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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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凍結保存

 サーラ様は私を見て、何故か怒った様に言い放った。


 魔力柱の抑制を拒んでるのは本人だったとしても、私を睨むのは何故だろう?? 不思議に思っていると


 「あなたのそのブレスレットは、王族の信頼のおける人しか付けることの許されないものじゃない!

 私と言うライバルを蹴落としに来たのでしょう?

 絶対パッとしないあんたなんかに負けないんだから!!」



 ……?? どう言う事?

 サーラ様は興奮しているので代わりにエイベル様が教えてくれた。

 サーラ様はビンセント王子に憧れているらしい。

 サーラ様は生まれた時から魔力過多症と向き合っていて外出もままならなかったとか……。その時にビンセント王子の絵姿に心を奪われ、この治療を乗り切れば、ビンセント王子と結婚が出来る。そう夢見て辛い痛みにも耐えてきたのだとか。

 今私を見て怒っているのは、ビンセント王子から貰ったブレスレットを知っていると言う事だけれど、これは歴代の王族の近衛騎士や、騎士団長、最高治癒魔法師など、特別な人に贈られるものだったのだとか……。

 知りませんでした。何故ビンセント王子は私に下さったのだろう?

 サーラさんは、王族、とりわけビンセント王子の新聞、雑誌、書籍に関しては全て取り揃えるほどの酔狂しているらしい。なのでビンセント王子特製のブレスレットは穴が開きそうなほど見ていて憧れていたらしい。見た目はシンプルなブレスレットなのにどこをどう見たらバレたのか皆目見当もつかない。


 サーラさんは王族に反意を翻す存在になるのではと思っていたけれど、そうではないらしい。サーラさんの気持ちはわかった。

 フォードルン侯爵家当主の意向はわからないが、サーラさんの意見を聞いて、サーラさんが王位魔法使いになり、王族とフォードルン侯爵家の架け橋になってくれれば良いのではないかと思う。


 「えぇっと、見間違いではありませんか?

 私はしがない若輩者の治癒魔法師です。王子殿下とお会いした事はございません。

 治療ではなくまずは鑑定を行っても宜しいですか?

 私は治癒魔法師の前に鑑定が得意ですので」


 「私の目は誤魔化せなくてよ!

 あんたなんかに負けないんだから!!

 ふん! 出来るものならやってみなさい!!

 私が全力で弾いてやるわ!!」


 ビンセント王子との関係は全力で否定させていただく。

 こんな所で王族に迷惑をかけたくない。

 話を逸らすために早速治療に移ろうと思う。

 否定した所で、どうやら私は嫌われてしまった様だが、鑑定の許可は出たので鑑定させてもらう。


 私を睨むサーラさんと目を合わせて、ちょっと怖いなと思いつつ鑑定を行う。

 サーラさんは私に鑑定を行えない様全力で、抵抗していたが、勿論私はレベルMAX。簡単に鑑定できた。これは治療の為の鑑定なので許してもらいたい。


 

 やはり、サーラさんの魔力柱レベルは王位魔法使いだった。試練もクリアしているが、魔力器と回路が魔力柱に追いついておらず、ボロボロになっていた。

 本人の努力なのか、かなり頑張ってはいるが、かなりの激痛を伴っているはずだ。

 睡眠もままならないのであろう。よく見ると目の下にクマが出来ている。相当痛い筈なのに気丈に振る舞ったいるのはさすが、高位貴族の令嬢だ。私とは大違い。すみません。


 サーラさんは24時間体制で、治癒師を10人以上雇い、治療にあたっているらしい。


 私達が来た事でその人達は一旦下がらせたのだろう。治癒魔法師がいない為、今は相当辛い筈だ。顔に脂汗が滲んできていた。早めに治療した方が良さそうだ。さてどうしたものか……。



「一刻の猶予もなさそうですね。早速治療に移りましょう。今回やる治療は私独自の治療です。

 他言無用にお願いします。見たところで、他の人が出来るとは思えませんが、念のため守秘義務契約魔法をお願い出来ますか?」


 私はエイベル様に問うと、エイベル様は頷いた。エイベル様は現状をわかっている様だ。


「この扉にある秘密保持契約は扉から入った時点で全ての人に適用されます。ここで起こったこと全て何人も口外する事は叶いません」


 エイベル様の言葉に私は扉の鑑定をした。確かにその様な秘密保持魔法契約がされている様だ。

 治癒魔法師には一般的な治癒魔法に加えて、独自の専門と言うか得意な治癒魔法が存在するので自分に合った治癒魔法師を探すのも大事なのだ。

 10人以上の治癒魔法師がついているとのことなので殆どの治療法はカバー出来るだろう。

 では私でしか出来ない治療をすれば後はお抱え治癒魔法師が引き継げば良い。私は定期診察のみで良く、経過はお抱え治癒師に託す算段をする。


 サーラさんはあまり理解できてない様でまだ私は頑張れると言い張っているが限界に近いのは自覚がある筈だ。これ以上は体が耐えられずに、治癒魔法も効かなくなってしまうだろう。そうなる前に治療しなければアンの二の舞だ。

 これは、説明するよりも治療した方が早いと思い、エイベル様の同意を得て治療を開始する。


 魔力柱を、耐えれるレベルギリギリにまで一度分離し、分離した魔力柱は凍結保存して、私の魔力クッションにて包むと言うやり方だ。凍結保存した魔力柱は解凍して再度結合できる事は自分の体で実験済みだ。少しずつ解凍していき、魔力柱に耐えられる器と回路にしていく。今は強すぎて、回復に手一杯だが、ほんの少し強い魔力柱には、体が慣れてくれる筈だ。まだサーラ様は成長期、なんとかなる筈。


 私の体は大丈夫だったが被験者が1人だと心許ないと思っていたところ、オリバー自ら被験者に名乗り出た。私の編み出した魔法を知っているであろうオリバーには、私が何を懸念しているかわかっていた様だ。

 私は健康なオリバーに治療を施すのはダメだと言ったが、ほんの少しだけで良いのでは?

 治療が必要な人にぶっつけ本番の方が危ないのではと諭され、オリバーに施行させて貰った。

 結果は問題なく。日数をおいても大丈夫だった。なんならほんの0.数%はまだ凍結したままだ。今日で2週間、特に問題なく今朝も一部を、解凍したが問題なかった。

 私の場合は年単位で保存してるのを解凍しても問題なかったので大丈夫だと思う。


 魔力器や回路のレベルに合わせて魔力柱を削るのは初めてなので、エイベル様にも手伝って頂こうと思う。オリバーでも出来なくはないがオリバーの能力を、こちらがわざわざ見せる必要はない。先程の鑑定で、エイベル様が治癒魔法を使えるのは確認済みだ。


 「お恥ずかしい話ですが、今回の治療には私だけでは足りず、助手が必要になります。

 エイベル様には、サーラ様に治癒魔法をかけ続けていただきたいのですが、宜しいでしょうか?

 時間にして数分で終わる筈です」


 「……了解した。ただし、何か不審に思う点があればすぐに中止させて頂くこともある事は覚えておいてほしい」


 変な真似をすれば、容赦しないって事ですね。勿論わかっておりますよ。


 「勿論です。治療がご不満の場合はすぐに元に戻しますのでいつでも言ってください。では治療を開始しますので魔力器と回路に治癒魔法をお願いします」


 私の問いかけにエイベル様は治療魔法をかける。

 治療魔法をかけてもすぐに傷ついていく事がわかる。

 これは治療にも激痛を伴うのだろう。早く治療しなければ……。

 私は魔力柱の凍結を始める。エイベル様の治癒魔法で、器や回路が回復していくギリギリまで凍結する。凍結しすぎると、器や回路の成長が止まってしまうからだ。なんでもやりすぎは良くない。私は魔力器と回路が成長して、治癒魔法なしの治療で痛みが取れるくらいのギリギリの魔力柱を凍結した。


 「ふぅ……これで第一次治療は終わりです」


 「どうゆう事だ!!」

 この世界独特の世界観であって、現実世界の医療は異なりますのでご注意下さい。

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