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2/11

Hello,world. Good bye, my son

見切り発車です(逆切れ)

飽きたり飽きなかったりします。




トンネルを抜けると雪国であった――


「……うぇ?」


そんなどこかで読んだような文がよぎるほど「それ」は突然であった。

俺は、突然目の前に広がった木々の生い茂る森に驚き――持ち上げたままの足を下ろした途端に慣れない雪に足を取られて転んだ。


「えっ……わっ、ちょおっ!?」


ぼふん、と雪に顔面から突っ込み……たっぷり5秒は経ったところで、大きな違和感を覚えた。


「寒く、無い……?」


いくら雪に顔をつっこんだままにしても、少しひんやりする程度の冷気は感じるものの肌を突き刺すような冷たさが来ないことに疑問を抱きつつ、ようやく顔を上げてあたりを見回した。


今居る場所は森の中のようで、少し離れたところにはそれなりに大きな湖があり、辺り一面に背の高い針葉樹がいくつも見えた。自分の周りは少し開けていて、周りには大きな石の柱や何か文字、あるいは模様のようなものの書かれた石碑や祭壇のようなものがあり、自分はその中心に位置しているようだった。


……状況を整理しよう。俺は今、森の中にいて、服を着ていなくて……それ以外は全く分からない。夢にしても体の感覚や風景にリアリティがありすぎる。

それじゃあ、これが夢などではないとしよう。じゃあここは一体全体どこの森なのか? 少なくともここは生まれ育った日本国ではないだろう、と思う。意識しないようにはしているけどさっきから見たことの無い生き物がチラホラ見えるし。

……じゃあここは外国のどこかなのか? それもないだろう、こちとら生まれてこの方日本を出たことのない生粋の日本人である。英語もできないし生まれてこの方パスポートに触れたことすらもない。自慢じゃないが病院で「How are you?」と聞かれたら条件反射で「I'm fine thank you!」と元気いっぱいに返す自信もある。

……話を戻そう。最後の可能性として考えられるのはいわゆる転生、とか呼ばれるやつだ。しかし、別にトラックに轢かれたわけでもない、誰かを救ったわけでもない、神様とかいう存在Xらしきものにもまだ会っていない。


思考が完全にどん詰まりに陥った所で、とりあえず何かしら怪我がないか体を見下ろした。

最初に目についたのはさも最初からそこにいるのが当たり前かのように左腕にくっ付いている黒い板である。それ以外はすらっと伸びた腕に華奢な手がある普通に綺麗な腕であった。

腕についていた板から目を逸らすため現実逃避のように足に目線を移そうとすると……


「……はぁ?」


――そこに無いはずの肉に視界を遮られた。


慌てて先ほど見えた湖にかけ寄り、自分の顔を確認してする。

するとそこに映っていたのは……


「……嘘ォ……」


スッと通った鼻筋、小ぶりながらもきれいな形をした唇、大きな宝石を思わせるような瞳、まるで絹を思わせるような背中まで伸びる銀髪……

自分の常識で言う所の「美人」のハードルのはるか上空を行くほどの美少女がそこには映っていた。


……確かに生まれ変わったら美少女に生まれて他の美少女達と一生百合百合して生きていきたいというのは俺の常日頃の夢ではあった。しかし、いざ実際に少女になろう物なら話が別だ。俺は一応は健全な男子高校生――今や「元」が付くが――である。たとえ使う予定が無かったとしても、生まれて来てからずっと一緒に性活、もとい生活してきた自慢の息子との離別は非常に辛いしショッキングだ。


「……後学のために一応、い、ち、お、う、自分で触ってみるか……?いや、べっべべ別にやっ、やましいことは何にも考えてなんか……」


ええい一体誰に言い訳しているんだ男は度胸だいや今はもう女だけどいやしかし心はまだ男のままだし初めて触る女体の神秘が自分のってどうよいやだって…………


「ええいっままよ!」


ツルンッ


「……?」


ツルンッツルンッ


「………………」


「……『そっち』まで無いのかぁ……」


そう、驚く事にこの体には生物には必ず付いていて然るべきである「それ」が無いのである。もしや、と思い恐る恐る「後ろ」の方はあるか手を伸ばしてみたものの、やはり、と言うべきかそちら側もまるでそうあるのが当たり前であるかのようにツルッツルなのだ。


まじかぁ、こっちもかぁ、と意気消沈しながらも体のどこにも怪我が無いことを確認すると、下半身を除くと唯一気になる部分である腕にくっ付いている、というより埋め込まれている謎の黒い板を調べることにした。


「取れたりは……まぁしないよなぁ」


「感触は……硬くて、冷たくて……まるでスマホみたいな……?どこかにボタンみたいなのがあったりするのか……?」


「おっ、もしかしたらこれか!?いやでも、下手に押したら突然ドカン!みたいなことになったら嫌だしなあ……いや、まあ少しくらいなら……」


黒い板の左下の端に小さく「power」と書かれたボタンがあるのに気が付くと、そんなことを小声でブツブツと言いながら恐る恐る押してみることにした。


「…………ッ」


ポチッ


「…………」



…テテン♪



「…………?」


腕の黒い板をまるで汚物でも付いているかのようにできる限り顔から離しながら恐る恐るそれを見てみると、真っ青な画面…などではなく、「Now loading…」という文言の下に円がぐるぐると回っている様子が映し出されていた。


(やっぱりこれってスマホみたいなものなのか……?だからってわざわざ人の体に埋め込んだりするか普通……?ていうかバッテリーはどうしているんだ……?)


そんなことを考えながらボーッと画面を眺めていると、「Now loading...」から「complete!」に文字が切り替わった、かと思うと画面がまた切り替わった。

そこには、いくつものアイコンから線が枝のように伸び、アイコン同士を結んでいて、それはまるでゲームなどでよく見られる俗にいう「スキルツリー」のようになっていた。


「なんだこれ……?」


画面にはそのスキルツリーの他に、画面右上の隅に「5/5」という数字、画面上部には「soldier」「utility」「add on」と書かれたタブがあり、タブは触れると別のスキルツリーが表示されるようになっていた。


「えーっとこれが……ソル……ソルジエ……ソルジャー?戦士?だっけか……えっとこっちが……ウチ……ウチリティ?……うん?さっぱり分からんぞ……」


さっそく詰みかけていた。

※これらは雪の中終始全裸で行っています

1/21 普通に日本語でメッセージ出てるのに気がついたので修正しました

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