じゃんけん
ショートケーキが1つだけ残っている。
ここから3人の女の熾烈な戦いが始まろうとしていた。
女たちの名前はユキ(私)、サキ、カナである。
「1つだけ残ってるわね。」
「ユキちゃんはダイエット中でしょ。
サキが食べるよ」
「…ダメ私…食べる…」
「誰も譲る気ないわね。いいわ、もうじゃんけんで決めましょう」
「普通のじゃんけんじゃ面白くないよ」
「…あれをする?」
「じゃんけんバトルしよ、しよ」
じゃんけんバトルとは、五回戦方式でグー、チョキ、パーはそれぞれ2回ずつしか使えない。引き分けでも決着がつくと次の戦いに入る。一番勝ち数の多い人が勝ちである。
「サキはね、グーだすよ」
いきなりサキめ、揺さぶりを掛けてきたわね。でも、あなたが揺さぶりをうまくかけることができる頭がないことは、分かっているわ。問題はカナね、サキの思考を理解しているか微妙だから出す手に困るわ。先手は取りたいものね。
うっ~迷うわ。きっとカナは、裏を取ろうするはずだからチョキを出すはずだわ。
「じゃんけんぽん」
サキ:グー
ユキ:グー
カナ:パー
ここは、パーだったか。
「負けちゃったよ」
「ユキ…考えすぎ(笑)」
「次は勝つわよ」
さて次はどうしようかしら、カナに先手を取られたからここは並びたいわね。
前半で持ち手を2種類にするようなことはしないだろうからグーかチョキね。
私たちはパーかチョキを出すと考えはずよ。
「サキはパーをだすよ」
またあの子は言わないでいいことを。
「私…チョキを出す」
何~カナまで言い出したわ。でも、これで読みやすくなったわ。
「じゃんけんぽん」
サキ:グー
ユキ:パー
カナ:パー
「わぁ~負けちゃったよ」
よし。勝ったけど、カナの2連勝は痛いわね。
えっと状況は、サキがパーとチョキを二枚ずつ、カナがグーとチョキの二枚ずつ、私がパーとグーが一枚でチョキが二枚か。
ここはサキが何かを言うの待ちましょう。
「……」
なぜこの大事な時に何も言わないのよ。
カナの様子は勝負に出るという雰囲気はないわね。ここは妥当にチョキかしら
「じゃんけんぽん」
サキ:チョキ
ユキ:チョキ
カナ:チョキ
みんな考えは一緒か…次は難しいわね。
もし5回戦でも決着着かない場合は勝ち数で並んだ同士の一騎打ち、つまり普通のじゃんけんになる。
だからここでリスクを負わずに次で決める。
サキはパーが二枚だから、あの子は勝負をあきらめるような子じゃない。パーを出してくるわ。
カナもサキはパーと予測しているはず。
ここは…チョキが正解
「じゃんけんぽん」
サキ:チョキ
ユキ:チョキ
カナ:チョキ
「…う…そ…」
「なんで…サキ…チョキだすの?」
「えへへっ裏かいちゃった」
これは予想外だけど私の負けはなくなったわ。
「私とカナの引き分けね。」
「…そうみたい」
「ちょっと待ってよ。6回戦まで入れたらみんな引き分けだよ」
サキはパー二枚、ユキはパーとグー一枚、カナはグー二枚。
確かにそうなる。
「でもこれは五回戦までだわ。諦めなさい」
「うっうっ」
サキは泣き出した。
「はぁ仕方がないわね。みんなで分けましょう。いい?カナ?」
「…別に」
「ありがとうユキちゃんカナちゃん」
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