表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

side アラン

遂にアラン登場です。


僕はアラン・マンテスト。伯爵家の嫡男だ。

いや、嫡男だった、だ。

今はもう違う。


僕は全てを持っていた。

家柄は伯爵家とそこまで高くないものの父は陛下の覚えもよく、僕自身卒業後は2つ歳上の王太子イルヴェルト殿下の側近候補として王城で学ぶことになっていたのだ。


だが、あの日の出来事のせいで廃嫡され、そして王太子殿下の側近という立場もなくしてしまった。





あの日、いつものようにアリアナと別れて帰ろうとした時、通りかかった教室の中から泣き声が聞こえてきた。何かあったのかと覗くと、そこにはフワフワとしたピンク色の髪で、少しタレ目のとても可愛らしい令嬢がいた。

その子は茶色のタレ目からポロポロと涙を溢し破かれた教科書を抱きしめていた。


話を聞くと破られていたと。だけど、自分が入って来る前に教室から去って行くアリアナの姿を見たと言う。


はっきり言ってそれはあり得ないと思った。

アリアナほど、優しく思いやりのある令嬢はいないからだ。だが、彼女はここのところ毎日用事があると僕と一緒に帰ることがなくなった。実際教室で分かれてからは何をしているのか全く知らないのだ。

僕自身アリアナと分かれた後は図書館に行って授業の予習復習や領地の経営のノウハウの勉強をしていたので、アリアナも似たような事をしているのだろうと思っていたのだ。


だから、この話を聞いて、僕の知らない間のアリアナの行動にほんの少し疑問を持っても仕方ないだろう。別に泣いている令嬢、リーザの泣き顔がとても可愛かったから絆されたというわけではない。ないったらない!ドキドキしてなんかないぞ!


ゴホンッ


とりあえず、その後は時々リーザと会って話をした。その時に落書きされたり破られた教科書を見せられたりした。その時には必ずアリアナの後ろ姿を見たり、すれ違ったと聞いて少し疑問に思いつつも僕はアリアナを疑い始め、そのうちすっかりアリアナを犯人だと思い込んだのだった。

今思えばなぜあんなに簡単に信じてしまったんだろうと疑問に思える。なぜならそこに何一つ証拠はなかったのだから。


そしてそんな事をされているというのに、アリアナの事を責めることもなく、いや、身分の差から責めることもできなかったのが本当だけど、1人で耐えているリーザにどんどん惹かれていった。


その頃には一緒に過ごすことのないアリアナよりも、可愛らしく僕の事を頼って来るリーザを可愛いと思い少しずつ惹かれていっていた。

そして殆んどの時間一緒に過ごすようになるのは仕方なかったと思わないか?


リーザと一緒に過ごすのは楽しかった。僕を頼り、僕に甘え、時には伯爵家嫡男として、殿下の側近候補として忙しい僕の事を心配してくれるリーザを愛おしいと思った。





それが全て偽りだったなんて。

あんな大勢の前で、ましてや国王陛下方の前で大恥をかかされるなんて!

アリアナだって、折角僕がもう一度婚約しようと言ったのに!

きっと僕に隠れてもともと2人はそういう関係だったんだ。


僕を騙したリーザも許せないが、僕がいながら殿下と関係を持っていたアリアナがもっと許せない!

このお礼はきっとさせもらう!




こうして思い込みと検討違いの恨みを持ってしまった僕は、益々自分の立場を悪くしていっているのに全く気づいていなかった。

気づいた時は伯爵家嫡男という立場どころか、本当に全てを失ってしまうのだ。

アランいい人で終わりたかったのになぁ。なんか悪役にどんどんなっていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ