試練への扉
溢れ出した魔力が収束して、前面に伸び試練の扉を作り出した。
自分の試練の扉を見るのは2度目だ。
1度目は、魔法使いになるのが嫌で逃げ出した。
前回はミィやルイス殿下に頼ってしまったけれど、今回は逃げない。
私は意を決して扉に触れた。
扉に触れると、触れた部分からサラサラと砂のような粒子になり扉が崩れていく……。最後には跡形もなく消えてしまった。
「えっ……?」
(どういう事!?)
長年、逃げ続けたせいで、試練の扉が壊れてしまったのだろうか?
私にはもう魔法使いになる資格は無いのだと言われた気がした……。
私は、呆然としてしまった。
少しの間沈黙が流れる……。
「ふふふ。良かったね! おめでとう!!」
沈黙などお構いなしにミィは話しかけてきた。
おめでとう!? 喜ぶ事なの?
以前の逃げていた私ならそうだったけど、今は違う。魔法使いになりたいのだ。試練を乗り越える為に扉が必要なのだ!! ミィは勘違いしている?
「えっと、前は魔法使いになりたくなかったんだけど、今は魔法使いになりたいの。他に魔法使いになる方法を知らない??」
私の言葉にミィは可愛らしく首を傾げた。
「? 分かってるよ?
だからおめでとうって言ったんだけど?」
「えっ?」
「嘘だと思うなら鑑定してみなよ!」
のほほんと言うミィに、私は半信半疑で鑑定をした。
鑑定結果を見て、私は驚きを隠せなかった。
「えっ!? レベル53!!
これって王位魔法使いじゃないの!?」
「ふふふ。凄いでしょう??
私の育て方が良かったのね!!」
「育てすぎじゃない!?」
思わずミィに突っ込んでしまった。
まさかの王位魔法使いだなんて……確かに身体中を巡る魔力は今まで以上なのは確かだ。
これは試練への扉が開いたからと思っていたけれど、扉が無くなってからも体から溢れる様な魔力は変わらなかった。
これが王位魔法使いの魔力……それを実感していると……。
「ふふふ。試練の扉はフィリアが扉に触れただけで、決意と今までの鍛錬を認めたって事だよね〜。さすが私が見込んだフィリアだわ!!」
ミィが得意げに話している。
どうやら、扉に触れた事で試練をクリア出来たようだ。
そんな事ある?
私は、まだ納得できていなかった。
「も〜フィリアは深く考えすぎ!!
試練がいいって言ってんだからいいの!!
わかった!?」
「えっ? あ……。うん。そうだよね。
ありがたい事だわ」
「そう言う事!! じゃぁ、まったね〜」
ミィは、そう言って姿を消した。
そういえば、前もこんな感じであっという間にいなくなっちゃったなと、どこか諦観した気分だった。
この世界が魔法使いと認めてくれたのなら、手順はどうであれ受け入れて、使うべきだ。
私は魔法使いになって、やりたいことがあるのだから。
「ブレンも見守ってくれてありがとう。
思っていた事と違うけれど、結果的に魔法使いになれたのだから、私の望みは叶ったわ」
「はい。そうですね。魔法使いなったことが終わりではありません。これからその力を使い何を為すかですよ」
「そうよね。それが大事ね。
心に刻むわ。ありがとう。
ブレンが見守ってくれて心強かったわ」
「それはようございました。まだまだいつでもお越しくださいませ。心よりお待ち申しております。
何もなくても、話し相手に来てくださいね?」
「あ……。ごめんなさい」
最近は忙しくてブレンとのお茶会はしていなかった。
時間が止まっているからいつでも良いはずなのに……。
申し訳ない気持ちになりつつ、今からじゃぁお茶でも……と思っていたら、ブレンはにっこり笑う。
「今、茶会をしたところで気もそぞろでしょう?
もっと落ち着いた時で良いですよ」
時が止まっているとはいえ、外の世界を気にしつつお茶会は確かに、ゆったりとはできないだろう。
「ごめんなさい。落ち着いたら必ず!!」
「ほほほ。心よりお待ちしております」
全てが終わったらゆっくりお茶会をしようと約束した。




