何もかも終わった後では前世の記憶が役立ちません
「――終わりか?」
叔父上の冷やかな視線が――痛い。
私一人なら被害も少なかったのに。
第一王子の代わりなら……いるのに……。
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「情報操作は、まぁ、参謀の基本だろう。騎士が主上に命を託すのも――当然」
叔父上が話す言葉に少しの希望が?
「だが、お前達は他にも問題を起こしている」
――ある訳なかった……。
叔父上の視線が壁に向かう。
――その先には、学園長。居たんだ。
「愚息達が最終祭を欠席したせいで、苦情が殺到している」
コナー侯爵が嘆いてな――と言う叔父上の表情は見えないが――どう見ても学園長が挙動不審だ。
もちろん、隣のアクロレインも学園長同然青ざめてる。
「なぜか、親代わりの私のところにその知らせが来なくてな」
国王やその側近達は多忙だから、私たちの親代わりが、叔父上だ。
「三年の最終祭出席は義務。卒業条件でもあったはずだな?」
――よもや、王族故の忖度など、有りはしないよなあ? と、顔が見えなくても、だいたいどんな表情で言ってるのか解る。学園長――魂抜けかけてるよ。
「お前達を、このまま家系継承に向かわせることは出来ない」
振り向いて、「因って」と続ける叔父上の表情が――変わる?
「お前らに一年間のやり直しを与える」
――やり直す?
「国政に間違いは許されない。だが、誰しも間違えることはある。主上が配下を諫めることも、その逆も」
今回の様に三人全てに抜りがあるのは論外ーー
「だが。一度目は……見逃す」
精々励め、と叔父上は席を立つ。
去り際に私の頭に手を置く――?
――間違えるな、と。
「(一番目の王子は)替えが利くから"良い"じゃない。(王の)代わりだから、"駄目"だ」
本当に覗き見たみたいに、私の心が解る人だ……。





