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海ゴブリンの巣窟



「こんな足場の悪い場所で戦うことになるなんてな……」


 ボートに俺と父さんとジョゼフさん、それから冒険者ギルドの方々を乗せ海蝕洞の中へと入った。一隻につき二名乗っておりジョゼフさんが先頭、俺と父さんが最後尾に配置された。

 「止まれ……これを見ろ。」


 海蝕洞を進むと木製の足場が現れ、その上には生活空間が広がっており、火をおこし食事をした痕跡があった。

「……まだ暖かいな……みんな気をつけろ!どこかに潜んでいるぞ!急いであしばに移れ!」


 俺たちは急いで足場に飛び乗った。

「お前も早く来い!」


 ボートに一人の新人冒険者が取り残されていた。父の伸ばした手に新人冒険者が捕まろうとしたその時。海の中から顔を出したゴブリンがボートをひっくり返し新人冒険者が海に落ちてしまった。

「チッ!バカが!」


 すぐにジョゼフさんは海に飛び込み助けに向かった。この世界の人のほとんどが泳ぎを知らないため放っておけば彼の命はないだろう。ジョゼフさんを追いかけて俺も飛び込もうとしたが数十匹のゴブリンが足場に上がってきて追いかけることができなかった。


 ━━━━━海の中━━━━━

 海の中ではゴブリンが新人の手足を羽交い締めにし窒息死させようとしていた。

 『あれだけもがいているとなると、もって数分ってところか。目の前の奴らに時間はかけていられないな。』


 ジョゼフの前には三匹のゴブリンが立ち塞がっていた。ジョゼフは片手にナイフを持ちゴブリンの討伐を試みた。


 『チッ!速い!』


 海ゴブリンの指の間には水かきが付いており水中では人間の三倍近くの速度での移動を可能としている。ジョゼフは海ゴブリンの速度ついていけず、爪での攻撃を何度も受け出血していた。

 『今だ!』


 攻撃をしようと三匹が近くに来たタイミングでジョゼフは目を瞑り光の魔法を使った。光の魔法を食らったゴブリンは突然目の前が真っ白になり何が起きたか理解する暇もないままナイフで息の根を止められた。

 『間に合うか……!!』


 ジョゼフは急ぎ新人冒険者の元へと潜った。新人冒険者の手足から既にゴブリンは離れているが呼吸をしていないのかグッタリしている。これ以上ゴブリンと戦っていると手遅れになるだろう。

 『ここまでか……』


 ジョゼフが助けるのを諦め浮上しようしたその時。ジョゼフの頭上から水に飛び込む音が聞こえ。上をむくとそこにはコナーの姿があった。


 ━━━━━地上━━━━━

「生き埋めになりたくなければ強力な魔法は撃つなよ!」


 ジョゼフさんがいなくなった地上では海ゴブリンとの戦闘が続いていた。

「コナー!もしも泳げるなら海に潜ってジョゼフさんたちを助けてこい!不甲斐ないが俺たちは泳げん!お前だけが頼りだ!」


 俺は一度コクリと頷き。大空の魔力を急いで練って海に潜った。海に潜るとジョゼフさんとその奥にグッタリした新人冒険者がいた。俺は手のひらから大空の魔力を放出して新人冒険者の元へと向かった。

 『この速度じゃ間に合わない……!!』


 俺が諦めかけたその時。海の底からものすごい速度で浮上して新人冒険者の腕を掴み俺を通り過ぎた姿があった。

 『シルヴィ!!』


 俺は水面に向かうシルヴィを見届け海ゴブリンにあとを追わせないよう立ち塞がった。


 ━━━━━地上━━━━━


「早くこの子のこと引き上げて!」


「人魚!!」


「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!このままだとこの子死んじゃうわよ!」


「お前らやめろ!すまない俺が引き上げる。」


 水面から顔をだしたシルヴィはアランに新人を引き上げてもらった。

「あなたコナーのお父さんでしょ。その子息をしてないの、水を吐かせるから私のことも引き上げて。」


「……わかった。」


 アランはシルヴィに言われるがまま引き上げようとした。

「……重っ!!ダミアンお前も手伝ってくれ。」


 シルヴィを引き上げるにはアラン一人の力では足りずアランの仲間のダミアンに力を借りてシルヴィは足場に引き上げられた。

「アランさんもダミアンさんもおかしいですよ!俺のパーティーの仲間を魔物に任せるなんて!」


「だったらこいつを見殺しにするか?」


 反対する新人を無視してシルヴィは溺れた冒険者の腹部に触れ水の魔力を流した。(何も言わず足場にジョゼフが登った。)


 突然だが、魔法には二つの種類存在している。一つは生成魔法、無から有を生み出す魔法これは魔力の消費が大きく、大規模な魔法になると魔力に恵まれたものしか扱うことができない。


 そして二つ目が支配魔法、この世の全ての物には魔力が流れており。流れる魔力を支配することで自分の物にする魔法。存在する魔力を支配することにより少ない魔力で大きな力を発揮することができる。


 シルヴィは支配魔法の要領で体内に入り込んだ海水を魔力で上書きして慎重に口から排出した。

「私は回復魔法は使えないの!回復魔法を使える人は急いで!」


 シルヴィの呼び掛けにすぐに回復魔法を使える冒険者が駆け寄り回復魔法をかけた。

「けほっごほっ!!」


 しばらく回復魔法をかけていると意識を取り戻した。

 「よかった……。」


 回復した新人冒険者を見届けるとシルヴィは海に潜った。


 


 


 


 


 


 

 

 

 


 

 

 

 


 

ジョゼフが魔力を練らずに魔法を使っている描写がありますが、一流の魔法使いはどんなときも体の中で魔力を練っているという設定があります。

作者の疑問

Q.魚という言葉が存在しないのになんで人魚は人魚なの?

A.俺も知らね。

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