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がさっと音がした

作者: たっち

あれ?まただ。またあの音がする。がさっ。がさっ。その音が鳴るたびに、私はびくっと律儀に反応していた。だって仕方ないでしょ?何もないところからがさごそ音がしてくるのだから。私は別に、幽霊やお化けは怖くない。だって理解できるもの。人が死んで肉体が滅んで、それでも留まってしまった何者かが幽霊、お化けはちょっとわからないけど、その類似品。だいたいそういう風に理解している。厳密には理解できてない。それもわかってる。だからいいの。でも、この音はそういうのとはちょっと違う。だから怖い。だから律儀に反応してしまう。そんなことをさっきからずっと繰り返してる。ああ、不毛。

音がしてくるところには、厳密には何もないわけじゃない。空気があるとかそういうことじゃなくて。鞄がひとつ、おいてある。鞄?じゃあ全然なにもなくないじゃん!そう言われると思った。思ったよ、私も。でもそれは私の鞄でさっきまでずっと身に付けていたものなの。だからいきなりがさっ。がさっ。なんて音がするはずがないの。ああ、そろそろ限界。

私は部屋を横切って、ついに音の正体を確かめる旅に出た。旅というのはもちろん比喩だ。国語を勉強していればそんなことに目くじらをたてない。私の旅は一人旅。とても心細いものだった。がさっ。がさっ。とうとう鞄のところまできてしまった。手を伸ばす。釦を開ける。あれ?なんで?ああ、そうだったのね。

ほっとしたらどっと疲れが込み上げてきた。ふぅ、ソーダ水でも飲みたいわ。この可愛い子の名前、何にしようかしら。ああ、楽しみ。


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