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What? Where? When? Who?

初めてPVを確認したら1000超えててユニークも100超えててびっくりして失禁しました(幼児並みの感想)

着地地点とか全く考えていないけどなるべく失踪しないようにがんばります。

『説明を行うにあたり、いくつかの諸注意が……』

「いやいやいやいや! ちょっと待って、待ってくれ! いくつか質問したいことがたった今できた!」


 魔力が何とか、人格複製が何とかと何かとんでもない発言が聞こえた気がした彼女は、そんなこちらの動揺などお構いなしに説明を続けようとする自称「メム」の説明を大声で遮った。


『……何でございましょう?』


 それを受けメムは、機械であるはずなのに声のトーンをいくらか落とし、心なしか不機嫌な様子でそう答えた。

 そんな様子に、何でこんなにこいつ人間臭いんだ、と少し気後れしつつ、彼女はおずおずと口を開いた。


「まぁ、その……なんだ? 質問したいこと、っていうのは三つある」


 すうっ、と息を吸うと、


「一つに、その、あれだ、魔力? っていうのが一体なんなのかっていうのと、魔力とかいうファンタジーな概念があるなら、ここは俺の知っている世界とは違うのか?

 それと、KM社っていうのは……あの、社長が『世界に存在する物体は原子ではなく全て魔力で構成されている!』とかとんちんかんな事を抜かして有名になった、あのインチキ臭い会社のこと……なのか?」


 そう一息に質問した。

 メムは聞き取れないほど小さな声でため息のようなものを発すると、その質問に次のように答えた。


『……回答します。魔力というのは、我が社が世界に先駆け発見した非生物のすべて――大気からこの星まで――を構成する大源魔力……通称"マナ"と、ありとあらゆる人、動物はもちろんの事、植物から微生物に至るまですべての生物が持つ内包魔力……通称"オド"を総称したものになります。

 そして、二つ目の質問についてですが……「ここが地球である」、ということで同じ世界と定義するのであれば是、ではありますが、あなた様の見知った世界と同じか、と問われると……全くの別物でございます。

 最後に、インチキ臭い、というのはいささか不当かつ不適切な表現ではございますが……おっしゃる通りでございます、KM社……正確には、Knowledge of Magic社が、私メムと、現在あなた様の使用しているそのボディの開発元でございます。』

「やっぱりあのインチキ会社か……ってそうじゃなくて! この世界が俺の知る世界と違うってのはどういう事だ!? 一体何があった!?」

『回答します。現在は、あなた様の記憶する世界から数えて……おおよそ3000年後の地球、元ロシア北西部にあたります。そして、あなた様の知る文明は第三世界大戦、第七研究所大規模魔導転移実験事故を受け、世界の人口は20%を切るまでに落ち込み、当時の化学技術のほぼ全てを「消失」しております……あぁ、ご安心ください! あなた様の「ボディ」の保存に関しましては、我が社の技術を結集して作られたこのD3002型魔導防壁シェルターに守られていたため人格データ転送時の状態そのまま新品同様に保たれております! ……それと、余談ではございますが、あなた様の「素体」は無事に天寿を全うされましたよ。』


 と、衝撃的なことを淡々と、まるで昨日は雨が降った、というのを話すかのようによどみなく、さも当然かのように答えた。


「さっ、さんっ……3000年!? そんな……あぁ……くそっ……頭痛がしてきた……」

「……ああ……そういえば、さっきから言っている「ボディ」やら「素体」ってのは何の事だ……? それと……その……あれだ……さっき言った「ネーナ」って機械はどこにあるんだ……?」


 突拍子の無い、リアリティのかけらもない答えを聞き続けたせいで頭痛を覚え、前後不覚に陥りそうになりつつも、彼女は、先ほどから気になっていたそんな疑問を口にした。


『ああ、それについてですが……そろそろ、時間ですね』

「はぁ? 一体何の話を……」


 言い終わる前に、彼女の身体からはありとあらゆる力が抜け、へにゃ、とまるで操り人形の糸を離したかのようにその場にくずおれた。


(……え?)


 遠くなりゆく身体の感覚を感じながら、沈む夕日のように薄れゆく意識で、彼女はメムの声を静かに聞いていた。


『大変申し訳ございません。人型人格複製実験装置兼大源魔力運用機試作6号は人格の完全な状態での保存には対応しておりますが、記憶の完全状態での保存に関しましては対象外となっております。

 人格データの破損を防ぐため、機能の一部をオミットすることによって記憶を一時的に読み出せるようにはしておりましたが、人格の安定化が確認されたため、人格のボディへの最終定着プロトコルを開始、それに伴い、ボディの操作にさしあたって認識の齟齬をきたすであろう記憶を削除、再起動いたします。制限されていた機能は解除され、この世界についてからの記憶と、このボディに関するチュートリアルデータ、特にこのボディの運用に支障をきたさない記憶は削除されずに残りますのでご安心下さい。

 この度は、Knowledge of Magic社の実験への協力、人格データの提供に感謝を申し上げます。ここからは新しい身体、新しい記憶、我が社の自慢の製品たちと共に新しい人生をお送りください。』


 触覚、嗅覚、視覚、味覚、そして、ついに聴覚までもが無くなっていくのを感じながら、


『願わくば過去よりも平和で、公平で、平穏な、平坦な世界のあらんことを……』


 たしかに、そんなことばを、きいた、ような、き、が、




 ―――暗転。

タイトル回収っていうのに憧れていました

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