雷鳴
「やったか!」は一度は使って見たかった。
それと次回から終盤に入ります。
「やったか!」
シルヴィにより支配された、魔人の血液は絞り出され、魔人の周囲は赤く染まっていた。
「油断しないで!魔人はまだ生きてる!」
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(冗談じゃないわよ!アイツらに気づかれる前に早くここから逃げなくちゃ!)
魔人は血液を絞り出されている中、咄嗟に【シェイプシフト】を使い、元の大きさに体を戻して失った腕も取り戻した。
(所詮は魚人、空を飛ぶことはできないでしょ!)
魔人は海面から顔を出すと、再び自身の姿を変え羽を生やし飛び立った。
(これも全部人形使いのせいだ!アイツが協力していれば今頃、私は……)
魔人が陸を目指し飛んでいると、空が突然、積乱雲で覆われ暗くなった。
(突然なに!)
魔人が困惑の表情を浮かべていると、背後から男の声が聞こえた。
「奴ら……殺し損ねたか。」
魔人が振り向くとそこには。
「コナー・エイベル……いや、雷の神チャクかしら……」
「どちらでもいい。それにしても……随分と消耗しているようだな。」
(くそ!コイツの存在を忘れていた!どうやったら逃げられる……!)
魔人が必死に思考を巡らせているのとは裏腹にチャクから意外な提案をされた。
「女の魔人よ。私は寛大だ、お前の主の居所を教えるのなら今日のところは見逃してやろう。」
(そんなことをすれば私は…………)
魔人はしばらく考えた。
「ふむ、だんまりか。ならば死……」
「フェルメ様の居所を教えれば見逃していただけるのですね!」
「あぁ……約束しよう。」
(なんとか時間を稼がなきゃ……じゃないと……死)
「フェルメ様は今はとても遠いところにいます!」
「ほう、具体的には?」
「ここよりずっと暖かい場所です!」
「……話にならんな。死にたいのか?」
「こ、ここから東にある大陸です!そこにフェルメ様はいます!」
「東の大陸か……私が生きていた頃はケンタウロスやオーガ、そして人間が生息していたな。」
チャクが過去を思い出していると、魔人が勢いよくチャクの横を抜け飛び出した。
「悪いけど、アンタに本当のことを教えるつもりはないわ!バイバイおバカな神様!」
魔人は会話の中、自身の羽を高速で飛ぶことに特化した形へと変化させていた。
(追ってきてない!どうやら諦めたようね!)
魔人が安堵したのもつかの間、魔人の頭上から雷が降り注いだ。
「あ……が……」
「さっきの言葉をもう一度聞かせてくれないか?私を侮辱するような言葉が聞こえた気がしたんだ。」
先程魔人が遠く離した距離を、チャクは一瞬のうちに縮め、焼け焦げた魔人の頭を掴んだ。
「どうした口が聞けないか?」
チャクの問いかけに魔人は急ぎ返答した。
「こ……今度こそ!本当のフェルメ様の居場所を!」
「あー……そこのことなら忘れていいぞ。お前のような女が奴の居場所を知っているわけないからな。」
「だったら……なんで……」
「遊びに決まっているだろう。お前が必死に思考を巡らせている様は、実に滑稽だったぞ。」
「この……!人でなしがぁ!」
魔人は最後の抵抗で拳をくりだしたが、拳が届く前にチャクの雷の魔力が魔人の体を駆け巡り息絶えた。
「正解だ。私は神だからな。」
魔人が消えた後の空。チャクは一人、誰かと会話をしていた。
「なに?戻らずに先に進む!?だがな、コナーそれは……。はぁ……わかった、わかった。儂らだけで行けばいいんだろ!」
チャクはコナーの体を使い、サンテール王国から遠く離れた東の大陸へと飛び去っていった。




