弱点
「ジル王子!無事だったんですね!」
ジル王子がマルク王と離れ階段を上るとヤン、クロエ、シルヴィの三人と合流した。
「あぁ、君たちも無事でよかった。」
「気力も体力もスカスカだけどね。後はコナーだけだけど……」
「そうだね。コナーくんはまだ、上で戦っている。」
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一方、コナーは攻撃の当たらないパぺティアに苦戦を強いられていた。
(くそっ!なんでパぺティアには剣が届かないんだ。このままじゃ……)
コナーは焦っていた。いくら神の膨大な魔力を手に入れたとはいえ有限だ。戦いが長引けば長引くほど自身が不利になっていくのをコナーは感じ取っていた。
(コナー。お前が踏み抜いた床の破片を拾ってアイツに全力で投げてみてくれ。)
一年間、体を共有したチャクのことをコナーは信用し、迷いなく行動に移した。
「なっ……!」
コナーが投げた破片は雷を纏い、パぺティアに向かい凄まじい速度で飛んでいった。だが、パぺティアに当たると思われた破片は、パぺティアを通り抜け背後の壁へと激突した。
(コナー。奴に攻撃が当たらない仕組みがわかったぞ。)
(俺にも分かりました。空間ですよね。)
(そうだ。おそらく奴は身体全体に何らかの空間を操作する魔法をかけ、攻撃を届かなくしていたんだ。)
(ただ、それがわかっても……)
コナーの速度の攻撃を全て届かなくしていた。つまり、瞬間的に使用しているのではなく、常時使用している魔法。ネタがわかっても攻略のしようがないとコナーは考えていた。
(いや、一つだけ攻撃の通る場所がある。コナー……)
(……!分かりました、やってみます!)
コナーは体に纏った魔力を剣のみに集中させ、パぺティアへ攻撃を仕掛けた。
「無駄ですよ、私に攻撃は当たらない!」
そう言って鎌を振りぬいたパぺティアの一撃を紙一重でコナーは躱した。
(斬りかかってこない……まさか……!)
コナーは【魔力循環】による身体能力の向上により高速の戦闘を可能にしていた。そんなコナーにとって、パぺティアの動きはまるでスローモーションを眺めているようだった。
【一閃】
ただの一太刀。だが、【魔力循環】で強化された身体能力と【強化魔法】で強化された肉体から放たれる一太刀は的確にパぺティアの弱点を切断した。
「……よく、気づきましたね。」
パぺティアの弱点、それは鎌を持つ手のひらだった。鎌にまで空間を歪める魔法をかければ相手に攻撃が当たることはなく。手のひらまでも空間を歪めてしまえば鎌を持つことができない。パぺティアはこうせざるおえなかった。
「……俺一人じゃ気づけませんでした。」
「なるほど……戦いに夢中になり忘れていましたが、もう一人……いえ、一柱いましたね。」
パぺティアは両の手を切り落とされ、大量の出血をしているのにも関わらず、まるでこうなることがわかっていたかのように平気な顔をしていた。
「私に攻撃をする手段はありません。トドメをさしなさいコナー・エイベル。」
潔いパぺティアを前に、コナーは警戒をしたまま近づき、剣を頭の上で振りかぶった。
「私の質問に対するあなたの回答が聞けなかったのは心残りですが。悔いはありません。」
コナーが剣を振りぬこうとした瞬間。コナーの体に無数の黒い羽が突き刺さった。




