百鬼 傘と恋と心中と
私は恋をしていた。
相手は一つ上の学年の同じ部活の先輩である。
出会いは入学式当日に校内で迷っていた時に
優しく手を差し伸ばしてくれた事がきっかけだ。
それからは同じ部活に入ったりして、
半分、私の片思いだった。
ある日、その先輩から告白を受けた。
勿論、即答だった。
それからは毎日が鮮やかだった。
ちょっとした事で
世界が輝いて見えた。
別れは突然だった。
その日もいつもと変わらない
ただの幸せな日常だとおもっていた。
鯉に餌をあげる夢を見た翌日の事だった。
彼は川で溺死していた。
日常に雨が降り始めた。