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ペア  作者: 秋茄子
9/13

―真実の章―

「錦、コレをご覧」

御手洗の声に、錦は目を開けた。

彼が『コレ』と言ったのは、優しげな顔をした少女だった。

「…誰?」

「お前の妹だよ」

御手洗が笑う。

「へぇ?強いの?」

錦の目が興味深そうに少女を捕らえた。

怯えたように首を竦めた少女の代わりに御手洗が答える。

「強いさ。なぁ、闇?」

「やみ…?それ名前?」

「あぁ、いい名前だろ?」

錦は小さく微笑んだ。

「そうだね。よろしく、闇…」



「やっ!!」

セリーズの気合を入れる声と共に、剣の音が響く。

「テルル!右だ」

セリーズの剣を受けたままアゲートがテルルに指示を出す。

「うぅ…」

テルルは朱夏の動きについて行けなくてアゲートに言われた方向へ力任せに剣を振るう。

「そこまで」

隙だらけのセリーズの腕に、朱夏が打ち込んで剣を落とさせたところでアイリスが声を上げた。

「アゲートはセリーズに勝ってるから、引き分けね。二十分休憩!次のグループ、出なさい」

「…テルル?」

朱夏がテルルに声をかけた。

他の人間たちなら納得するが、相手はテルルだ。こうも簡単に勝てるはずのない相手だ。

いくらなんでも集中力が散漫すぎる。

「どうしたんだ?」

アゲートも不思議に思っていたらしく、心配げにテルルを見ていた。

「なんか…調子悪くて…。でもどこが悪いってわけじゃないの。一応帰ったらアスターに相談してみるわ」

テルルはなんでもないように言った。

「朱夏ー!アゲートとテルルも!早く水飲みに行こうよ」

セリーズが呼ぶ。

さっき試合した四人の中で水分補給が必要なのはセリーズだけだ。

だからアゲートと朱夏は、いらない、と返事をしようてした。

しかしテルルが殊更元気に、今行く、と言いセリーズの方へ走っていったので朱夏とアゲートは顔を見合わせ一つ息を吐くと、仕方なくついて行った。

「テルル、今日は調子悪かった?」

セリーズが首を傾げる。

テルルは眉尻を下げて溜め息を吐く。

「うん、今日は朝ご飯食べれなかったの。アゲートたちが起こしてくれなかったから」

それを聞いてセリーズは笑い、ひどい、と言って背中を叩かれたアゲートは複雑な顔をした。


「裏切り者だよ」

「うらぎりもの?」

闇は知能が赤ん坊並だった。

言葉は正確に発音するがその意味をいちいち教えなければならず、会話にならない。

「このバカ!いい加減にしろよ!頭どうなってんだ?」

錦はイライラと後頭部をかいた。

「にしき、うらぎりもの?」

「俺じゃないよ!裏切り者はあそこにいる、お前よりバカな連中!」

錦がヒステリックに怒鳴って野外演習中の黒曜たちを見せる。

「ばか…?」

闇もつられるようにそちらを見る。

「そ。親である御手洗博士に従わない故障品。だからさ、バカはさっさと始末するの」

「しまつ…」

闇が、今戦っている黒曜を見つめたまま呟いた。

「潰すってことだよ」

「潰す…クラッシュ?」

「そうだよ。よく知ってんじゃん?」

誉められて闇は錦を見る。

「闇、よく知ってる?」

「あぁ、賢いよ。だからさ、早く力を見せてよ」

錦が強い興味を隠さず闇を見た。

「ちから…みせたら、にしき、うれしい?」

「うれしいよ。御手洗博士もよろこぶ」

「はかせが…」

闇の顔から優しい影が消えた。能面のような無表情で闇は言った。

「よろこぶ…?」

錦はその様子に何故か身震いする自分がおかしくて、小さく笑った。

「にしても、あの人間共はどうしような?」

「にんげん…」

「黒曜たちだけなら、壊すのは余裕だけどさ。人間共と、ヘルデライトのヒューマノイド共が邪魔だよな。数多くて…」

「闇、できる。はかせが、よろこぶなら…」

闇の言葉に錦は溜め息を吐いた。

「あぁ、お利口お利口。でも頭も使えよ?」「あたま…?」

闇が首を傾げる。

「そ。たとえば、奴等に囲まれる。黒曜たちだって故障品とは言えヒューマノイドだろ?その黒曜たちと、ただの人間があれだけの勝負してんだ。…負けたけど」

試合が終わった様子を見て、錦は最後の語を付け足す。

「たぶん黒曜たちもヘルデライトのヒューマノイドたちもリミッターつけてあるんだろうけどな。とは言え、大人数で来られたら厄介だ。こっちはお前がどれだけやれるかわからないし、ただのお荷物かもしれないし…」

錦は黒曜たちを眺めたまま説明する。

「にもつ…ない」

「へ?」

闇の言葉に、錦はそちらを見る。先程と変わらぬ無表情があった。

「にもつなら、すてる…はかせには、必要ないって…」

錦は眉を顰めた。

「それ、博士が言ったの?」

闇は小さく頷いた。

「ふぅん、俺の方がお荷物ってことか?」

言った途端闇の表情が戻る。

「錦、怒ってる?」

「いや、いいよ。じゃぁ俺もそうする」

闇が頷いた。

「正面から行っていいんだな?自信はあるのか?」

「はかせが、よろこぶなら」

錦は溜め息を吐いた。

「…よろこぶよ」


「次、ウイスタリア、黒曜、アゲート、テルル、入って」

アイリスが呼ぶとウイスタリアと黒曜は生真面目に返事をして前に出る。

「黒曜の相手は俺な。テルルはウィスタ。大丈夫か?」

両サイドをネオンと白夜に挟まれたテルルにアゲートが問う。テルルは気遣わしげなネオンと白夜に微笑んでからアゲートに頷いた。

その時、近くの木の枝が大破した。

「やぁ!」

同時に声がする。

「日頃は音にも聞きつらん、今は目にも見たまえ!我こそはブッ…!?」

「錦、うるさい」

枝を大破した武器であろう、大型の銃を構え、古風に名乗りを揚げようとした錦を後ろから飛び下りてきた闇が潰す。

「おっまえなぁ…」

「すきだらけ。バカ」

闇に言われて、錦はぶちぶちと文句を言う。

「まったく、戦い前に名乗りを揚げないなんて、日本人じゃないよ」

ネオンたちはポカンとして彼らを見る。

「まぁいいや。名乗らなくても知ってるよね、そこの三人は。…ああそれと、ミス・ガレナも?」

「…錦…」

ネオンが呟いた。

「相変わらず奇襲のできないやつだな、錦!」

朱夏が口の端だけで笑った。アイリスはハッとして、生徒たちに避難を命じた。

「ああ、逃げてくれるなら早くしてよ!俺たちはそこの三人を壊したいだけなんだ!!」

錦が朱夏に照準を合わせる。

「朱夏!」

セリーズが叫ぶ。

朱夏は彼女を後ろに押しやる。

「アイリスに従って早く逃げろ!」

「なに?朱夏?いつからそんな人間の女なんか庇うようになったの?」

楽しそうな錦の銃が朱夏から外れてセリーズに向いた。

「…え?」

ネオンがアゲートに指示を送るより早く、テルルが駆け出した。

「セリーズ!」

錦が引き金を引く。

朱夏がとっさにセリーズを庇い、錦が攻撃している隙に後ろに回ったテルルが錦と闇の背中に拳を突き付ける。

「動かないでっ!」

テルルは叫んで、撃たれた友人を見やる。

体を強化させて砲撃を受けた朱夏は、枝を大破させるほどの衝撃にもかかわらず無傷だった。

ホッとしたのと同時にセリーズの驚愕の表情が読み取れて、腹の底が冷える感覚に陥る。

「ハハッ!見たかよ人間ども!!これが俺たちの…ヒューマノイドの力だよっ!」

錦が笑った。

「この女の異常に早い身のこなしも、朱夏のタフさも、人間じゃありえないだろ?」

愕然とする六体のヒューマノイドを、人間たちが同じく愕然として見る。

歯を噛み締めて錦を睨むテルルを身を捩った闇が殴り飛ばした。

「がぁっ!?」

テルルが吹っ飛ばされてガシャンと音を立てて落ちる。

ネオンたちはもちろん、錦まで驚いてそちらを見た。

無表情の少女が、銃をテルルに向ける。

テルルの殴られた部位は人工皮膚も肉も抉れて、機械の骨組みを人間たちに晒している。

「アゲート、リミッターはずした?」

ネオンが静かに問う。

「いいのか?」

「今更…バレたって構わないわよ!」

叫ぶと同時にネオンが闇に殴りかかった。

「ミス・ガレナ、闇は御手洗博士の自信作なんだ。ヘルデライトのヒューマノイドでも敵わないよ」

錦が微笑んでネオンに銃を向けた。

その錦を黒曜が蹴り飛ばす。

「朱夏!ネオンの援護を!白夜!怯えてる暇はない!テルルを頼みます!」

「アゲートはみんなの退路を確保して!アイリス!みんなを連れて早く逃げて」

黒曜とネオンが指示を出しながら戦う。

ネオンと闇の攻防に加わろうとした朱夏を、ネオンが制する。

「朱夏は黒曜の方に。ペアを組むなら慣れた者同士がいいわ」

「確かに、黒曜一人で俺を倒せるわけないね、二人でも無理だけど!でもミス・ガレナ、君は一人で未知数の闇と戦うつもりか?しかも素手で!?」

「あたしに素手も武器もないわ!錦!あたしはアスターの作ったヒューマノイドじゃないのよ!未知数なのはあたしも同じ!」

ネオンは闇を追い詰め、木の幹に打ち付ける。

「知ってた?あたしだけリミッターが二段階なの。アスターの付けたものと、寧音がつけたもの…」

闇はネオンを睨む。ネオンも闇を睨み付けた。

「よくもテルルを」

テルルの様子をみた白夜が、完全にブラックアウトしているが核に異常はないことを報告して、アゲートと共に人間たちの退路確保に向かう。

「関係ないものを壊したりしない。私たちの目的は裏切り者をクラッシュすること…」

闇が鼻で笑う。

「だけど邪魔するならあなたもクラッシュする!」

闇の体が変形していく。

露になる、武器を満載したボディ。

少女の体を武器が突き破って出て来たようなおぞましい姿。

「邪魔、しないで…」


「すげ…」

錦が呟いた。

「なんで君が驚くんですか?」

黒曜が錦の銃を叩き落として遠くに蹴る。

「言っただろ?あいつは未知数だって…」

錦は仕方なく飛び上がり、蹴り付ける。

「お前すら知らない。つまりこれがあの子の初陣か?」

朱夏が受け止めて投げ飛ばした。

「お前ら、肉弾戦の訓練してた?」

錦が舌打ちする。

「騎士科はなんでもできなきゃダメなんですよ」

「生徒は訓練以外で武器は持てないしな」

黒曜と朱夏が笑った。

「御手洗のヒューマノイドは武器使いが巧みだ。そしてヘルデライトのヒューマノイドは肉弾戦。俺たちは両方身につけた」

「なるほどな」

錦が笑い、そして体を横にずらした。

「朱夏!避けて!!」

ネオンの声が飛ぶ。同時に一筋の光線が朱夏を貫いた。

「…うらぎりもの…」

闇が呟いた。


朱夏は頽れ、動かない。

「…朱夏が一撃で…」

黒曜は朱夏を確かめ、闇を睨む。

「余所見するなよ黒曜ぉ!!」

錦が黒曜の頭を蹴り付ける。

黒曜は不意打ちに堪え切れず土の上に転がった。

その頭を錦が踏み付ける。

「お前も終わりだ…」

「…錦…」

「お前が悪いんだよ。俺と博士を裏切ったから。…ばいばい」

錦の足に力が籠る。黒曜は目を閉じた。

「ごめんなさい、錦。さよなら」

錦の頭を砲撃が撃ち抜いた。

「我々は武器使いも巧みだと、朱夏が言ったでしょう?」

吹っ飛ばされた錦を見ながら黒曜が立ち上がり、銃を構えたまま白夜が朱夏に近付く。

「武器を借りられたんですね?」

白夜は黒曜に頷いて朱夏の様子を見る。

「核は壊れてないわ」

「ええ、きれいに胸を貫いたから、頭に異常はないはずです。彼女は自分たちの核がどこにあるのか知らないのかもしれませんね」

黒曜もゆっくり朱夏に近付き、アゲートが駆け寄る。

「ネオンは!?」

アゲートの言葉に二人は慌ててネオンを見る。

片腕を無くしたネオンの右耳を、闇の砲撃が吹き飛ばした。

彼らの核は頭にある。

「ネオン!!」

アゲートが叫んだ。

ネオンの虚ろな目が彼らと、倒れている錦を映し、ホッとしたように光を取り戻す。

その瞬間、ネオンの体を光が刺し貫いた。

「にし…き…」

闇が感情を宿さない目で錦を映し、すぐに興味を失ってネオンを見る。

闇の武器もいくつか壊れて取れかけたり銃口が潰れてねじ曲がったりしている。

白夜が闇の頭に照準を合わせるが、二人の動きが早いため、ともすればネオンを撃ってしまいそうになる。

アゲートが闇の後ろに回る。

「ダメ!アゲート!!この子、死角がない!」

ネオンの叫びと同時にアゲートの頭が吹き飛ばされた。

「アゲートっ!!」

ネオンがこれ以上ないほど悲痛な叫びを上げ、闇の頭を殴り飛ばす。

闇はよろめいたが持ち堪え、銃の一つをネオンに向ける。

「アゲートが…」

駆け寄ろうとする黒曜を白夜が引き止める。

「もうすぐ、軍がくる…」

目を逸らして言う白夜を黒曜は見つめる。

「だから俺たちのために傷付く仲間を見捨てろと?」

冷たい黒曜の声に白夜が震える。

「アゲートは、完全に核を撃たれた…」

「だから…見捨てろと?」

「だって…」

言いかけた白夜の後ろで、野外演習場の四方の灰色のシャッターが閉められた。

「…軍は、来ないらしいですよ?」

黒曜の言葉を合図に白夜はへたりこんだ。

「ヘルデライト博士も、剣王も、私たちを見捨てたのか?」

小さく呟いた白夜を残し、黒曜は白夜の銃を携えてアゲートに近寄った。

白夜の言う通り、アゲートの核は頭ごと壊れていた。

黒曜は闇に向けて銃を構える。

闇の武器を一つずつ撃ち壊し、アゲートの近くに落ちていた彼の銃をネオンに投げて呼びかける。

「俺が気を引きます!ネオンは頭に集中して!」

ネオンは頷き、銃を受け取った。

飛び上がって上空から闇を狙い、肩と足を撃ち抜くが頭には当たらない。

地面に着地したネオンを狙った銃口を黒曜が潰した。

その時、闇の上空を砲弾が霞めた。

見ると白夜が錦の大型の銃を構えている。

「もう死んでぇっ!!」

白夜は叫び、闇のボディに撃ち込んだ。

「白夜!自棄になるな!よく狙ってください!!」

黒曜が言い、ネオンが笑う。

「いいわ。めちゃくちゃに撃って。その銃ならどこに当たっても大ダメージよ」

ネオンは銃を捨てて踏み込み、大方の武器を壊された闇を捕らえる。

「あたしに当てないでね!」

ネオンの叫びと共に放たれた銃撃が闇の頭を吹き飛ばす直前、闇の仕込みの剣がネオンの腹を貫いた。

「はっ…」

ネオンがニヤリと口角を上げた。

「どうしてわかったの?あたしの核がここにあるって…」

答える前に闇はクラッシュされた。

ネオンは膝をついた姿勢のまま動かなくなった。


しばらくしてシャッターが開き、ヘルデライトのラボへ六体のヒューマノイドが運ばれた。

「ネオンのメモリーと核は別々にしてあったんだ。メモリーは頭に、核は腹に…」

数日後、比較的軽傷で、先に修理を終えた二体にアスターは言った。

「ネオンのメモリーがあれば、アゲートのメモリーも復元できる。同じ人格の別人をもう一度作ることができる」

テルルと朱夏は修理を終えて、メンテナンスベッドに入っている。

ネオンとアゲートのボディとアゲートのメモリーは完璧に復元され、後は新しい核を入れるだけとなっている。

「アゲートはネオンを元に作ったんだ。核はいじれないから真似のしようがなかったが、それ以外の作りはすべてネオンと同じだ」

「…」

「…」

黒曜も白夜も黙って座っている。

アスターは人形に語っているような気になったが、彼らが確かに人形であることに思い至る。

「だけど核だけであんなに違うんだ。二つもリミッターをつけて、それでもリミッター一つのお前たちより強いくらいにな」

やはり二人は喋らない。

「…この核を入れたら、ネオンは最強のヒューマノイドじゃなくなるかもしれない…」

「…」

「…それでも俺たちは充分強い。それに学習もできる。最強である必要などないでしょう?まだ学生なんですから。それより早く、ネオンとアゲートを起こしてあげてください」

アスターは小さく笑う。

「すまない」

「なにを謝るの?」

白夜が震える声で問う。

「…シャッター、俺が下ろせと指示した。中にいるのは人間じゃないから、締め込んでしまえ、と…」

白夜はアスターと目を合わせない。

かわりに黒曜がアスターを見た。

「当然です。人間たちを守るために俺たちは造られたんですから。それなのに今回は俺たちのせいで騎士科の学生を危険に晒しました」

「…アイリスが、騎士科の学生たちにお前たちの事情をすべて話した」

黒曜は俯く。

「話さなくったって、みんなもう見ちゃったわ。人間じゃありえない私たちの姿…」

テルルがメンテナンスベッドから出て来て言う。

朱夏もゆっくりと出て来た。

「ひどい目に…」

言いかけた朱夏とテルルを白夜が抱き締めた。

「ネオンと、アゲートが…っ」

白夜の涙声に、朱夏は俯き、テルルは二人のボディを見る。

「良かった。メモリーとまったく違わない。完璧な二人のボディ…。さすがはアスターね」

「アゲートのメモリーも、お前とネオンのメモリーから完璧に再現した」

アスターがテルルの頭を撫でる。

「良かった…」

「ただしネオンのパワーは落ちるだろう。俺の作った核じゃ、寧音の作った核には敵わない」

テルルが笑う。

「その寧音さんの核ね、学習能力はないみたいよ?」

アスターが目を見開く。

「剣王にあれだけ言われたのに、ネオンは気を抜くとすぐに力任せの戦い方に戻るの。アスターの核は私たちに学習する力を与えてくれたでしょう?私たちに可能性を与えてくれたでしょう?」

アスターはネオンの頬を撫でた。

「ネオンはしあわせ。寧音さんの作った強いボディに、アスターの可能性が入るの。きっとすぐに前のネオンを超えるわ」

黒曜が微笑んだ。

「俺たちも負けませんけどね」

「そうよ、もうネオンばかりに最強なんて言わせないわ。これで一番のお姉ちゃんは私になったんだから!」

テルルが笑うと、白夜も笑う。

朱夏と黒曜も目を合わせて小さく笑いあった。

「テルルは楽天家だな」

朱夏に小突かれて膨れるテルルを見て、やっとアスターが笑った。

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