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What is the Three Laws of Robotics?

話が進まない(半ギレ)


1/26

ガールズラブ要素を念のため入れておきましたが、正直絡みを表現できる気がなくなってきたのでこれを見て来る人に残念な思いをさせないためにも外そうかなあと。

TS設定も正直いらない……いらなくない?

 はるか上空まで打ち上げられた感応種達は、みるみる内にその高度を下げ、ぐしゃり、と生理的嫌悪感を抱くような音とともに、最早凶器と化した地面に強かに打ちつけられた。

 ぞろぞろと地面から這い出たウォール達は、足や首があらぬ方向に曲がった感応種の死体を見下ろすと、頭をその巨大な足でスイカが割れるような音とともに次々に踏み付けていった。幸いにもと言うべきか、不幸にもと言うべきか――この場合は後者だろう――地面に打ち付けられて尚かろうじて息のあった一匹も、その内の一体の振り下ろした足によって、地面にへばり付くシミとなった……ネーナの目と鼻の先で。


 うげえ、と口に少し入った肉片やら骨やらが混じった雪と土をぺっぺっ、と青い顔をして吐き出しながらネーナは、飛び掛かってこなかった残りの感応種の様子を横目で窺った。

 目の前で仲間を殺されたら怒り狂って仲間でも呼んで襲い掛かってくるのではないか、と危惧していたが、残りの感応種はすっかり尻尾を丸めて地面から現れたウォールの一挙一動に気を配っており、背後で小枝一本折れる音でもしたら逃げ出してしまいそうなほど委縮してしまっていた。


(できることならば残りの分も回収したいところですが……どうなさいますか?)

「……いや、いい……」

(かしこまりました)


 ネーナがそう力なく答えると、ウォールの一体が盾と拳を打ち付けてガンガンと騒々しい音を打ち鳴らす。それに驚いた感応種達は、きゃんきゃんとまるで子犬のような鳴き声を発しながら森の奥へと消えていった。




 ***




 下の方がショベルのように尖った盾を器用に使ってウォール達に掘り出してもらったネーナは、血の匂いを嗅ぎつけて他の肉食動物や感応種が寄ってこないように2体のウォールを使ってシェルタ―まで残骸を運ぶよう指示を出し、3体のウォールに守られながらその様子を手頃な岩に腰かけてメムの計画の詳細を聞いていた。

 自慢の盾を器用に使いつつウォール達に解体されていく感応種をじっと睨みつけるように眺めつつ、眉間に皺を寄せ、足を組みながら貧乏ゆすりをするその姿は、顔立ちが非常に整っていることを差し引いたとしても、注文した料理のなかなか来ない事に苛立つ、質の悪い居酒屋の常連のオヤジにしか見えなかった。

 ウォール達があくせくと働いて感応種の残骸がほとんど原型を無くした頃、ネーナがおもむろに口を開いた。


「……なあ、何でこんなことをしたんだ?」


計画の詳細――ネーナを『エサ』として埋め、その周囲にウォール自身も盾を蓋として埋まり、引き寄せられた動物を一網打尽にする――を聞かされたネーナは、相も変わらず眉間に皺を寄せたまま、そう問いを放った。


(おめでとうございますネーナ様。オドの貯蓄限界を拡張するため回収が少し遅れたのと、拡張自体の為にオドを使用したため少々少なくはなったものの、先ほどの感応種より確保できたオドは、オドの貯蓄可能容量を拡張した分を差し引いても8.5ハルト……ああ、魔導核兵で換算するならばウォール8体と少し程ですね)

「そうじゃなくて……何で俺に断りの一つも入れずにこんな無茶な計画を起こした!?」

(それでは、正直に言えばネーナ様は喜んで承諾なさいましたか? それとも代わりの案などがあったと? 一人で野生動物を相手にしますか? いつ成果が出るかも分からない罠を張る? 鈍重なウォールで駆け回る兎を捕まえる? あまりにも非効率でございます……。)

「そんな事を言ってもだな……もし、もしもだ、あの場でお前の予想外のことが起きたら怪我の一つでもしただろうし、下手したら死ぬかも知れなかった、っていうのは事実だろ? 実行に移す前にきちんと俺に説明して、双方納得できるようにキチンと折り合いを付けてからやる、ってのが筋ってもんだろ……違うか?」

(…………ああ、そのことでお怒りでしたか。……いい機会です、ここで少しネーナ様のボディの機能について補足の説明を致しましょうか……少し、チクッとするかもしれませんよ)

「ああ? お前何誤魔化そうとして……」


 ぎゃいぎゃいとメムに抗議を続けていると、ネーナは背後に控えているウォールの内の一体が動いたのを感じた。嫌な予感がした彼女がとっさに身を伏せると、先ほどまでネーナの首があった辺りを、ウォールの盾が風切り音を立てながら通り過ぎた。

 ネーナは雪の上に身を投げ出したまま叫ぶ。


「……っぶねーなおい!? おい、メム! またお前か!? お前一体何を考えて……」


 と、またもや、ネーナが全てを言い終わる前に視界に巨大な影が映り込んだ。おそるおそる上をゆっくり見上げると、彼女の丁度首の上で盾を少し持ち上げたウォールが目に入り……


(……一度、死んでみましょうか?)


 そんなメムの声とともに盾が下ろされた。



 ***



 本日3度目の覚醒を感じ、ネーナが覚ますと、またもや視界が異様に低くなっている上に今度は頬がひんやりとする。

 大方メムがこちらが反省するようにウォールを使って軽く小突いて気絶させたのだろう、とネーナは結論付けると、手足に力を入れて起き上がろうとした……しかし、手も足も、それどころか首もピクリとも動かない。

 まさか今度は横向けにして首まで埋めたのか? と戦慄すると、どうにか起き上がろうと感覚の無い手足を必死に動かそうとした。すると突然ひょい、と頬を両手で挟まれて何者かに『持ち上げられた』。

 そこでようやくネーナは、今の自分が――信じられないが――生首の状態で、首のない胴体に持ち上げられている、という状況にあることに気が付いた。


(反省しましたか?)

「反省もクソもあるか! おっ、お前……突然なんてことしやがる!? クソっ、ウォール!こいつを止めろ!」


 と、ネーナの顔を掴んでいる腕からメムの声が伝わると、彼女は必死に抗議の声を上げた。

 さっきから死にそうな目に合わされたり、実際一度殺された? のに悪びれる様子もないメムにネーナが怒っていると、


(ウォール達は全て一度分解し再格納しました……何、ちょっとしたデモンストレーションですよ……所でネーナ様?)

「な、なんだ?」


 底冷えするような声でメムが問いかけて来た。

 少し……というかかなりの恐怖を感じたネーナが少し震える声でなんとか返事をすると、


(そんなに怖がることないじゃないですか……ちょっとしたお願い事があるのですよ、簡単な、お、ね、が、い)

「あの……メムさん……なんか……その、いつもと雰囲気変わり過ぎじゃありませんか……?」

(そんなことはどうでもいいのですよ、ネーナ様……私がネーナ様にお願いしたいことは一つ、たった一つだけです、なに、簡単なこと…………何の考えもなく脊髄で物事を考えて発言するのを止めて頂きたい。)

「お、お前……一体何を……」

(ああ、嫌なら別に良いのですよ? もしネーナ様が断られるのならば、そうですね……私はこの体を使ってどこへでも行きますとも、ええ、私にはそれが可能です……そうそう、その場合はネーナ様は何処かへ置いて行かねばなりませんね? ……例えば、あの湖など丁度良いのではないでしょうか? おそらく……その頭に残された魔力ならば……半年、は耐えられるのでは無いかと思いますよ?)

「ひっ……」


 両手で頬を抱える持ち方から髪の毛を片手で鷲掴むような持ち方に変えると、メムは凍りついた湖を指さして、つらつらとそんな恐ろしいことを平然と告げた。それにネーナは、


「分かった、分かったから! それだけは……それだけは勘弁してくれ! そ、そう! 今度からはちゃんと言う事だって聞く! 聞くから! 湖に置いて行くのはやめてくれ! 頼む! この通りだ! ……お願いします!」


 湖に頭だけの状態で一人残され、半年もすれば氷も解けて死ぬまで溺れ続けるであろうビジョンがはっきりと想像できてしまったネーナは、恥も外聞もなく表情筋以外動かない頭で必死に謝った。


(……ふむ、どの通りなのか少しわかり難いですが……いいでしょう、許します。すこーし、気持ち悪いですよ?)


 その態度に満足したのか、メムはネーナの頭を先ほどのように両手で持ち直すとおもむろに地面に置き、足を振り上げ……


 思い切り、踏み下ろした。





 ――と気が付くと、ネーナの頭は元のあるべき位置に戻っていた。


「う、うわあぁあ!?」


 と、さっきまで胴体を見上げていた視点が急に移り変わった驚愕と、確実に感じた強烈な『死』の感覚に腰を抜かすと、メムが先ほどとは打って変わって陽気とも取れるほどの声音で喋り始めた。


(と、まあこのようにネーナ様のボディには自動修復機能が付いておりまして、ボディパーツの一部が何らかの理由によって他のそれと一定時間離れると自動的に分解、あるべき場所で再構築されるようになっています。もちろん、一時的に操作することは可能ですが、私がまるごとコントロールを乗っ取ることなど不可能です。しかし、再構築にはご自身のマナタンクの貯蔵を大量に消費してしまいます。通常ならば大気中のマナで補えるのですが、ネーナ様にはその、少々初期不良、がありまして、何かしらの物体を体内に取り込む必要があります。ああ、ご安心を、毒などもきちんとマナとして吸収されますので……ネーナ様?)


 いつもならこのあたりで遮るネーナの声が聞こえないのに違和感を覚えたメムが問いかけると、


「…………う」

(?)

「うえぇぇえ…………」

(……はい?)


 泣いていた。先ほどまであんなに生意気な態度を取っていたネーナが極度の恐怖と解放を短い間に2度も経験したためか、子供のように泣いていたのだ。これには流石のメムも(……やりすぎたか!)と思い、いつもの無機質な話し方を崩し、


「うぐうぅぅ…………」

(いや、違うんですよ? その、そう! ジョーク! これはちょっとしたジョークでしてね? ほら、ネーナ様ってば長い説明とか苦手じゃないですか? だから、その……ほら! ね!? ……そうだ! 簡易コマンドモード起動! ……ほら! ネーナ様の好きな鎧ですよー! かっこいいですよー! ……これでも駄目……?)


 必死にネーナをあやそうとするメムは、必死に言い訳をしたりウォールを制作したりとあの手この手でアプローチしてみるものの取りつく島もなく、このまま放っておけばいつまでも泣き続けそうであった。


「ふぐううぅう…………」

(ああ、もう……子守りなどマニュアルにはありませんでしたよ……? 一体どうすれば…………ん?高速で動く反応……この波長の数とパターンは……人間と……馬?……馬車か? ……ネーエーナーさーまー、人間ですよー、文明と触れ合うチャンスですよー、これを逃したらいつ次が来るか分かりませんよー? ……どうしますか? ネーナ様?)

「……………………」


 駄目か、と半ば諦めると、


「……く」

(はい?)

「…………いく」


 と蚊の鳴くようなネーナの声が聞こえた。

 ネーナも内心としてはこのまま駄々をこね続けていても状況は改善するどころか悪化の一途を辿ることは分かっていたので、この状況を打開するためにも『よくあるパターン』である『襲われている馬車を助ける主人公』の行動を取ることにしたのである。

 そんな内心が伝わってきて呆れ半分、安心半分に、メムはため息交じりで答えた。


(…………ふぅ……かしこまりました、ネーナ様。これより最短経路を表示……それに伴いウォールの派生形、機動型魔導核兵『ナイト』の開発、および制作を推奨いたします)

メム、7話目にして早々にキャラ崩壊

やっぱり僕は……王道を往く……馬車襲撃ですかね


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