暗雲
無事にイルヴェルト殿下との婚約の儀も終わりました。
そしてわたくしはその次の日から王妃教育を受けるため王城に毎日通っているのです。
「アリアナ、少し休憩しないか?」
2時間ほど勉強をした頃、ノックの後に殿下が入ってこられました。
婚約の儀から今日で1週間ですが、毎日この時間になると殿下が休憩に誘って下さるのです。
「はい」
そして2人でお茶を飲んだり、庭園を散歩したりするのですが今日は殿下の希望で庭園の端にある四阿でお茶にすることになりました。
「勉強はどうだい?」
「はい。先生が分かりやすくご指導くださるので大丈夫です」
「………そうか。それなら良かったよ」
あぁ、まただ。
最近散歩したりこうしてお茶をしている時に色んなお話をしている。
殿下はわたくしを心配して色々と聞いてくださるのだけど、なぜか日に日によそよそしくなっている気がするのです。
先ほども返事や前に少し躊躇ったような間がありましたし。
そして何より最近は言葉数も少なくなり、本人も気づいておられないとは思うのですが、時々溜息をつかれることもあるのです。
わたくしは何か失敗をしてしまったのかしら?それともやっぱりわたくしなどではダメなのかしら?
その時、殿下の従者の方が近寄ってこられ
「失礼致します。
休憩中のところ申し訳ありません。隣国のキサナ王女がいらっしゃいました」
「あぁ、もう到着されたのか。
アリアナ、すまないがこれからキサナ王女との面会がある。俺は行くが君はゆっくりすればいい。
それと今日の昼食は会食の予定になっているから俺は一緒に食べれない。午前中の授業が終わればそのまま帰りなさい。たまには君もゆっくりすればいい」
「…はい」
キサナ王女。
確か隣国の第1王女でわたくしと同じ歳のはず。何をしにいらっしゃったのかしら。
婚約をしてまだたったの1週間だが、アリアナは不安でしょうがなかった。
それはここのところのイルヴェルトの態度が気になるのもあるが、それ以上に婚約破棄をされたことですっかり自信をなくしていたからだ。
ひょっとしたらあのプロポーズもアリアナを本気で想ってではなく、同情したからかもしれないと、どんどん悪い方に想像してしまっていた。
そして、キサナ王女の訪問で更にアリアナは自信を失っていくのだった。