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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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流れ者

 グレゴリーさんはすぐに帰って来た。

 服がボロボロの男性を抱えて……。

 グレゴリーさんが手当てしたのか、服がボロボロで所々血がついているのに、服の間から見える皮膚はとても綺麗だ。傷一つなかった。

 今は気を失っている様だ。


 「フィリア、悪いが実地訓練は中止だ。少し休憩してから、神殿に戻る」


 「勿論です」


 まだ目眩の様なふらつきはあるが、じっとしていれば、少しづつ良くなってきている。グレゴリーさんが、彼の怪我は治したとはいえ、血液は急には増えないし、急に増やすと体に負担なので出来ない。その男性には、ちゃんとした布団の中で、早めに休息が必要だろう。

 本当はすぐに転移してと言いたいところだが、私が倒れても本末転倒なので、焦る気持ちはあるが、急がば回れだ。


 今気を失っている人は流れ者と呼ばれる人だ。

 流れ者とは、アーレン王国ではない外の世界で生まれた人で、アーレン王国に助けを求めにきた魔法使いの事を指す。

 アーレン王国が出来た頃はとても多かった流れ者だが、ここ最近は数年に1人くらいの割合だ。それでも今でも完全にはなくならないらしい。

 勇者アーレンによって殆ど魔法使いは救われただろうし、外の世界で生活している魔法使いも見守られつつ、今でも他の国で楽しく暮らしてる人たちも多くいる。

 けれど全ての人を救えた訳ではない。


 魔法使いの保護協定を結んでいる国ばかりではないのだ。

勇者アーレンによって、表立って魔法使いを奴隷の様に扱っている国は無くなった。けれど水面下では、未だに奴隷の様に扱われている場合があるのだ。

 それを見つけ出すのはなかなか難しい。他の国で魔法使いが虐げられていないかを見回る様な部署もアーレン王国にはあるらしいが、全てを見つけ出すのは難しいだろう。


 流れ者は一度神殿で保護されてから、診察を受け、意向を聞いてから身の振り方を決めるらしい。

 流れ者の中には、洗脳状態にあったり、隷属状態である事もあり、注意が必要だ。

 近年では奴隷の首輪の解析が進んでいる為、解術の方法はさほど難しくない。魔法使いにとっては、死活問題なので始めの方に習うのだ。私も習った。

 アーレン王国以外の国では、半端者でも重宝するらしいので、狙われる事もあるそうだ。

 

 今、目の前にいる彼は私の見る限り奴隷の首輪をつけてはいない。グレゴリーさんが既に外してしまったからかもしれないが……。

 もし、洗脳状態にあるとしたら、とても厄介だ。以前、洗脳状態の魔法使いが、アーレン王国にいる子供達を誘拐する事件も起こった事があるので、注意する必要がある。

 以前の教訓から、流れ者は精密検査が済むまで、魔法抑制魔道具が使われる。魔法抑制魔道具は魔法が使えないだけで、洗脳や隷属の力はない。

 それでも、魔法使いにとって魔法が使えないのはとても不安な事だろう。だが、アーレン王国の子供達を守る為だ。許してほしい。


 少し休憩してから、神殿に転移した。

 2回目だったからか、初回よりは魔力酔いはない気がする……けど気持ち悪い。私は休憩室で少し休んでから帰ろう。連絡を受けていたのかマーサが直ぐに来てくれる。


 グレゴリーさんはそのまま彼を診察室に連れて行くみたいだ。精密検査は、覚醒してなくても出来るものもあるだほうし、ベット上で可能だ。寝ている間に出来ることは終わらせた方が負担も少ないのだろう。

 グレゴリーさんは私達が休憩してる間に様々な連絡をしていたので、スムーズに運ぶはず。グレゴリーさんはやはり出来る人だ。


 さっきからブレンさんが何やらうるさいが私は勝手に人の過去を覗く趣味はないのでスルーする。


 助けられた彼の未来はきっと明るい。これからの人生が良い物になりますように。

 私は彼を抱えるグレゴリーさんの後ろ姿を見ながら、祈らずにはいられなかった。

 

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