初クエストは、問題だらけ!
十五話目です。遅くなってほんとにすいません。
ウキウキ気分で俺は、城壁に着き。依頼用紙と冒険者カードを見せる。
城門に待機している衛兵の一人が、依頼用紙を見た後、カードを見る。そして困った顔をした。
「シロくんだっけ?悪いけどこの依頼は、受けられないよ」
「何でですか?」
「この依頼は、冒険者ギルドに持ってけば。ランクEのクエストになる、君はまだGランクだろ。Eランクの仲間が居れば大丈夫だけど」
「あっ!」
クエストは、自分のランクの一つ上までしか受けられない。今俺は、Gランクだから受けられるのはFランクまでである。
俺は、何とか受けたいと事情を話すも。
「受けさせてあげたいけど、こっちも仕事だからね。それに、最近は森が変だと他の冒険者が言ってたから。余計に受けさられないよ」
意地でも、行こうと思ったが。そうすればクロにも迷惑がかかる。色々考えるが結局、良い考えは思い付かず。途方に暮れながら、シャンマオの店まで帰ろうとしたら。
「何か困ってるにゃ」
猫耳の女性に声を掛けられた。俯いてた顔を上げると思わず声が出た。
「冒険者ギルドにいた。猫耳メイドさん!」
今回は、メイド姿では無く。魔法使いが着ていそうなローブ姿だったが、声と耳をピクピクさせている姿で解った。
「良く覚えてるにゃ、さすが変態にゃ」
「変態って…その名前何処まで広がってんだ?」
俺が、こめかみを押さえながら言うと。
「親父が酒屋で言ってたにゃ、[俺の娘を口説いた、シロって名の変態がいる]ってにゃ」
「俺の娘を口説いたって…オルンか、あの野郎」
今度会ったら嫌がらせの一つか二つしてやろうと思う。ただ、その前に確認すべき事が一つ有った。
「親父ってもしかして、オルンの娘さんですか?」
「そうにゃ、一番下の娘にゃ」
一番下の娘は、ミャオと名乗ると。何を困ってるのか聴いてきた、なので俺が事情を話すと。
「なら、うちが付いてくにゃ。こう見えてもEランクにゃ」
そう言いながら、見せられたカードには確かにはっきりとEの字が書いてあった。
「良いんですか?一緒に行って貰っても」
「良いにゃ。うちも、丁度サイクロプスに用が有るにゃ」
「そう言うことなら、御願いします」
俺は、ミャオとパーティーを組む事になった。
「そう言えば、ミャオさんって職業何なんですか?」
城門を出て、森に向かう途中職業を聞いてないことを思い出した。
「うちは、黒魔導師にゃ。得意なのは、草にゃ」
ミャオは、何処から出したのか? いつの間にか杖を握っていた。
「えっと、黒魔導師って事は、前衛が俺って事ですよね」
「そうにゃ、頼りにしてるにゃ」
俺は、クロを守る際の練習もかねて前衛で敵の足止めをする事になった。
森に入って、暫くすると何か生き物の気配がした。そっちに意識を集中されると、三匹のゴブリンが居るのが見えた。
「ミャオさん、あそこにゴブリンが居るの見えますか?あの木の側です」
「いたにゃ! 良くあんな遠くの見付けたにゃ」
ゴブリンとの距離は直線で約400mあり、森の中では緑色の肌のせいで普通なら見逃していた。
「こいつのお陰かな?被ってから感覚が鋭くなってる」
俺は、被っている白狐のお面を触る。ミャオには、反対されたがせっかく買ったのに使わないのは、勿体無いのと。自分の中では気に入ってるねので、被っている。
被ってからは、五感全てが鋭くなり。本の僅かな気配ですら感じ取れる様になった。
「そうにゃ?それなら凄いにゃ!…でも、それ嫌にゃ感じがするにゃ」
俺は、何も感じないが。ミャオから擦ると何とも言え無い恐怖に近い感じがするらしい。
「まあ、呪いが懸かってるらしいですからね」
白狐のお面にも呪いが懸かってるらしく。もしあの時に嘘を吐いて被っていたら精神が発狂してた可能性が有ると、後からシャンマオに言われた。
選ばれ無かったら、精神が発狂するが。選ばれれば、白狐の力が宿ると言われている。白狐の力は、俺には解らないが。実際に五感と身体的能力が、かなり上がっていた。
俺は、良い貰い物をしたと思いつつ。ゴブリンの事に意識を戻す。
「では、自分が先に出て。注意を引きますので、ミャオさんは後ろから付いてきて魔法が届く距離に為ったら。魔法で援護御願いします」
「解ったにゃ、任せるにゃ!」
俺は、背負っていた無斬りと龍喰らいを両手に持つ。そして一度深呼吸してから、ミャオに合図を送った後全力でゴブリンに向かった。
(体が軽い、此れなら気付かれる前にかなり近付けるな)
ゴブリンとの距離が、後十mを切った時やっとゴブリンが気付く。
「ギギャ!」
ゴブリンの一匹が弓を慌てて構え、矢を射ってきた。
(クロのが速いな……投げろって事か?)
右手に持っていた龍喰らいが、獲物を見付けた事を喜ぶかの如く震える。
「よっしゃ、行ってこい!」
俺は、掛け声と共に龍喰らいを投げる。投げられた龍喰らいは、獲物を喰らう為に真っ直ぐに一番近くのゴブリンに向かう。
「おい!…嘘だろ」
矢を狙って投げた筈が、ゴブリンに向かって飛んで行った。龍喰らいを見ながら叫ぶ。矢は、もう目と鼻の先だった。
(これ刺さるな…)
諦めて、刺さっても怪しまれない様にするにはどうするか考えていたら。ほぼ無意識に左手を上げていた。
ヒュンと風切り音がした瞬間矢が、縦に真っ二つになる。
「…無斬り?」
俺は、無意識に左手の無斬りを見る。そこには、役目は果たしたと言わんばかりに、無斬りが刃を一瞬光る。
俺が、無斬りに意識が要った時。
「ギャシャァァァァァ」
物凄い断末魔の悲鳴が上がった。悲鳴が上がった方を見ると、上半身を斬られた言うより、食い千切られたかの如く。無残に喰われ血肉を飛ばしながら絶命するゴブリンが見えた。
「うわ…地面も喰われてるし」
龍喰らいが刺さった地面も、無残に抉り獲られていた。俺は、その威力に驚く。
残った二匹のゴブリンは、何が起こったのか解らずに。ただ、呆然んと立ち尽くしていた。
俺は、そのまま龍喰らいを拾い。残った二匹をそれぞれの得物で斬る。
無斬りは斬った感覚も余り無く、斬られたゴブリンも気付かなかったのか。もう一匹が龍喰らいに喰われて、血肉を飛ばしながら倒れたのを見て逃げ、なん歩か目でずれるように斬れて倒れた。
血だらけの龍喰らいと、血が一滴も浸いていない無斬りを見て俺は、溜め息を吐いた。
(俺こいつらに、良いように扱われてるな)
俺は、両手の得物を見る。無斬りは良く解らなかったが、龍喰らいは、まだ足りないのか?血肉を味わうように小さく震えていた。
「うちの出番が無かったにゃ」
遅れてミャオが近くに来る。俺はミャオに何て言おうか悩んでいると。
「シロは、まだ武器に扱われてるにゃ。もっと練習するにゃ」
「ミャオさんから、見てもやっぱり。武器に扱われてますか…ハアー、こいつらを扱うのは難しいな」
俺は、今だに血肉を味わっている龍喰らいと。何を考えてるか解らない無斬りを見て、また溜め息を吐いた。
「そう落ち込まないにゃ、最初から上手くは扱え無いにゃ。地道に頑張るにゃ」
ミャオさんにそう言われ、俺は元気を取り戻す。別にメイド服姿のミャオを思い出し、想像でメイド服姿のミャオが上目遣いで。頑張るにゃご主人様。頑張ったらご褒美上げるにゃ…とか言ってるのを想像して元気を取り戻した訳では無い。
「元気になった見たいにゃ…メイド服は仕事着にゃ」
ミャオが、言いながら少し離れる。どうやら、妄想が漏れでていたらしく俺は、慌てて妄想をかきけしミャオに謝る。
「シロは、ほんとに変態さんにゃ。うちは襲われないか心配にゃ」
「襲う事は絶対に無いですよ。ただ、妄想が暴走するのは絶対に有りますけどね」
クロが要るのに、他の女性を襲う事は絶対にしないと心の底から誓いをたてている。妄想の方は、一生治らないと思う。
「変な事を言い切るにゃ…シロは面白い変態にゃ」
俺の名がただの変態から、面白い変態に変わった瞬間だった。
「シロが強いのは解ったにゃ、にゃら此所からは別れた方が効率が良いにゃ」
「ミャオさんは、一人で大丈夫ですか?」
「にゃ!…新米に心配されたにゃ…良いにゃうちの強さを見せるにゃ。シロは手出し無しにゃ」
ミャオは、そう言うと森の奥に向かう。俺は、万が一の時すぐに助けられる様に両手に其々を持ち、付いていった。
「【草木よ敵を縛り動きを封じよ…草の鎖】」
ミャオが呪文を唱えると、細長い草が生え瞬く間にサイクロプスに絡まり動きを封じる。それでもサイクロプスは抵抗し草を千切ろうとしていた。
「【草花よ動きを封じられし者の血肉を喰らいその実の苗とし、血のような紅き花を咲かせよ…血染めの桜】」
ミャオが続けて詠唱すると、草に捕らえられていたサイクロプスの動きが止まり、内側から膨れ上がると肉や皮膚を貫き。一本の樹が生えたそして、サイクロプスが完全に樹になると紅い花が咲いた。
花が咲いて散ると、樹も枯れ後に残ったのは。サイクロプスの中で魔力が石になった魔宝石だけだった。
ミャオは、それを拾うと俺に向かって笑顔で見せる。
「ミャオさん凄いですね」
俺が、そう言うと。
「当たり前にゃ、褒めても何も出さないにゃ」
言葉ではそう言っているが、嬉しいのか尻尾がローブから出て揺れていた。
俺がその尻尾を見ていると、気付いたミャオが慌ててローブで隠す。その後咳払いを一つしてから。
「これで、うちの実力は解ったはずにゃ。シロは武器の特訓、うちは、うちのクエストを片付けて来るにゃ」
「クエストですか?」
「そうにゃ、クエストにゃ。にゃから、今から三時間後に城門近くに集合にゃ」
「今から、三時間後ですね。了解です、ミャオさん気をつけて下さいね」
「それは、こっちの台詞にゃ…シロは、うちの心配よりチャンと魔宝石壊さずに倒すにゃ」
「うっ…頑張ります」
さっきの戦闘では魔宝石を壊してしまっていた。龍喰らいの方は言うまでも無く粉々になっていたし、無斬りの方は、綺麗に二つになっていた。
ミャオは、頑張るにゃと言って俺とは反対の方に行ってしまった。
ミャオが居なくなった後、暫くミャオが行っ方を見てから。
「よし、頑張るぞ。エイエイオー」
俺が気合いを要れるために大声を出すと、数匹のゴブリンが意気なり襲ってきた。
俺は、急いで取っていた白狐のお面を被ると。無反応を極め込む無斬りと、逆に嬉しそうに震える龍喰らいを構えた。
「シロは面白い変態さんって帰って報告にゃ。…さて、シロからも大夫離れたようにゃし。うちも本気でいくにゃ」
そう呟いたミャオの目の前に、鎧兜姿の赤い目をしたサイクロプスが現れた。
「うちも大変だけど頑張るにゃ」
ミャオが詠唱を始めるのと同時に、鎧兜姿の赤目のサイクロプスが、棍棒を振り上げた。
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