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プロローグ
紅い。一面炎の海。
燃えている。木造の家や俵に次々と引火し、燃え広がる。
焔は逃げ惑う人を包んでいく。
「母さん!!父さん!!ひぐっ、母さんっっ!!」
燃える家の前で泣き叫ぶ少年が一人。手には蒼く輝き翼紋が記された菱形のアミュレットを握りしめている。
アミュレットを握る少年の手は次第に弱まり、今アミュレットを落とした。
「父さ──」
グシャリ
紅い翼に紅い尾。体中を赤黒い鱗に包んだ巨大な蜥蜴。家屋を容易く踏み倒していくその巨大蜥蜴はこの集落最後の生き残りの少年の頭を食いちぎった。
気まぐれの蹂躙を終えた巨大蜥蜴『豪炎竜』は咆哮を上げ、飛び去って行った。
辺りの炎は尽きず燃え広がり、少年の残したアミュレットをも炎で包む。
『スキル 「業火」を入手しました。 アタックスキルが無い為アタックスキルに自動設定します』
『スキル 「火炎耐性」を入手しました。 耐性スキルが無い為耐性スキルに自動設定します』
本来、魔を退けるアミュレットが魔を得た瞬間だった。