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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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迷いの森

 …………私は今、神殿にいるが、迷いの森にいくことになった。

 迷いの森はアーレン王国の結界の外側だけでなく内側にもある。

 迷いの森はアーレン王国を、囲んだ様に形成されており、迷いの森のちょうど中程に結界が張られているのだ。

 外の国では迷いの森と言われているが、内側のアーレン王国では通称、魔の森と呼ばれている。


 理由は定かではないが、魔物が発生しやすく、外側よりも強いらしい。元々、アーレン王国自体が結界の中にあるためか、魔法使いが多いからか、はたまた、結界の中に魔素が満ち溢れているからとも言われているが、確証は得てないらしい。


 つまり、内側の魔物、所謂害獣に対処出来れば外の迷いの森でも対処が可能という事だ。


 というグレゴリーさんの発案で森に行く事になったのだ。

 ……ドキドキですよ。結局、グレゴリーさんが擬態した魔物の対処は学んできたけど、本物は今まで見た事がない。


 「今のフィリアの実力なら実地訓練しても大丈夫だと判断したが、油断はしない様に。索敵と警戒を怠るなよ」


 「はい!」


 正直に言うととても怖いが、私は気合を入れる。今日の私は戦闘スタイルだ。勿論スカートなんかじゃない。

 実地訓練は半日の予定のはずだが、私の腰に据えられたマジックポーチには、1ヶ月分の食料、飲料水他、生活用品が多数入っている。

 私は空間魔法が使えないので、とても便利だ。

 ポーチに手を入れて欲しいものを思うだけで手に現れる。

 素晴らしい!!

 何故1ヶ月分もと思うが、備えあれば憂いなしらしい。重さは感じないので特に不便ではないのだが、フラグの様な気がして私はとても嫌な予感しかしない。まぁ、ありがたく受け取っておく。


 「森の入り口に転移しても良いが、結界までは歩いて半日ほどかかる。一度結界は見ていた方がいいだろう。まずは結界近くまで転移するぞ」


 グレゴリーさんの手に掴まり、初めて転移した。

 やはり半端者なので多少酔った。けれど魔法を習っているお陰でこれでもだいぶ楽になった方らしい。うっ……吐きそうです。


 目の前にはオーロラの様なヒラヒラした波のカーテンが幾重にも広がっていた。これが結界なのね。上を見るとどこまで続いているかは見えないが、結界はドーム状に張られているらしい。なんとも言えないパワーを感じる。何となく吸い込まれてしまいそうな感じもして、少し怖い。


 「私は触れない方が良いですよね?」


 「そうだな。万が一の事もあるし、やめておけ。

 私が代わりに触れよう。こんな風に魔法使いであれば簡単に通る事ができる。薄い膜の様な物に包まれる感覚はあるがそれだけだ」


 私がもし触れて放り出されてはいけないので、グレゴリーさんが触れてくれる。確かに抵抗なく手が動いている様な気がする。これがアーレン王国を守っている結界なのね。

 私はこの結界に守られる資格のない者……。そう思うと、結界が畏怖の存在に感じられた。


 私が感傷に浸っていると、グレゴリーさんがふと別の方向を向いた。……私も感じた。これは人の魔力だ。けれど、とても弱々しい。

 それは結界の外から感じる。

 …………グレゴリーさんは少し思案した後、私の方を向いた。


 「フィリアも気づいていると思うが、結界の外側から人間の魔力を感じる。中位魔法使いクラスだが、生命反応が弱い。……フィリア、私は少し見てくる。フィリアは一度転移して戻っているか?」


 正直、まだ魔力酔いの状態がある為、今もう一度転移すると次は起き上がれなくなる気がする。私は首を横に振った。


 「今すぐにもう一度転移は耐えられそうにありません。すみませんグレゴリーさん。

 私はここで大人しく待っています。周りには魔物はいないみたいですし」


 私の反応にグレゴリーさんは、不安そうな顔をしたが、今は弱々しい生命反応の方が心配だ。私は吐き気で顔が歪みそうなのをなんとか誤魔化して、笑顔で送り出す。


 「私はグレゴリーさんが直々に教えてもらったんですよ! 少しくらい待ってられます。どうか行ってください」


 「すぐ戻ってくるから無茶はするなよ」

 

 そう言ってグレゴリーさんは転移した。


 私は、周りをもう一度見た。魔物の反応はないのは確認済みだし、一見前世の普通の森のような感じはする。

 けれど魔素が満ち溢れている為か何か圧倒される、少し重苦しい雰囲気がある。

 うぅ……グレゴリーさん早く帰ってきて!

 

 

 

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