何もかも終わった後では前世の記憶が役立ちません
王家の馬車では目立って困るからと、公爵家の馬車で学園へ向かう。
対面にはリリアルとベルクアード、こちらの護衛は御者側へ。
話をするにはその方が都合がいい。
「ベルクアードも、来るのかな?」
見て解るけど不満は隠さない。リリアルの隣に、当然のように座っているのは気に入らない。
「どうぞ、お気になさいませんよう」
"執事とは空気の様なものです"と言うベルクアード。
ーー何気にリリアルの無くてはならないものだ、と宣言していないか?
表面上では微笑のやりとりも、お互い腹の内では罵り合いだろう。
まあでも、確かに。今から話す内容はベルクアードがいたほうが良いかもしれない。
「朝早く押し掛けて、すまないと思っている。そして――」
「改めて昨日の、いや、これまでの事を……謝罪させて欲しい。今まで、本当に――すまなかった」
申し訳ない、そう言って頭を下げた。
リリアルはやはり困ってしまって「お止めください!」と言ってるけど、こればかりは譲れない。
それとリリアルを謂われなき罪で断罪しようとした事も。これから確認――いや、答え合わせをして行きたい。
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――驚くと言うか、呆れると言うか……
全く杜撰、としか言いようが無い。本当にこれが第一王子の参謀――宰相子息――のやることなのか?
昨日、婚約破棄(未遂)の現場にて堂々と"悪徳令嬢の断罪だ"とつらつら口上を述べていたが……
全く根拠の無いものだった。いや、おかしいと思っていた。
「リリアル嬢が王子を奪われる嫉妬心から――」とか、
「リリアル嬢が目立たなくなるから――」とか、
「リリアル嬢が劣等感を持っていたから――」とか。
リリアルは、美人だ。教養もあり、立ち居振舞い、社交も完璧。話し方なども全てが美しく、好ましい。
(ただ私に対しては……笑いかけては……くれないが……)
だからこそ、嫉妬心から――があり得ない。目立たなくなるのは寧ろ喜ぶだろう? 控えめな性格だから。
劣等感? 他の令嬢に劣っているところなど、何一つ無いのに?
――情報収集能力、無さすぎ……参謀……