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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第一部 アーレン王国編 

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中庭 前半

 少し細い道を抜けると、中庭に出る。神殿だけあり、中庭もシンプルだ。

 丸く囲まれた園庭には季節の花がこじんまりと植えられており、華美ではない。真ん中に可愛らしい噴水があり、月明かりと、等間隔で空に浮かんだライトに淡く照らされている。噴水の微かな音だけが響いていて、夜の静けさを表していた。

 私は簡素な背もたれのあるベンチに腰掛け、何となく上を見上げた。


 今日は雲一つない夜空だった。まん丸の月も顔を出している。澄んだ空のお陰か深い闇色に星たちがキラキラ輝いていた……。


 満月って前世でもそうだったけど、なんかパワーあるよね。吸い込まれそう……。

 

 はぁ……あまり考えない様にしてたけど、私が前世に戻る方法ってないのかな……。ここはファンタジーなんだし……。

 ……色んな本を読んでいたけど今の所そう言った類いの本は見つかってないのよね。うつ手がないのよね……。


 何となく空に手を伸ばしてみる。


 「はぁ……(前世の世界に誰か)連れて行ってくれないかな……」


 「どこに連れて行って欲しいの?」


 びくりとして、私は声のした方に振り返る。

 そこにはthe王子様がいた。

 金髪に翠眼の男の子。お兄様より少し上の少年に見える。顔立ちも整っており、爽やか少年だ。

 ……あー。何となくテンプレな気がする。私はひっそり目立たずに生きたいのです。

 大変申し訳ないけれど、あまり関わらない方が良いと判断した。と言うか、美形も苦手です。……と言うか人が苦手です。ごめんなさい。


 「いっいえ、なんでもないです……」


 少し目線を下げ、消え入りそうな声で返事をした。多分関わらないでくれオーラが出てると思う。

 初対面なのにごめんなさい。


 「そう? 今にも消えてしまいそうな……思い詰めた顔をしてたから……私でよければ話だけでも聞くよ?」


 彼は少し困った様な、寂しそうな顔をされた。

 善意なのだろうけど、初対面の人に前世の事を話すとか無理です。

 うっ……けれどそういう顔をされるのは弱いのです。


 「えぇっと。ちょっと今後の事について悩んでいて……」

 

 「そうなんだね。私では相談にのれないかな?

 あぁ、すまなかった。名乗るのが遅くなったね。

 私はビンセント、ルイスの兄といえばわかるかな?」


 ……やっぱりそうなんですね。ルイス様の兄という事は、王太子殿下のご長男、未来の国王陛下ですよね……。ルイス様と目と顔立ちが似てると思いました。


 「失礼を致しました。ルクセル侯爵家が長女、フィリアと申します」


 私はすぐに膝をつき、臣下の礼をとる。


 「ああ、そういうのは良いよ。今はルイスの兄として家族として来てる。今は身分の事は忘れて欲しい」


 いやいや……無理ですよ。ルイス様はあんな出来事があったので、何となく? 近い関係が出来てますが、将来の国王陛下に、馴れ馴れしくなんて出来ません。私は半端者ですので。


 「そういう訳にはいきません」


 「う〜ん、そういう対応されると困るんだけどなぁ。じゃぁ取り敢えず座って話をしよう」


 ……話は続くんだ。結構強引な人なのかも? 年齢よりも話し方はとても落ち着いていらっしゃる。見た目は爽やか少年だけど、ビンセント王子はとても優秀だとお母様から聞いた事もあるし、何か思惑が……?


 ビンセント王子は、私の手を取り、ベンチに座る様促された。彼も隣に座られた。

 ……気まずいです。


 「ルイスは隠したがっているけど、最近ルイスがとても楽しそうでね。

 まぁある出来事があったせいもあるだろうけど……。

 ちょっと気になって調べてみたんだ。

 そしたら君と頻繁に会っている様だったから、兄として挨拶しておきたかったんだ。

 ルイスの事、ありがとう。

 本当はもっと早くに会いたかったんだけど、中々私も忙しくて。

 たまたま、今日、私とルクセル侯爵が一緒にいた時に、今日の君のことを伝えに来てたから、もしかしたら会えるかと思って来てみたんだけど、会えてよかったよ」


 ビンセント王子は、とても穏やかな口調でお話しされ始めた。ルイス様のことで? もしかして私の様な変な虫がつかないか心配されてるのかしら?

 ルイス様と私は魔力レベルも雲泥の差だから、仮に結婚したとしても子供が出来ない。お母様の開発された妊娠中のレベル越えの魔道具があるが、それでも一つ上のランク位までだ。今は王族は人数が少ないし、私と仲良くしてるのをよく思ってないのかもしれない。


 「ルイス王子とは、礼拝堂で極たまにご一緒するだけで他意はありません。

 ご存知かと思いますが、私は半端者です。

 なのでルイス王子とどうこうなろうとは考えておりませんので、心配いりませんよ」


 私はルイス様とどうこうなる気はないと、先に言って安心させようとしたのだが、更に困った顔をされた。


 「そういう事ではないんだけどな。ルイスのレベルの事は知っているかい?」


 爽やか少年の顔が更に寂しそうに見える。

 ここは、はぐらかした方が良いのだろうか……?

 王族の魔法レベルなんてトップシークレットな気がするし……ここは知らないふり……?



 フィリアはビンセント王子が名乗られる前は知らないふりをして逃げようとしてましたが、名乗られてしまった為、しっかり対応してます。これはご両親に迷惑をかけたくない一心で、頑張って会話をしてます。目線を合わせられてるかは微妙ですが……?

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