前へ目次 6/6 エピローグ:富士の山 数日後。 阿倍御主人は、駿河の国にある日本で一番高い山の頂に立っていました。 その手には、姫が残した「不死の薬」と、彼女への想いを綴った文があります。 「不死など、私には不要だ。彼女のいない世界で永遠を生きるなど、どんな偽物の宝よりも価値がない」 阿倍が薬と文を火に投げ入れると、煙は高く、高く、月に向かって立ち昇っていきました。 その山は、いつしか「不死の山(富士の山)」と呼ばれるようになり、今もなお、届かぬ想いを天へと送り続けているのです。