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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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健康診断 シド編

 次はシドだ!

 シドは若いし、多分健康は大丈夫だと思う。

 でも、いつもお世話になってるシドには元気でいてもらいたいし、若いからといって病気がないとも限らない。私も侯爵家のはしくれだから、ちゃんと健康管理しないとね! 主人がしっかり健康管理しなくては!!


 シドは私が侯爵家敷地内にいる間は騎士団の訓練や遠征に参加しているから、きっと今は騎士団の訓練施設にいるはずだ。

 侯爵家おかかえの騎士団の訓練施設は、侯爵家敷地内に併設されている。

 まず、騎士団施設に行くなんて……という所でつまずいた。一度だけでいいからとお願いしてなんとか了解をとる。次は、歩いても5分もかからない騎士団施設まで、最初は馬車で……と言われたが断った。

 一応お嬢様である私が、敷地内とはいえ、歩き回るのはダメみたいだ。けれど、グレゴリーさんからも体力つける様にと言われてるのもあるけど、馬車で……となると結局シドを呼ぶ事になる。それでは本末転倒だ。

 渋い顔をする人達に一所懸命に訴えると……うっと言う言葉と共に渋々認めてくれた。

 今までお願いをした事はないけど、私のお願いを聞いてくれて本当に嬉しい!! 

 ありがとうございます!! ふふ、騎士団なのでちょっと楽しみだ。

 私の大好きなラノベでもよく出てくる騎士団……ちょっと楽しみだ。 嬉しすぎて2度言ったよ!

 前世でも、殺陣とかは見た事あるけど、迫力があって凄いなと思ってた。今世では更に魔法が追加されるのだ。

 きっともっと凄いに違いない!!


 一度でいいから見てみたい!!

 私はかなり浮かれていたと思う。


………………



 徒歩5分、施設の入り口についた。

 施設はとても広く色々な部署があるが、主に3つに分けられる。

 訓練塔(外の施設と中の施設がある)、執務塔、単身者の寮だ。

 私は侯爵家の敷地内施設の地図は頭に入っているので(勉強がここに役立ってますよ!)、初めての施設を観察しながら、訓練塔に迷わず進んでいく。施設は華美な装飾は一切なく、シンプルで無機質だが、なんかそこがいいのですよ!

 わかります? この気持ち!

 ふふ、シドは驚いてくれるかなぁ。

 まず最初に着いたのは訓練塔の外の施設だったけど、誰もいなかった。まだお昼の時間まではまだあるし、きっと中の施設で訓練してるはずだ。

 中の訓練施設は、魔力吸収壁が張り巡らしているので、魔法訓練にも最適な場所だ。つまり魔法が沢山見れる!! うっ嬉しい!! 私は生活魔法以外の魔法をまだ見た事がなかった。浮かれているのは許して欲しい。

 こっこれは健康管理のためであって、遊びに来てる訳ではないよ。と言い訳しつつ、魔法訓練室に着いた。


 魔法訓練室には受付があり、大小いくつかの施設に分かれている。連絡がいっていたのか、訓練室3と書かれた扉に連れて行ってもらえた。


 扉を開けても小さな空間があり、また扉がある。後ろの扉を閉めないと開かないみたいだ。厳重に管理されたもう一つの扉を開けると、思ってた以上にだだっ広い空間が目の前にあった。広い空間の真ん中にシドとお兄様、カイがいた。あれ? 他の人はいないのかな?

 私は訓練の見学出来る席に座り、訓練がひと段落するまで待つ事にする。


 今は、お兄様とシドが手合わせをしていた。

 きっと刃は潰してあるだろうけど、刃がぶつかるたびに甲高くて重厚な音が出る。

 こんなに遠いのに、何というか体に響くというか、私まで気が引き締まる様な音だ。

 身長差があるはずなのに、互角に張り合っている様に見える。この世界にも身体強化の様な魔法もあったから、それを使ってるのかしら? 

 最初の方は私にも目で追えたが今では早すぎて何だかわからない……。刃が交わる音だけが室内にこだましていた。

 すっすごい!! お兄様もシドもかっこいい!!

 

 時間にしては数分だったかもしれないけど、打ち合っていた2人が一歩下がり、纏う雰囲気が変わる。

 魔力が一瞬にして膨れ上がり、お兄様の手から蒼白い光が、シドの手からは闇色の光が出てくる。それらがぶつかると一瞬小さくなったと思った後、凄い爆風が巻き起こった。

 私は吹き飛ばされそうになるのを慌ててマーサが防御魔法を展開して、一緒に抱き合いながら耐える。

 ぎょえ〜!! 魔法ってこんなヤバイの??

 ラノベで読んでる時はすご〜い!! 位にしか思ってなかったけど、実際に見ると恐怖を感じますよ!! 

 すっ凄いけどね!! 凄いんだけど、怖いですよ!!


 私とマーサの悲鳴で今日の訓練は終わった様だ。

 練習のお邪魔してすみませんでした。




 騎士団に来ていた私を、お兄様は優しく怒った。

 さっき使用した魔法はまだまだ序の口らしく、防御魔法を展開していないと怪我をする事もあるらしい。

 お兄様はあまり表情を出さないけれど、心配して怒ってくれてるのは分かる。

 素直に反省して謝った。

 カイは、俺の魔法も見て〜と魔法を展開しようとしていたのをお兄様にこれは凄く怒られていた。カイも反省した。

 とばっちりを受けたカイよ……私のせいでごめんなさい。


 謝って反省した所で、本来の目的である健康診断だ!!

 フィリアは鑑定の趣旨を説明して、シドに了承を得た。


 シドの健康診断もほぼ問題なかった!

 血液検査、尿検査問題なし!

 ただ、全身スキャンで私が気になったのはシドの左肩の小さな魔力溜まりだ。

 本当に小さな魔力溜まり。日常生活では問題はないだろうけど、騎士団という職業は、時に危険な場合もある。小さな魔力溜まりでも、全力を出そうとすると違和感があるに違いなかった。

 シドにそれを指摘すると、少し笑って遠い目をした後、このままでいいんだと、優しい笑顔で言われた。


 そう言われてしまうと無理に治すわけにもいかず、私はしゅんとなる。お役に立てなかった……。いつもシドにはお世話になってるのに……。



 「もし、治してもらいたくなった時はフィリア様にお願いします。その時はお願い出来ますか?」


 そんな私を見てシドが、私の頭を撫でながら優しく問いかけてくれた。

 たぶん、シドは治す事は無いと思う。何か思い入れがあるのか、そこは踏み込んじゃいけない領域なのだと思った。

 人には触れてほしくない事なんて沢山ある。距離感は大事だ。

 遠くでブレンが何か言っている様な気がしたが、きっと空耳だ。

 私は、気持ちを切り替えて頷いた。



 

 侯爵家の邸内にいる使用人達には、フィリアは知られており、他に口外しない魔法契約を結んだ上で雇用されているため、安全です。

 フィリアもおとなしい子だったため邸内から出る事は殆どなかったので、騎士団の人達にはその契約は含まれていませんでした。

 騎士団の全ての人にするとなると、かなりの人数になる為、全員にそういった契約をしておらず、フィリアの護衛はシドのみに限られています。騎士団でフィリアの事を知るものは上層部の限られた者です。

 フィリアは上記の事を直接、言われていた訳ではなかったですが、普段なら考え得る事だと思います。しかし、マーサの健康診断がうまく行ったことに、興奮し、自分にも役に立つことがあって嬉しいのか、今回は思い至っておりません。

 使用人の皆も指摘しようか迷ってましたが、今までにないフィリアのキラキラ笑顔と嬉しそうな眼差しとお願いに負けてしまい許可が出ました。

 慌てて騎士団に連絡して、他の団員達を別の場所に移動させたり、状態を整えたという事が裏で行われていました。

 突然の事だったので魔法指導中だったシド達にもまだ伝わってませんでした。

 リヒトも結局は許してしまう、優しい兄です。

 


病名、治療もあくまでこの世界の価値観であって、架空の出来事です。現実世界とは異なりますのでご注意願います

 

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