諦めていない頑張り組だ。レベル上げを諦めていない人達で構成されたソサイエティはエイムと呼ばれていて、ケイティもその一員だ。3つ上のケイティは焦茶色の髪にシトリンの宝石の様な綺麗な目をしている。パメラ神官の様に半端者から、魔法使いになり、神官になりたいらしい。

パメラ神官……結構慕われている。やっぱりいい人なのだ。

 私が半端者のままでいい事を知ると、興味が薄れたみたいだが、治癒魔法の適性があると知ると再び目を輝かせてきた。

 鍛錬中に細かな傷が出来るが、その回復役を、お願いしたいとの事だった。どうやらこの中に入れる神官は毎日くる訳ではないみたいで、鍛錬で受けた傷を癒してもらえない日もあり、長い時は数日我慢しないといけないのだとか。


「お願い!! 私たちの鍛錬に付き合ってくれない?

 もし、治癒魔法を使ってもらった時は、夕食のデザート上げるから!!」


居住区での楽しみは少ないと思う。家族からの差し入れとかもあると思うが、面会は限られている為そんなに頻繁に会う事はない。その中で、夕食のデザートは大変魅力的なものだ。なんせ私は読書の次に甘い物が好きだから……。ぐらりと天秤が傾く。人の役に立ちつつデザート付き……。更にサボっていた鍛錬も再開できる。一石三鳥とは、この事の為にあると思う。


「わかりました。私に出来る事であれば。回復魔法は初級しか使えませんがそれでもいいですか??」


「勿論!! それすら出来ないのが半端者じゃない?」


 ケイティは自嘲気味に話す。適性がなくても魔法使いであれば自己治癒力を高める初級治癒魔法は使える。けれど半端者はそれすら使えない事が多い。

 私は少し特殊なのでもう少し治療出来るが、平穏に暮らす為、目立ちたくはないからここは初級治癒魔法しか使えない事にしておく。


「じゃあ明日の鍛錬の日からよろしくね!!」


「わかりました」


 こうして鍛錬に参加する事になった。

居住区に入ってからは実は、鍛錬をサボっていた。グレゴリーさんの訓練である程度、目線と人見知りは改善された様に思っていたが、ここに入って、人見知りに逆戻りしていたのだ。


 初めての場所、慣れない生活、鍛錬場には知らない人ばかり……逃げるのは必然だった。グレゴリーさん、いっぱい訓練してくれたのに、ごめんなさい。私は小心者で人見知りです。新たな輪に入るのは物凄く苦手です。特に輪が出来上がってる時は……。


 運動は嫌いじゃないので、散歩はしていたけど、鍛錬場には行かない様にしてた。ケイティさんに誘われたお陰で、きっかけができた。これから、少しずつ鍛錬も始めようとそう思った。





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