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VS コナー・エイベル

いよいよ終盤なので、しばらく毎日投稿になります。



 海での魔人との戦いから一年。ヤン ジル王子 シルヴィ クロエの四人はサンテール王国の修復を手伝うジョゼフたちと別れ、姿を消したコナー・エイベルと大空の神ガブルの捜索に東の大陸を訪れていた。


 「ようやく見つけた……なんで黙っていなくなったんだよコナー!」


 ヤンたちの前に返り血で赤く染った服を身にまとい、魔人のものと思われる紫色の水溜まりの上で敵の頭部を持つコナーが立っていた。


 「みんな……何しに来たの?」


 コナーは無気力な表情で過去の仲間を見て尋ねた。


 「何しにって……俺たちドラン王国から一緒に雷の魔力を集めようって出発した仲間じゃないのかよ!」


 「……やっぱりチャクさんの言う通りにしておけばよかった。みんな、俺はもう一人で大丈夫だから。」


 「大丈夫ってお前……」


 「三つ目のチャクさんの魔力を取り込んでから、まるで自分の体じゃないみたいに力が溢れてくるんだ……ほら、大空の神のガブル様を探してる最中にこれと違う魔人も襲ってきたけど一人で撃退できたんだ。」


 そう言ってコナーは四人の足元に魔人の頭部を投げた。


 「少し苦戦はするけど、もう一人で大丈夫。」


 コナーの言葉に四人の言葉が詰まる。


 「ねぇ……コナー。我儘言ってるのはわかってる……分かってるの。だけどお願い……魔物のことなんて忘れて一緒に帰ろうよ!」


 「クロ……前にも行ったけど、俺は俺の使命を全うする。帰るなら一人で帰ってくれ。」


 クロエに一言言い残し、立ち去ろうとしたコナーを、光の檻が囲った。


 「まだ話の途中だよ。」


 「邪魔をしないでくださいジル王子。」


 「それはできないな。僕はまだ君の口から本音を聞いていないからね。」


 「ドラン王国の王子であるあなたなら分かるでしょう?やる、やらないの話じゃない、俺がやるしかないんです。あなたが俺の立場でもそうしたはずだ。」


 「確かに君は正しいし。僕が君の立場でも使命を全うしようとするだろうね。」


 「だったら……!」


 「だけど、君が僕たちの立場なら同じように止めに来てくれたはずだ。」


 ジル王子の言葉にコナーは出しかけた言葉を飲み込んだ。


 「先に言っておくけど、コナーがなんと言おうと私たちはあなたを連れて帰るつもりだから!」


 ダメ押しのシルヴィの言葉にコナーの視界が涙でぼやける。


 「……悪いけど」


 コナーは泣きそうになった表情を隠すように、空から落雷を落とし檻を壊した。


 「俺の意思は変わらない。」


 「だったらしょうがない……な!」


 コナーの決意を聞いたヤンは、目で追えない程の速度でコナーの体を三人のいる方へと蹴り飛ばした。


 「言ったでしょ、なんと言おうが連れて帰るって。」


 クロエ シルヴィ ジル王子の三人は、それぞれの方法でコナーの体を拘束した。


 「できれば、みんなを傷つけるのは嫌だったんだけど。」


 コナーは易々と拘束を解き、三人の体を掌底で攻撃した。


 「……君は優しいね。今のが掌底じゃなかったら防げなかった……」


 「それが分かるんなら、邪魔をしないでください。」


 幸いジル王子の防御が間に合い難を逃れたが、今のが当たれば一撃で動けなくなるだろう。そう思わせる程の威力に四人は唾を飲んだ。


 「それはできないって、言ってるだ……ろ!」


 背後から勢いよく飛び蹴りをしたヤンの足を、コナーは余裕を持って掴み取り、地面へと叩きつけた。

 

 (コナーくん……。今の君はドラン王国を出たばかりの僕と同じだ。もっと人を頼るべきだ。)


 (コナー……私は子供の頃のあなたに命を助けられた。今度は私が助ける番!)


 (コナー……俺とジル王子だけだと話が弾まなくて困るんだ。絶対に連れて帰るからな!)


 (お願いだから止まって、コナー!)


 四人はそれぞれの思いを胸にコナーと戦った。ヤンは【身体強化魔法】と【魔力循環】で前線を、ジル王子はコナーの攻撃を守る盾として前衛と後衛の間に入り、そしてクロエとシルヴィは後衛から魔法による追撃を行った。


 戦闘は三分間続き、結果としてコナーを止めようとした四人の攻撃はダメージこそ与えられたものの、行動不能にすることはできないまま、自身たちの方が体の限界が来てしまった。


 「コナ……ア」


 コナーの攻撃と魔力の損失により、四人中三人が意識を失うなか。ヤンだけがコナーと向かい合っていた。


 「やっぱ、これじゃお前に勝てないよな。」


 「ヤン……相変わらず頑丈だな。」


 「俺はお前と同じで、獣人から教えてもらった【魔力循環】を使ってるからな。」


 「……もういいだろ。お前一人じゃ俺に勝てないのはわかってるはずだ。」


 「そりゃあ、同じ【身体強化魔法】【魔力循環】を使った状態での肉弾戦になれば神様の魔力を使えるお前の方が強いだろうな。」


 「……………」


 「けど、これを使えば俺は神様とだって戦える。」


 ヤンが深く深呼吸するのを見て、コナーはヤンの意識を奪うため最速の攻撃を繰り出した。


 「……ッ!!」


  コナーの攻撃がヤンに届く……そのギリギリでコナーの体は遥か後方に吹き飛ばされた。


 「【心世一体】……」


 魔人ジャン・パラボーとの戦いでヤンが初めて見せた獣人の技。自身を世界の一部と捉えることで、その場にある全ての魔力を扱うことができる、神にすらも届く技。だが、この技にはリスクがあり、コナーはヤンが使用しないとタカをくくっていた。


 「ヤン……!」


 間違いなく過去、現在を含め最強の人間の戦いが今始まる。

 


 

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