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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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心錯縛術契約

 「妹は……サーラは魔力抑制をさせてもらえないのです」


 ……? ん? どういうこと?


 魔力抑制の治療は、ある程度の魔力レベルが必要だが治療はそれほど難しくない。

 治癒師は魔力レベルが高い人が多いので、治癒師で有れば治療は可能だ思うのだけど?


 「? どういう事?

 治療させてもらえないって?」


 アンの実家は、貴族としては順風満帆だ。

 たとえ、実家がお金を出し渋ったとしても、アンの侯爵家の給金は結構あるし、お金がないとは思わない。私はよく分からなかったので聞いてみた。


 「それは……うっ……」


 アンが突然胸押さえ膝をつく。

 私は驚きながらも直ぐに駆け寄り、鑑定(健康診断)する。

 アンの心臓に絡みついている魔法契約の一つが発動していて、心臓を締め付けていた。

 ……最初の健康診断の時から、深い理由があるんだと思っていたけど、アンには珍しい2本の魔法契約がされていた。


 心錯縛術契約と呼ばれる契約だ。1本でも珍しいのに、それも2本の契約が複雑に絡みついており、更に2本の契約者は別々なのだ。

 心錯縛術契約は、契約を反故にすると命に関わるので、秘密保持契約よりもかなり重い契約だ。

 戦時中は他国に情報を漏らさない様にする為に契約した事もあったが、他者の生殺与奪を握る事は倫理的に良くない事とされ、余程のことがない限り今では、あまり使われない。


 それだけでアンが複雑な状況に置かれているのが分かる。

 一つ目は、フォードルン侯爵家当主との契約だ。

 アン=フォードルン……アンの実家はフォードルン侯爵家であり、今は過激派の筆頭ではないかと噂されている家だ。

 アンは、中位魔法魔使いなので、フォードルン侯爵家には相応しくないと見放されて、こちらに就職したとの事だが、実際は手綱を握られての追放だったと言える。


 心錯縛術契約がただ単にフォードルン侯爵家の事を喋らない様にする為なのか、間者として送られて裏切らない様に必ず情報を引き出す為なのか……。

 ブレンが何か言ってきているが、私は何度も言う様に他者の過去を覗く趣味はない。 



 お父様は、見放されたアンを不憫に思い雇ったのだろう。

 お父様はお母様の影響で、以前からそう言った方の雇用を積極的にしている。

 お父様はお母様を、恐ろしいくらいに溺愛されているから、お母様の方針が我が家の方針とも言えるのよね……。


 ルクセル侯爵家は何の後めたい事をしていないし、重要な役職は信頼できる者達で固めている為大丈夫だと思う。

 見放された人達でもお父様の信頼を得れれば重要役職についている方もいるしね。

 お父様の信頼を得るのはかなり難しいけど……。


 アンはフォードルン侯爵家当主との心錯縛術契約がある為、もう一つの心錯縛術契約は、お兄様と結んだみたいだ。

 お兄様との契約はどんな内容かは分からないけど、きっと私絡みな内容も含まれていると思う。

 以前、お兄様が、アンに鑑定(健康診断)をしろと言ったのは、きっと警戒しろとお兄様からのメッセージだとは思った。

 けれど私は別の意味で捉えた。私のせいでこんな契約を結ばざるを得なかったのではないのかと……。

 本来の使用人の契約では、侯爵家で知り得た内容を外に漏らさない秘密保持契約魔法で、喋る事が出来なくなるだけで生殺与奪を握られる事はない。

 私と言う半端者がいなければ、お兄様はここまでしなかったのではないかと思ってしまう。

 私のせいでこうなってしまったので有れば、私に出来る事はしてあげたいと思って今まで治療してきた。


 今、心錯縛術契約が作動してる所を見ると、サーラさんの事は話してはいけない重要項目と言える。

 作動を止めるには、触れてはいけない重要事項を話すのをやめる必要がある。


 「もう、ダメな事は喋らないで!! 危険だわ!!

 私に出来る事は力になるから、喋れる事だけ教えて?」


 苦しむアンを見て、私は懇願した。


 「……はい、申し訳ありません」


 謝るアンの額には夥しい量の冷や汗が出ていた。

 

 

契約の相手を支配する強さ、理不尽さは、

奴隷契約>主従契約>心錯縛術契約>>秘密保持契約

と思っていただければと思います。


奴隷契約や主従契約は全般なのに対して、心錯縛術契約は限定的です。

奴隷契約や主従契約は後から強制する内容を追加できる理不尽さがありますが、心錯縛術契約は契約時の内容以上の事を後から追加する事は出来ません。

秘密保持契約は保持する内容に対してしゃべれなくなりますが命には関わりません。

奴隷契約と主従契約の違いは意識があるかないかです。

奴隷契約になると自分の意思を示すことが出来なくなり、意思と関係なく働かされ、心が壊れてしまいます。

ネーミングセンスなくてすいません。

なんかいい名前ないかな。契約名は変えるかもしれません。

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