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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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神殿に入る

 今日とうとう神殿に入る。

 私は最後のお別れじゃないから普段通りに神殿に行きたいと申し出ていた。お別れ会とか昔から苦手だった。

 家族は意を汲んでくれて、昨日の晩餐は少し豪華になってはいたが、久々に家族全員揃っての団欒だった。神殿のことに関しては何も触れずいつも通りに過ごさせてくれた家族に感謝でいっぱいだ。


 家族みんなが見送ってくれたけれど、さようならではなく、いってらっしゃいだった。

 私も行ってきます!!と言って馬車に乗り込んだ。


…………


 ルクセル侯爵領の神殿に着いた。最近知った事だけど、神殿は領地ごとに必ず一つはあり、その神殿の内部は必ず中央神殿に繋がっているらしい。

 初めて大司教様と会った部屋やいつも祈願していた場所、私が倒れた時に運ばれた部屋、中庭はすべて中央神殿の施設だったらしい。

 神殿に入った後、祈願する場所まで、やたら何個も扉を開けたりクネクネ廊下を歩くのは中央神殿へ行くためのプロセスだったのだ。

 まぁそうじゃない限りルイス王子やビンセント王子にあったりしないよね。と今更ながら思った。

 神官が必ず行く先まで付き添ってくれてるのも、神官の方がいないと中央神殿まで行けないかららしい。意外と神殿内のセキュリティは私が思ってたよりも厳しそうだ。



 今日は初めて大司教様と会った部屋へ行く。神官様が扉をノックして入室許可を願い出る。中からは懐かしい安心する様なお爺様の声がした。


 


 私も入室すると、そこには大司教様ともう1人初対面の神官服を着た女性がいた。女性の方は少し緊張?しているのか少し顔が強張っている。私は大司教様に促されソファーに座る。

 案内の神官様は扉の前に立ち、マーサとオリバーは私の後ろに立つ。


 「ほーっほっほ、久しぶりじゃな。フィリアよ」


 「ご無沙汰しております大司教様」


 「とうとうそなたも、神殿住まいか……そなたは大丈夫だと思っていたのに……残念でならん」


 「ご期待に添えず申し訳ありません」


残念そうにする大司教様に私は頭を下げて謝罪した。


 「まぁそれがフィリアの選択であるなら尊重しよう。パメラ……フィリアの案内を頼む」


 「承知致しました」


 大司教の問いかけに軽く頷いたパメラさんは神官服にベールを着ているので髪はわからないが目は鮮やかな紅い目をしていた。お母様と同じくらいの年代の人で、少し神経質そうであるが、威厳があると言うかしっかりされている印象を受ける。珍しい目の色に魅入っていると、パメラさんは目線を下げた。


「ほーっほっほっほ、フィリアが誰かの目を見つめる事が出来るなどあの頃は想像出来なかったのぉ」


「すみません。不躾に見てしまいました。とても綺麗な目だったので……」


「綺麗な目……?」


 大司教は私の成長に喜んでいる様な声音だったが、私の目線は失礼だった思いパメラさんに謝罪した。

 パメラさんからは戸惑った声が返ってきた。とても綺麗な目だと思うのだけど変な事言ったかな?


「綺麗な目だと思いますよ。一色ではない艶やかな赤なので宝石の様にキラキラしてますよね! とても綺麗です!!」


「フィリア嬢は、この目の色の事知らないのですか?」


 パメラさんは私の言葉に驚きを隠せない様だ。

 あー、確か本で赤い目は魔に魅せられたなんとやらで不吉とかそう言った意味合いがある様な話は本で読んだことはあったが、それが何なのだ。パメラさんが悪い人には見えないし、今も結構見つめていたが、何にも起こらなかった。ただの迷信だ。なら気にする必要はない。私は見た目で人を判断する事は嫌いだ。変身魔法はともかく、本来の自分の姿は生まれ持ってきた物であって、本人が後からどうこう出来ることではない。本人が努力とかでどうこう出来ないことに対して、不平や不満を言うのはお門違いだ。見た目で判断するのが嫌いなのはそう言うことだ。


私はよくわからないと、首を傾げた。


「ほーっほっほ、フィリアはそういう子じゃ。パメラよ。気にせず指導を頼むぞ」


「かしこまりました。これから私が指導員を勤めます。ですのでこれからフィリアと呼びますがよろしいですね?」


「勿論です。私はパメラ先生とお呼びすればいいですか?」


「先生……パメラ神官で構いません。これから行く場所は半端者以外行くことの出来ない場所になりますので、お連れの方とはお別れになります。基本的に中央神殿内であれば行き来は結界に関して言えば自由ですが、成人された半端者の方達は半端者専用居住区から出ることは安全のために許可がある場合を除いて警報がなりますのでご注意ください。」


 パメラ先生と言った時、目が輝いた様に見えたが、パメラ神官と呼ぶ方がいいみたいだ。ここぞと言う時に使ってみよう。その前に……私はくるりと後ろを向いてマーサとオリバーを見た。マーサはもうすでに目に涙を浮かべていた。オリバーはまだ何かいいたい事がありそうだが、黙っているみたいだ。


「マーサいつもそばにいてくれてありがとう!

とっても心強かったよ!!」


「必ず面会に行きますので、またお話をお聞かせ下さいませ」


「もちろん!!」


マーサと最後にギュッとした。15年間、ずっとそばにいてくれたマーサに感謝を述べた。一生会えなくなるわけじゃないので、またねだ!


私はオリバーを見た。オリバーはまだ何か考えている様だったが、私から先に話をした。


「オリバー、3年間ありがとう。オリバーがいた3年間はとっても濃密な時間で色んな経験が出来たよ!

これが最後の主人としての役目かな。

オリバーの専属護衛騎士としての任を…………」


「専属護衛契約は解除しなくて結構です。私は一生の誓いを持って専属護衛契約をしました。それを違える気はございません」


いつもの飄々とした顔は隠れて、真剣な目でこちらを見ている。どうやら専属護衛契約は解除しない方がいいみたいだ。


「解除したくなったらいつでも言ってね。じゃあ今の所はそのままにしておくね。お兄様に不都合が有れば言って……」


「リヒト様からも許可は取っておりますし、リヒト様もそのままの契約である事をお望みでしたよ」


「そっそう? わかったわ」


 どうしても専属護衛契約は、解除しないらしい。相変わらずの根回しの良さに驚く。

 ジーと見つめてくるオリバーに居た堪れなくなり、早めの挨拶をする。


「じゃあオリバーもたまには顔見せに来てね!行ってきます!!」


私はなるべく明るく挨拶をして、パメラ神官の後に続く。

こうして私の神殿生活が始まったのだった。

 

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