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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お仕事

閻魔さま、助けてください!

作者: 琴春

お仕事って大変って話を書きたかったんですが、なぜかこんなことに。


 閻魔さまって大変だ。

 「ほら、一列に並べ!」

 獄卒たちが叫んでる。

 君たちもご苦労様ー。

 これ終わったら飲みに行こう。

 

 「まずは君からね。お名前と年齢教えてね」

 「阿達宗太郎です。14歳です」

 「宗太郎くん、14歳ね」

 

 名前と年齢を確認し、手元の水晶を覗く。

 すると、彼の生前の姿が映る。

 

 「んー、今までずっと病院生活でほとんど外に出られなかったんだねー」

 「はい、ここに来るまで歩いてきたんですが、こんなに歩いたの初めてで、とても楽しかったです!」

 「そう、それは良かった。でもこれからの方がもっと楽しいよー。君は天国に行ってね。今まで辛かったね。よく頑張りました。」

 「っ、ありがとうございます。閻魔さま」

 「うん、元気でね。行ってらっしゃい」

 獄卒が少年を天国への門の前に連れていく。

 「行ってきます!」

 少年は笑顔で門をくぐっていった。

 

 「はい、じゃあ次はあなたね。お名前と年齢教えてください」

 「…斎藤恵美。36歳」

 「恵美さん、36歳ね」

 

 手元の水晶を覗く。

 

 「あなたは結構いろいろやっちゃってますねえ。窃盗に暴行、何回も逮捕されてます」

 「どうせ地獄でしょ。さっさとして」

 「まあまあ、そう焦らずに。ゆっくりお話しましょうよ」

 「…めんどくさ」

 「恵美さんホストクラブ通ってらしたんですか。いいなー、イケメンがいっぱいのところ。私も一回行ってみたい」

 本音を呟くと、獄卒たちからぎょっとした目で見られた。

 

 …そんな目で見なくてもいいじゃん。

 イケメンに会いたいもん。

 

 「でも、お金なくなったからって盗みは駄目ですよ。盗られて困る人がたくさんいるんだから」

 「みんなタクヤのためなの。私が彼をNo.1にしたのよ。そのため犠牲になってもらったの。光栄でしょ」

 「そのタクヤがどんな人なのか、あなたはちゃんと分かってる?」

 「はあ?当たり前でしょ。いつから知ってると思ってるのよ。タクヤは優しくて思いやりのあるいい子よ。大金を使う私にいつも『そんなに使ってもらったら悪いよ。今日はこれだけにしよう?』って言ってくれるのよ。本当に天使よ」

 「…だいぶ騙されてるねー」

 「何がよ」

 「タクヤってこの子でしょ?よく見ててね」

 私は横へ退いた。

 すると、私の椅子の後ろにあるスクリーンに一人のホストが映った。

 「!タクヤ!」

 恵美さんが声をあげる。

 

 

 『恵美?ああ、あのおばさんのこと?確か死んだらしいよ。刺されたんだよな?自業自得じゃね?結構やばかったし。なんか目が血走ってんだよ。めっちゃ怖かったわ。ま、金落としてくれてたからいいんだけど。それしかあいつに用ねーよな』

 下卑た笑みを浮かべながら恵美さんを侮辱し続けるタクヤ。

 

 

 「…タクヤ?」

 恵美さんの顔に動揺が広がる。

 

 「これが彼の本性よ。これを見る限り、私には優しい子に見えないなあ。」

 「違う、っ、これ、タクヤじゃない」

 「本人ですよ。恵美さん。いい加減気づいて」

 涙を浮かべて、恵美さんが私を見る。

 

 「こいつはこんなに下衆な男だよ。女性をたぶらかして儲けてる。ホスト全員そんなやつばっかりじゃないのは私も知ってる。恵美さんは騙されちゃったんだ。それを受け止めなきゃ前に進めない。あなたが今できることは、とにかく自分の犯した罪に向き合って、償うこと。よーく反省したら、私が閻魔さま特製切符を発行してあげましょう」

 「…なにそれ」

 恵美さんは涙声で問いかける。

 

 「時間制限付きで生者に言いたいことを伝えに行ける切符だよ。そこで思ってることを彼にぶちまけて、すっきりして帰ってきてね。そしたら転生の準備をしましょ」

 「…転生できるの?私なんかが」

 「ちゃんと反省したらだよ」

 「…ありがとうございます、」

 「さあ、あなたがこれから向かう先は地獄だよ。きついけど頑張ってね。行ってらっしゃい」

 獄卒が彼女を地獄への門の前に連れていく。

 「…行ってきます。ありがとう、閻魔さま」

 最後の方は小さかったけど、ちゃんと聞こえたよ。頑張って反省してね。

 

 その後も何百人と裁いて、ようやく本日の業務終了。

 お疲れ様でした。

 

 さあ、みんなで飲みに行こーう!

 

 「聞いてくださいよ閻魔さま!」

 「なんだね」

 「嫁が最近浮気してるかもしれないんです!」

 「知らんわ」

 当事者同士で話とくれ。

 閻魔さまは知らないよ。

 

 「え、閻魔さま!」

 「んー?何事よ」

 「あの神様が世代交代とか言って、新しい神様候補連れてきちゃってます!」

 おやおや。あのじいさんは。

 

 「はいはーい、行くよー」

 飲み会はまた今度だね。

 

 あー、閻魔さまって大変だあ。

 

これも神様視点バージョン書きたいですね。


誤字脱字、おかしな表現などありましたら教えていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 閻魔様も大変だけど、彼?の愚痴は誰が聞くのやら……
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