職業決定!……ネタですか?
十三話目です。
冒険者ギルドに着くなり、俺はクロの手を握ると。すぐに受付をしていたミントを見つけ。前回の御詫びと、魔法適正の検査のやり直しを御願いした。
買っておいた、ぬいぐるみ(ミントには、ピンクウサギ)を渡し。エルフのリリア・フルトゥナにも謝りたい事を説明する。最初こそ辞めておいた方が良いと言い続けていた、ミントもクロに説得され了承した。
リリア・フルトゥナの用意が出来るまで、待機室で待ってたらミントが突然俺を見ながら。
「シロさん、何だか嬉しそうですね」
「あっ、解ります。俺、今とっても嬉しいですよ」
「嬉しいのは、良いですが。絶対にもう変な事をしないで下さいね!」
「大丈夫、変な事をしたら。私が止める」
「クロさんが言うなら安心です」
クロの答えを聞いて、安心した様に笑顔になるミントを見ながら思う。
(何でクロって、こんなに信用されるの速いんだ?)
そう思いながら、隣にいるクロを見る。今は、男裝しているので少し、男っぽくなっているが。
(ショートヘアーも似合うな。今度男裝してない時、ツインテールや、三つ編みにして貰える様に頼んでみよ)
クロを見たら、違う事を考えていた。他にどんな髪型が良いか考えていると、待機室のドアがノックされ。呼ばれる。
「お客様、用意が出来ました」
その声で、思考を切り換える。
(よし、ちゃんと謝ろう)
そう思いながら、待機室を出る。
「うわー……完全に敵意剥き出しじゃん」
前回同様、何もない拾い部屋に一人の女性が立っていた。
前回と違うのは、もう魔法水晶が用意されているのと。一人の女性、リリア・フルトゥナが完全武装で立っていた事くらいである。
(全身鎧で固めてるし、顔が見えない筈なのにメッチャこっち睨んでるの解るし……うん、これ許して貰うの無理かも)
リリア・フルトゥナは、全身をフルプレートの鎧で固め。何時でも剣を抜けるように既に手を置いている。
「シロ大丈夫」
クロが、笑顔で俺を見る。その笑顔に勇気を貰った俺は、気合いを入れリリア・フルトゥナに向かって歩く。
「死んでも骨は拾うから、ネズキチが」
俺は、ネズキチが。の部分は聞かなかった事にした。
「そこで、止まれ」
リリア・フルトゥナまで後五m弱の所で止められる。
「それ以上近付けば、容赦なくその首切る!」
言うと同時に、剣を抜いた。俺は、袋を置いた後両手をあげて下がる。
「何の真似だ!」
「いや、前回の事謝りたいからさ」
俺は、ある程度下がり、土下座をする。
「本当にすいませんでした。あの後クロに聞きました、俺エルフにとって耳がそんなに大事だとは知りませんでした」
「知らなかったからと言って、意気なり押し倒したのは事実じゃないか!」
「それは、俺の早とちりで…とにかく、すいませんでした。御詫びの品がその袋に入って居ますので。良ければ貰って下さい」
俺は、土下座のまま待つ。音でリリア・フルトゥナが袋を取ったのを確認してから、顔をあげる。
そこには、乙女がいた。
袋の中には、真っ白な羊のぬいぐるみを入れて置いた。熊男ことオルソの娘が働く店の一番人気商品だ。その羊を大事そうに抱きながら。たまに
「お前の名前はそうだな…」
なんて呟いている。正真正銘乙女がいた。俺は、どうすれば良いか後ろを見ると。同じように困惑しているミントと、目を瞑り何かに意識を集中しているクロがいた。
(ヤバイ、これは予想外だ…四隅の人達も困惑してるのか、気配駄々漏れになってるし)
暫くそのまま時間が過ぎた後、
「よし、お前の名前はモフだ」
名前が、決まったのか。嬉しそうに羊のモフちゃんの頭を撫でる。
このままだと、長く成りそうなので。恐る恐る声をかける。
「…あの、それで。許して貰えますかね?」
「……はっ!!」
そこで、自分が何をして要るのか気付いたのか。物凄い勢いで壁際まで下がった後、大事そうにゆっくりぬいぐるみを、置いた後俺の前まで戻ってきた。
「あんな物で許される程、エルフの耳は安くない。……ただ、今回は、クロさんが罰を与えた様だし。私もそれで納得した。
だから、今回はクロさんに免じて許す……断じてぬいぐるみが、可愛いからじゃない………さっさと立って魔力適正の検査をしろ、私だって忙しいんだ!」
そう言うと、ぬいぐるみの側まで行き壁に寄り掛かる。
「えっと、リリア・フルトゥナさんの許可も降りた事ですし。魔力適正の検査を始めたいと思います」
ミントが、魔法水晶の前まで行く。俺とクロもそれに続く。
「では、簡単に説明しますと、この魔法水晶に手を置いてもらいます。そうする事で魔力が有るか、有る時にはどの属性か解ります」
「ミントさん質問良いですか?」
「はい、大丈夫です」
「えっと。魔法の属性って何ですか?」
「魔法の属性ですね。えっと、魔法には、それぞれ。火、水、草、風、雷、土、氷、闇、光の基本の九属性と、神聖魔法、暗黒魔法、無属性魔法の三つの魔法に別れます。
基本の九属性はそれぞれに苦手とする属性があります。覚え方はそれぞれ、
火は氷を溶かし、氷は草木を氷らす。
草は大地から栄養を透いとり、土は雷を防ぐ。
雷は風を切り裂き、風は水の流れを変える。
そして水は火を消すです。後、闇と光は御互いが弱点になります」
「えっと、要するに。火は氷に強い。氷は草に強いって感じでみれば良いんですね」
「はい。そうですよ、それで合ってます」
「あと、神聖魔法、暗黒魔法、無属性魔法って何ですか?」
「神聖魔法、暗黒魔法の二つは、光魔法と闇魔法の上位の魔法で、種族的には天使属や悪魔属が覚えています。ただ、極希に適正が有り覚える人達もいます。特にエルフの方々は、神聖魔法を覚える確率が高いです。
無属性魔法は、基本属性以外の魔法を覚える事の出来る方ですね。例えば錬金魔法や、召喚魔法等です」
「解りました。最後に一つ良いですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「何で死霊使いや、暗黒魔法に適正が有ると調べられるんですか?」
「えっとですね、それは…」
珍しく、ミントがうつ向く。どうしたのか声をかける前に。
「昔ある一人の死霊使いが、街を二つ地図から消したからだ」
いつの間にか、ぬいぐるみを片手に持った。リリア・フルトゥナがいた。今も言いづらそうにしているミントの変わりに答えてくれた。
「地図から消したって…どういう事ですか?」
「そのままの意味で、兵士はおろか住民まで皆殺しさ。それから、闇に飲まれ易く。破壊衝動に襲われやすい、暗黒魔法と死霊魔法を禁じたわけだ」
「二つの街って何れくらいの人がいたんですか?」
俺が、恐る恐る聞くと。
「二つの街合わせて、最低十万人はいた筈だが。生き残りがいないせいで何人死んだか、正確にはわからないよ」
「じゅ…十万人って」
余りの多さに、俺はただ黙ってしまった。ミントやリリア・フルトゥナも誰も喋らず。重い沈黙が流れた。
「過去の事より、今は魔法適性の検査が先」
クロは、そう言うと魔法水晶に手を置く。それを見たミントが慌てて確認にはいる。
「えっと、色が濃い青と少し黒色が有りますので。クロさんは、氷の適正が高いですね。後、少しですが闇の適当も有るようです」
「そっ、なら氷の魔導師で登録する」
「あっ。はい、解りました。でも他の検査は受けなくて良いんですか?」
「大丈夫」
「解りました。ただ、シロさんがまだですので登録は少しお待ち下さい」
「ん、解った」
「次は、シロさんですね。クロさんみたいに此所に手を置居てください」
「よし、何が出るかな」
俺が、腕捲りをして気合いと期待を込めて言うと。
「シロさん、面白いですね。調べるだけなので何も出ませんよ?」
ミントに笑われた、良く見ればリリア・フルトゥナも僅かに肩が震えていた。
(あれ?何かうけた…クロはどうなんだろ)
手を置きながら、クロを見ると。何時も通りだった。
「シロさん、もう離して良いですよ」
いつの間にか、終わってたらしく。振り返って見ると、何の変化も起きていない魔法水晶があった。
「あれ?俺は…」
「シロさんは、無属性魔法に適正が有りました。ただ、魔力が弱いので登録は、残念ですが出来ません。どうします、今日他の職業の検査を受けますか?」
どうするか確認をするために、クロの方を向くと。
「やって来て良いよ」
と、言う事なので
「御願いします」
「はい、ではまず剣士からですね」
俺は、ミントの後に着いていく。クロは、先に登録を済ませに行くと言って受付の方に向かっていった。リリア・フルトゥナは、ぬいぐるみを大事そうに持って、俺の検査に付いてきた。本人曰く
「ミントと、二人っきりにさせる訳にはいかない。何か合ったら即切る為」
だそうだ、剣士の検査の後、槍術使い、棍術使い、楯職、弓使い、格闘家、狩人等受けられるだけの職業をうけた結果。
「一番適正が高いのが大鎌使いですね、他は、軒並み平均点ですけどどうします?」
「……大鎌使いで良いです」
「解りました。では、大鎌使いで登録してきますね」
笑顔で去って行くミントと、役目を終えてぬいぐるみを持って、帰るリリア・フルトゥナを見ながら、俺は思う。
「大鎌ってネタ武器かよ。これで俺が、骨だったらアンデットだし意外と似合うかも知んなかったよな……って、大鎌でどうクロを守りながら戦うんだよ」
途方に暮れながらクロに報告に向かう。クロは、少し笑った後に
「間違って、斬らないでね」
そう言って、ギルドの出口に向かう。俺は溜め息を吐きつつ、クロの後に着いてく。
「よし、後で特訓だ。攻めてまともに扱える様にならないとな」
俺は、そう自分に言い聞かせ、クロの隣を一緒に歩く。
冒険者ギルドから少し離れた、自分の家でリリア・フルトゥナは、鎧を脱ぐと持っていたぬいぐるみに目を落とす。そして
「君は、此処だな♪」
笑顔で、一番目立つ所に羊のぬいぐるみを置く。廻りには、沢山のぬいぐるみ達がいた。
「それにしても、シロと言ったか?あいつの適性は可笑しいだろ、適性120って…私ですら、愛称が良いこの剣で60を越えるか越えないかなのに、ギルドの大鎌であの数値は異常だな。いちを、ギルドマスターに相談しとくか」
一瞬真面目な顔になったが、ぬいぐるみ達を見てすぐに笑顔になるとぬいぐるみだらけのベットに飛び込んだ。
ぬいぐるみ達に囲まれた顔は、戸手も幸せそうだった。
冒険者ギルドの一室で、一人の女性が何かの紙を見ていた。
「あら、この子達面白そうね!」
そう言って女が紙を置く。見ていた紙には。クロとシロの事が書いてあった。
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