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剣と華  作者: 風吹流霞
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7.騎士と王弟

新キャラ、登場。

結局、リイナという女の子は見つからなかった。

盗賊達が強奪してきたと思われる金銀財宝が散在していた部屋に、一人の盗賊が下着一枚の状態で発見されただけだった。

盗賊達は彼女を戦利品として、この部屋に軟禁していたらしいが、居ない所を見れば彼女は自力で逃走を図ったと見える。

あの賢い白犬の力を借りたのかもしれない。

では、洞窟で感じた気配は彼女のものだったのか。

それにしては、やけに気配を隠すのが上手かった気が・・・。

リイナは目立たぬように行動したつもりが、逆にディーノの興味をひかせてしまったようである。


盗賊を護送し、手続きをとるために州都へ。

ラグラージには王都のほかに、州都が存在する。各地方の首都みたいなものだ。

広大なラグラージは王都の力が及ばない場所もあり、それを補うのが州都となる。

特にローザンヌのような辺境地は、盗賊の跋扈がひどく、州都は、重要な拠点になっている。

ここ、ローザンヌの州都はバルトル。

王都に比べれば華やかさも刺激も劣るが、気のいい人々が集まりお互い助け合って生活する穏やかな街だ。

盗賊の跋扈を除けば、比較的安全な州都と言えよう。

街の外に田園風景が広がっているのが、一田舎の州都らしい。

その一田舎の州都バルトルの街中で、彼はこの街にそぐわない人物に遭遇した。

陽の光を浴びてきらきら輝く黄金の髪、広大な海を思わせる紺青の瞳、白を基調とした王都騎士団の制服

がたなびく。

王都のほうでは白を基調とした騎士団の制服がある。その制服の下に何を合わせるかは個人。

そこに個人の性格が表れるという。若い騎士達は制服の下に何をあわせれば、お洒落に見えるか、日々、努力をしているようだ。

城には目の肥えた侍女達がいて、「センスがない」だの、「野暮ったい」だのとダメ出しを喰らうのが常らしい。

このとき、彼は瞳の色に合わせ、藍色の服を着ていた。

ちなみに、ローザンヌの騎士団に制服はない。財政難で制服を作るだけのお金がないのだ。

各々、自分の好きなような恰好で仕事をしているため、中央の人間が見たら、傭兵集団の集まりか!と驚くことだろう。


「やあ、ディン」


軽く笑って、彼は手を振る。

「ジウ殿下・・・」

彼はジウヴァルト・ラグラージ。現国王リウヴァルト陛下の弟に当たる方で今年17歳になる。

彼の他に、姫君が二人。サフィニア王女、エリシア王女である。

陛下や殿下によく似た面差しの美しい姫君たちだ。

陛下に子供が居ないので、ジウヴァルトが一応第一王位継承者となっているが、彼自身王位に興味はないようだった。

彼自身の夢は騎士になって、兄を陰ながら助けるつもりらしい。それはもうすぐ叶うだろう。

先だって、王妃エリノーラ様の懐妊が発表され、出産間近である。

順当から言えばこの子が第一王位継承者となり、王太子になるだろう。

「敬語はやめろ、ディン」

苦虫を噛み砕いたような表情を浮かべる殿下だが、敬語でからかうと面白い反応をするのでやめられない。

殿下とは貴族達の学校である、貴族院からの付き合いである。相方もこの貴族院からの付き合いになる。

貴族院ではお互い愛称で呼び合う仲だったが、二人は王都に残り、ディーノはローザンヌへ。

遠く離れていたが、手紙などの交流は続いていた。

「王都の様子はどうだ?ジウ」

王弟ではなく一般の騎士としてジウヴァルトは騎士団に所属している。

「普通だな、身重な義姉上の安全のことで多少、ぴりぴりはしているが、盗賊達も最近は大人しい」

マグニが捕まったことで、しばらくの間は盗賊達も自粛するだろう。

「最近は花祭りの警護で話し合いが続いている」

王都最大のお祭り、花祭り。大勢の人々が集まるため、どうしても犯罪が多くなる。

その上、若い騎士達は可愛い女の子を誘おうと必死だ。

騎士の仕事は過酷だからそれぐらいは大目に見てやろうというのが騎士団の上層部の意見だ。

「ただし、羽目は外しすぎるなよ」とあり難い忠告つきである。

「お前はどうする?一応王族だろう?」

お祭りの最中、ほぼ毎日のように夜会が開催されるのだ。

騎士団にいるが、一応王族であるジウヴァルトは賓客をもてなす立場だった。

他の王族が夜会に出るのに、自分だけと言うのは通じないだろう。

「一日だけ出るが、後は警護に回る」

彼はぶすっと仏頂面になった。まだまだ子供だなとディーノは思った。

まあ、顔よし、家柄よし、将来有望株のジウヴァルトは貴族の姫君たちの恰好の結婚相手。

どうにかものにしようと、あの手この手で迫られている。

陛下に男子が生まれれば、多少緩和される可能性はあったが、


無理か・・・。


陛下のお子に関しては、今の姫君はとうがたちすぎている。次の世代の戦いになりそうだ。

「私服じゃないということは、騎士団のほうに何かあったのか?」

ジウヴァルトが私事で会いに来るのであれば、私服で来るはずだが、騎士団の服で来たのは騎士団の仕事になるのだろう。

「兄上・・・、いや、陛下に頼まれた」

慌てて言い直す。ジウヴァルトを伝言役にするとは、陛下の気配りだろうか。


「ローザンヌ騎士団、第十三部隊隊長ディーノ・オライムに王都への召致を命ずる」


よく響く声でジウヴァルトは告げた。反射的に「了解しました」とディーノは頭を下げた。

王弟とはいえ、王族。その声は威厳に満ちていた。

「帰りは街道から帰るから護衛はいらん。影もいるしな」

ちらりと彼が視線を移すと、そこには陛下の影の姿があった。

影とは陛下直属の調査部隊であり、暗殺部隊だ。姿を隠し、いざとなったら護衛対象を救う。

普段は陛下の側に侍り、勅命が下るのを待っている。陛下が、弟に影をつけ送り出したわけだ。

辺境ローザンヌはいくら剣がたつジウヴァルトであっても危険だからだ。


盗賊はえげつないしな・・・


ディーノは陛下の判断に納得した。

その影の存在を認知しつつも、それをおくびに出さない彼も大物だが・・・。

恐らく、影のほうはジウヴァルトが気付いているとは夢にも思っていないだろう。

年齢はディーノ>相方>ジウ。

相方の名前が決まらない・・・(汗)。

ジウの服装は、グレイセスのアスベルっぽい服を思い浮かべて頂くといいかも。

関係ないですが、犬をわんこと書きたくなる私は重症ですね・・・(おい)。

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