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もう一つの家族



 クロエたちと離れ、一人になったコナーは、我が家の中に入れずドアの前で立ち尽くしていた。


 「もしかして……コナーなの?」


 懐かしい声が背後から聞こえ振り返ると、そこには買い物帰りの母の姿があった。


 「……母さん。」


 「コナー!よかった無事だったんだね。」


 母親の抱擁に自然とコナーの涙腺が緩んだ。


 「母さん……俺!」


 「言わなくていいから。話はジョゼフさんから聞いたよ。お父さんが帰るまで一緒にご飯食べよ。」


  コナーは母のネリーと共に家に入り、父のアランが帰るまで旅の話を聞かせた。


 「……ただいま。さっきギルドにヤンが来て、コナーを連れて帰ったっ……て。よかった!……あれが最後の会話だったんじゃないかって……俺……!」


「お父さん、もっと父親らしいことしてやりたかったってずっと後悔してたのよ?」


 あれだけ大きかった父親が、膝をついて泣き崩れている姿を目の当たりにして、コナーはまたしても自然に涙がこぼれてしまっていた。


 「さっ!なにはともあれ、こうして三人が揃ったんなら私がすることは一つよね!」


 ネリーはそう言うと台所に立ち料理を始め、アランはコナーの向かいの椅子に座った。コナーは今だけはという気持ちで、アランと他愛ない会話をして、ネリーの作る料理の匂いと音に期待を膨らませた。


 「召し上がれ!」


 ネリーがテーブルに置いた料理はバケットに目玉焼き 野菜のスープに以前までは家庭に並ぶことはなかった魚の塩焼きだった。


 「母さん……これ。」


 「コナーとクロエちゃん、それから海洋調査ギルドの皆さんが頑張った成果だよ。今では街中で美味しい美味しいって、みんな食べてるんだから!」


 「そっか……魚……食べてもらえるようになってたんだ……」

 

 「なぁコナー……お前……。」


 「お父さん。話は食事の後にしましょ?」


 「あ、あぁ。そうだな。」


 久しぶりに食べる母親の味……様々な場所に行き、色々な種族と会話をして、多種多様な料理を食べたコナーだったが、母親の味に勝るものはないと実感した。


 「さぁ、食事も終わったところで。」 


 食事が終わりネリーがナイフとフォークを皿の上に置くと二人は真剣な表情に変わった。


 「コナー。お前の体が雷の神チャクに奪われるというのは本当だな。」


 「……本当だよ父さん」


 「ジョゼフさんから聞かされてから二人で話し合ったんだ、俺たちはどうしてやるべきなのかって。それでわかった。子供のやろうとしてる事を応援してやるのが親の役目だって。」


 三人の目から涙が零れる。


 「本音を言うとな……父さんも母さんも帰ってきて欲しいんだ……!水族館を作りたいってお前の夢を手伝いたかった……!だけど……もう……!」


 「お父さん……。」


 涙で言葉が詰まる父親と心配そうに見つめる母親。既にコナーは自身のした決断が正しいものなのか分からなくなっていた。


 「コナー……これだけは覚えておいて。あなたがこの世界に生まれてきたのは私たちがそう望んだから。決して、世界の犠牲になるなんて悲しい運命のためなんかじゃないの。だからねコナー。あなたが望むならいつだって帰ってきていいんだからね。」


 「父さん……母さん……俺……!」


 コナーが二人に自分の思いを届けようとした瞬間。感じたことのある、おぞましい魔力が街を覆うのを感じ取った。

 

 「パぺティア……!!」

 

  

 

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