神々の戦い
「邪魔をするな!これは僕とコナー・エイベルの物語だ!お前たちの出る幕じゃない!」
「あら?怪物同士、私たちの方がお似合いだと思うけど。」
「黙れ黙れ……黙れ!戻ってこいコナー・エイベル!!」
フェルメが燃え盛る剣を振り抜くと炎の斬撃がコナーたちを乗せた巨鳥へと放たれた。
「おいガブル!煽りすぎだ!」
「問題ないわよ。まさか、ここに来てるのが私だけだとでも思っているの?」
「何?」
炎の斬撃はコナーの前に突如現れた大地の壁によって防がれた。
「カウイルか!」
大地の壁の現れた場所には好青年の姿をした大地の神カウイルの姿があった。
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「まったく……奴らときたら。周囲の守りは儂に任せて、お前さんも暴れてきてはどうだ?」
「あぁ、そうさせてもらう。」
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「どいつもこいつも僕の邪魔を……」
突如現れた巨大な豹がフェルメの足の肉を噛みちぎった。
「、ペッ。どうやら私からのプレゼントは気に入ってくれてるみたいだね。」
「できれば、もう少し早く欲しかったところだがな。久しぶりだなアハウ。」
「本当に久しぶりだねチャク……私もそうしようと考えもしたんだけど、あの子には考える必要だと思ったの。」
「べちゃくちゃぺちゃくちゃと僕を無視するな!」
フェルメは渾身の一振を炎の神アハウにお見舞いしようとするが、今度は巨大な頭部を水で包み込まれもがき苦しんだ。
「トル!お前も来たのか!」
「まぁね。私やカウイルは来るのに苦労はしたけど、流石に来ない訳にはいかないだろう……。」
美しい衣をまとった、まるで天女のような美貌を持った男が気だるそうにチャクの前に姿を表した。
「私たちが揃うなんて何年ぶりかしらね。」
チャクたちが久しぶりの再会を喜んでいると、フェルメが顔を覆っている大量の水に燃え盛る剣を突き刺し、水を蒸発させた。
「……だから……僕を無視するな……」
顔に負った大きな火傷と足の怪我はみるみると治っていきフェルメは元の姿へと戻ってしまった。
「君たちは僕の物語に必要ない。早々に消えてくれないか?」
「勘違いしているようだな異界の神よ。」
「…………気づいてたんだ。」
「当然だ。人々に神と呼ばれている我々は、原初の獣、世界に初めに生まれた生命というだけの存在だった。この星の恩恵を一身に受けた我々は世界に影響を与えられるほどに成長したが、その中にお前はいなかった。」
「……全員に暗示をかけたつもりだったんだけどね。やっぱり君たちのような化け物は無理か……」
フェルメはケタケタとチャクたちをバカにするように笑った。
「人間や魔物をこの世界に入れたのも貴様だな。何故そのようなことをした。」
「僕に与えられた役を演じきるためさ。」
「理解できんな……貴様はたったそれだけの為に世界の秩序を乱したのか!」
「神と呼ばれていても所詮は獣。君たちには分からないだろうね!」
フェルメは何度も何度も剣を振り抜くが攻撃は避けられた。
「この姿じゃダメか……」
またしてもフェルメの体が闇の魔力で包まれ姿が変わった。
「獣には獣ってね。」
フェルメは巨人から白い体毛を持つ狼へと姿を変えた。狼となったフェルメは素早く標的を定め噛み付いた。
「……私に噛み付くなんて怖いもの知らずね。」
自身より巨大な狼に噛み付かれたというのにアハウは冷静だった。
「あふ……!」
炎の神であるアハウは自身の血液をマグマのように高熱にした。結果、噛み付いたフェルメの口の中には焼け狂うほど高熱の血液が流れ込みフェルメの体内を燃やした。
「……どうしてお前たちばかりが……僕たちのような異端がハッピーエンドを迎えたらいけないとでもいうのか!」
「当然です。自分のことしか考えていないアナタの幸せを誰が望むというのです。」
「僕は神だぞ!神である僕が自分の幸せを考えて何が悪い!」
「闇の神フェルメよ。神なんてものはただの言葉だ。姿を現さない儂たちに感謝を伝えるために生み出された、ただの呼称だ。」
「だから……獣風情が神を語るな!!」
「お前は神という言葉に踊らされ、少しやりすぎた。儂たち原初の獣が、貴様を世界から排除する。」
神々の戦いはチャクたち原初の獣が圧倒的な力でフェルメに勝利した。戦いの舞台となった草原は、何百年と平和の象徴として人々が足を運ぶ観光地となった。




