表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/159

話し合い

 お父様へオリバーさんからもらった手紙は渡した。お断りの返事をするのかと思いきや一度会ってみたいという事で、話し合いの場が設けられる事になった。

 という事で、今オリバーさんと両親、お兄様が、侯爵家の応接室で話し合いをしている。


 まずは大人同士で話し合い、結果によっては後で私は呼ばれるみたいだ。

 お兄様は成人してないが次期当主として出席するらしい。

 転移魔法ですぐに戻って来れるとはいえ、アカデミーの勉強も忙しいのに申し訳ない。

 私は一応いつ呼ばれてもいいように、正装をしている。神殿に行く際は、飾りがないシンプルなワンピースだけど、今はレースや煌びやかな宝石をつけたドレスに身を包んでいる。

 基本的に私は社交をしてないので、殆ど着る事がないのだけれど、邸で誕生日会とかのお祝い事の時に、新調したりして数着はドレッサーにしまってある。

 今は私は成長期なので、少し前に数着新調したばかりだった。その中の一つ、私の髪と同じ淡いブルーのドレスを今日は身に纏った。あまり着慣れないので、着てるだけで疲れてくるが、今日は自分の事についての話し合いなので、頑張るしかない。


 ……一体どんな話をするのかしら? 

 お父様はすぐに断ると思ってたのに……。

 オリバーさんが悪い人と言うわけではないが、流れ者の方達はどうしても身元保証が弱くなる。今はグレゴリーさんが後見人になってはいるが、それはオリバーさんの生活基盤の保証であって、人物保証ではない。

 神殿にて、一通り検査を受けてはいるが、人物保証というと絶対とは言い切れない。検査も万能ではないのだ。

 オリバーさんが悪い人には見えないけど、何となく底の見えない人なので私は少し苦手なのだ。

 以前、流れ者が子供を誘拐した事案もあるらしいので、お父様は断ると思ってたのにどんな事が手紙には書かれてあったのかしら?



……………


 午前中からの話し合いは私が思っていた以上に長かった。昼食の時間になっても呼ばれずにいた。もしかして、私が呼ばれずに、話し合いが終わった事も考えられたが、お茶の時間の頃に私は皆が話し合いをしていた応接室には呼ばれた。

 ノックをして入室すると、奥のソファーにお父様とお母様、その後ろにお兄様がいて、手前のソファーにオリバーさんがいた。

 オリバーさんはいつものラフな髪型ではなく、髪を後ろに撫で付けていて、服装もこちらの正装をしている。普段から精悍な顔つきなのに、それに加えて今は凛々しさもあり、出来る男に見える。

 話し合いは終わったのだろうか?


 「フィリアとりあえず座りなさい」

 「はい、失礼致します」


 お父様の声掛けで私はオリバーさんの隣に少し間を空けて腰掛ける。

 

 「多くの意見が出たが、結論から言うとオリバー殿からの申し出を受けてフィリアに護衛をつける事にした。ただフィリアも知っての通り、オリバー殿には身元保証人はいない。最初は断るつもりだったが、オリバー殿の希望が強かった。いくつか厳しい条件を出したが全て了承するとの事なので雇用になった」


 お父様の発言に私は驚き、両親を見た。お父様は、あの厚みのある手紙の礼儀として会うだけのつもりだったのが伺える。

 けれど了承したということはかなり強い条件がついたのがわかる。お父様は侯爵家のお仕事の際は相手に悟られないように笑顔を崩さない事が多いが、今は少し困ったような顔をしてるので押し切られたように思う。お父様には珍しい表情だ。

 お母様も少し疲れた様子で、こちらを見て微笑んでいる。困っているような感じがありありとしていた。


 両親を丸めこめるなんて、やっぱりオリバーさんは底が知れないわ。けれどお父様は、私に万が一の事がないように手配しているはず。今世のお父様は私を大切にしてくれている。どんな条件がついたのかしら……? かなり、厳しい条件であるのは間違いない。


 私は今度はオリバーさんを見た。

 私の視線に気がついて、オリバーさんはにこりと笑みを浮かべる。こちらはとても満足そうな笑みだ。

 オリバーさんは両親と同じくらいか少し下の世代に見える。お父様の交渉能力は決して低くない。寧ろ高い方だと思う。それを丸めこめるなんてオリバーさんの底はやっぱり知れない。


 「いつものフィリア嬢も素敵だが、今日は一段と美しい」


 「ありがとうございます……」


 オリバーさんは正装姿のせいなのか、いつもは淡々とした口調なのに、普段なら言わないであろう歯の浮くような台詞を言う。私の全身がぞわりとする。この後のことが不安で仕方がない。私の顔は今引き攣っているに違いないなかった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ