表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/159

ホログラム

「お母様とお父様……?」


 ホログラムに映る人物が振り返る。その人達はお母様とお父様に似ていた。きっと若かりし頃の両親はこんな感じなのだろうと思う。

 お母様は、今は魔力授受の研究者だけれど、昔は『神の御使い』で外国を渡っていた。お父様は今でも『神の御使い』である。

 映し出されているホログラムは、この地区の津波を2人が鎮める様子が映し出されている。

 このようなホログラムを投影してくれているのは、感謝の表れだったり、本来なら災害になる筈だった事を風化させない為だろう。この地域の人達が両親に感謝しているのは感じられた。

 改めて両親の偉大さに感嘆してする。


それとお母様の若い頃の姿を見て、はやり……と思った事がある。


「ふふふ。そうなるよね〜」


 バネッサの声に視線を向けると、なんとも言えない表情のバネッサがいた。

 ずっとバネッサには、なんとも言えない既視感があった。

 それが今になってようやく気がついた。

 私がどのように切り出したら良いのか迷っていたら、バネッサも私が何を言いたいのかわかったのか、徐に髪を本来の色に戻し、ホログラムと並ぶように立つ。


「やっぱり似てる〜?

 私としては、髪色以外は似てるところ無いと思うのよね〜。

 実際に髪色を変えたら、知ってる人以外は誰も気づかないし?」


 バネッサはそう言いながらホログラムの真似をする。

 確かに全くお母様と同じなのは髪色だけだ。ただ、ホログラムの隣に立つとその対比が見えてくる。

 髪の長さ、目の色、一つ一つのパーツは違うけれど、髪色は勿論の事、笑顔や雰囲気、仕草も似ているのだ。


「とても……似ています」


 最初に会った時の既視感から、きっと親族の誰かなのでは無いか? とは考えていたけれど、若い頃のお母様にここまで似てくると話は変わってくる。

 バネッサの表情から見ても、単なる親族ではなくもっと近しい間柄なのだろう。

 どうやら両親に聞かされていない複雑な過去がありそうだ。


「ふふふ。

 まぁ、ちょっと事情があるんだけど、それは本人に話してもらいましょう? 細かい話は、家に着いてからにしましょうね?」


 バネッサは私に手を差し出した。

 これは転移の合図だ。周りを見渡すと確かに誰もいなかった。髪色を変えた時点で、バネッサの魔力が広がるように感じたから、何かしら魔法がかかっているかもしれない。

 転移は目立つと言っていたが良いのだろうか?

 そうは思いつつも、ここに来て間もない私には判断がつかなかった。長年住んでいるバネッサが良いと言うのだから良いのだろう。

 バネッサがここに連れて来て、私にこれを見せたのは遅かれ早かれ、ここで暮らすには向き合わないといけない事情だからだ。私はバネッサの手を握った。


 ◇◇◇


 転移した場所は、見晴らしのいい丘だった。

 先ほど見た海岸や住宅街が、遠くの眼下に見える。丘には様々な植物が区画ごとに植えられていて、振り返れば少し距離のあるところにポツンと一軒の長屋があった。

 近づくと結構大きくて、3階建ての前世の校舎のような建物だ。


 バネッサは勝手知ったる様にバンと中央扉を開ける。

 玄関の広いホールに、腕を組みウロウロしながら落ち着きのない壮年の男性がいた。

 ぱっと見は、ワンコを思わせるイケメンだ。フワユルのダークブラウンの髪はトイプードルを思い出す。眼は柔らかな翠色で、バネッサと同じだ。バネッサの個々のパーツはこの人から受け継いだのだろう。


 かなり若く見えるが、直感でこの人がバネッサのお父さんなんだろうなと思った。魔道具師の研究者らしく白衣を来ていて、様になっているが目に出来たクマとおどおど落ち着きのない所が、オタク感を出していた。


「帰ったわよ〜!!」


 バネッサの声に、壮年の男性はギョッとして、バネッサをみた。その後、私に視線が動く。

 その目は何故か見開き驚いていて、そのまま固まってしまう。

 なんだろう。この既視感。

 正確な話は聞いていないが、多分私と彼は血は繋がっていない筈なのに、何処か繋がりのある感じ。

 オタクっぽいのと、おどおどしてる所も、私と同じ?

 


 自分よりもテンパってる人を見ると、自身は落ち着くものだ。物凄く見られているのでとりあえず自己紹介をしてみる。


「初めまして、フィリアと申します。

 これからお世話になります。よろしくお願いします」


私は丁寧に頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ