何もかも終わった後では前世の記憶が役立ちません
――放課後ーー
側近二人を呼び出して問い詰める。
昨日の件について。ベルクアードとリリアル、被害者本人、その他第三者にも裏を取った――間違いはない。
「――だから、リリアルは――無実だ!」
「……」
「……」
「――っ!」
二人の反応が薄くて――苛つく。
「昨日、最終祭を脱け出して、リリアルを責め立てていただろう! ――私もだが……」
苦い想いが胸中を占める。
「いや、クロムナード、お前」
王子をお前呼ばわりするのはリンフォカイン。構わないが。
「殿下は――」
アルミナ嬢を選んだのでは? とアクロレイン。
「アルミナ嬢?」
――男爵令嬢、アルミナ・ブローライトのことだろうか?
確かに、婚約破棄宣言した時に傍に連れていたのはアルミナ嬢だが。
――! そうゆう風にとられるのか!
「いや、アルミナ嬢のことは何とも思っていない」
想うのはリリアル一人だけだ、と言うと――
「ぶちっ!」
何かが切れる音がする。
「何とも、思ってない、だと?」
――ガッッ!
アクロレインが、普段の優雅さを振り捨てて掴みかかってくるーー
「アクロレイン、やめろ」
リンフォカインが止めに入るが収まらない。
「俺から彼女を奪っておいて! 何とも思って無いだと?!」
「リリアル嬢にも未練がましくしていたから諦めがつくように悪者に仕立てたのに――」
「――赦さない。お前の下に就くなど、お前が次期王など! 絶対に、認めない!」
"バタン!"と大きく音を立てて扉を開け、アクロレインは部屋を出て行ったーー
「だから、刃を交えて話し合えと……」
その後ろ姿を見送るリンフォカインが騎士団長子息らしく脳筋な発言をしていた……。
――私は、どれだけ鈍いのだろうか……最悪。