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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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変化

 それから私達は、様々な場所に出かけた。リベンジのスイーツ、市場や観劇、スポーツ観戦に、領地の様々な場所にも訪れた。

 月に数回の頻度で、オリバーのお願い発作が起こるからだ。オリバーのお出かけに対するプレゼンは凄まじく、最終的に言い負かされ、外出すると言う運びだ。

 侯爵領はかなり広いので、転移魔法で行く事も多かった。まだ少し気持ち悪いが、最初より慣れて来たのはありがたい。訓練の成果かな?

 オリバーは中位魔法使いだと思っていたが、3人の転移を簡単にやってのけ、なんだかんだと両親やお兄様の護衛としての信頼も厚い。遠距離鑑定で、生命反応も弱かった事もあり、中位魔法使い位だと勘違いしていたが、この前の鑑定(健康診断)で実は高位の魔法使いだと知った。

 そんな凄い人が何故奴隷落ち? 私の護衛なの? 

 ますますオリバーの謎が増えるばかりだ。


 オリバーが侯爵家に来て一年、私は13歳になった。変化したのは私だけではない。

 お兄様の表情が豊かになって来た事だ。

 対外的には今も貴公子然としているが、侯爵邸の中では、オリバーに嫌味を言ったり、時々怒ったり、怖い程笑顔になったり……。感情を露わにする様になった。

 お貴族様としてはダメかもしれないけど、これはきっと良い事だ。

 お兄様にも、侯爵邸の中くらい、リラックスして欲しいと思う。まぁオリバーが絶妙なちょっかいをかけてるからなので、そのお咎めがあるのは仕方ないよね? 

 主従契約で生殺与奪を握られていると言うのにチャレンジャーすぎるが……。時々オリバーの顔が青白くなっているのは大丈夫なのだろうか?





 今日も今日とて、神殿に行き、礼拝堂にて両膝をつく。

 月に数回でも、お出かけをして楽しんでいる私を子供達は許してくれるだろうか?

 答えなんて聞くことの出来ないのに自問しつつ、お出かけはオリバーの為と言い訳をして祈りを捧げていた。


 「最近は外出する様になったんだって?」


 「ふふふ、どこから聞いたんですか? お久しぶりですね。ルイス様」


 後ろから気安く声をかけて来たのはルイス様だ。

 少し低くなった声に時の流れを感じつつ、それでも懐かしい声に思わずルイス様の方に立ち上がり、振り返る。

 私と同じくらいだった身長は更に伸びて頭一つ分程の差が出来てしまった。見上げると、ルイス様の顔も少しシャープになり男性らしくなりつつある。

 ルイス様は今王立アカデミーに在籍している為、普段はこの時間にいない。今日はたまたま授業がお休みなのかしら? テスト休みとか? 前世の時は高校時代のテスト休みは至福の時だったなぁ。普段なら混んでる所に行って空いている名所巡りしたっけ? テーマパークが狙い時なのよね。

 じゃなかった。目の前の会話に集中しなくては。


 「まぁ色々とな? 王族として情報収集は大事だろ?」


 冗談半分で返すルイス様に、私も肩をすくめる。


 「半端者の私の情報なんて、国家の揺らぎになることは無いですよ? もっと他に割くところがあるでしょう?」


 「国家にとって結構重要なんだけどなぁ」

  

 本気なのか冗談なのか曖昧な笑みを浮かべているルイス様とは普通に話せて良かったと思ってる。


 前回会ったのは、前世の話をした時だ。最終的に納得はしてくれたけど、ルイス様には心の整理する時間が必要だったと思う。

 あれ以来ルイス様は王立アカデミーにて忙しそうだったし、私はオリバーが護衛としてついてからはちょうどアカデミーの授業中くらいの時間にお祈りする事が定着していた。

 別に避けてた訳ではないけれど、無理に時間を合わせようともしなかった。私にも時間が必要だったのかもしれない。


 普通に話せることに私は嬉しさを噛み締めていると、ルイス様は笑顔から真剣な表情に変えた。


 「この一年、色々考えすぎてフィリアに会う事を避けていたと思う。すまない。

 俺が会わなければ魔力移行は出来ないから……やっぱりフィリアに魔法使いになって欲しいと思ったんだ。

 フィリアの気持ちを無視してごめん」

 

 そんな気がしてた。あの場では納得してくれた様だったけど、そんなにうまくはいかないものだ。


 「今日はどうして来てくれたんですか?」


 避けていたのに今日来てくれたのは何か理由があるはずだ。






 

 

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