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異世界冒険録~七柱の神と十の種族~  作者: ネコノトリ
魚人の国『サンテール王国』編
12/63

VSサハギン



 女王様が満足するまで、俺が前世の話をしていると。城の外が騒がしくなってきた。

「女王様大変です!」


「なんの騒ぎですか。騒々しい」


「サハギンの大群が攻めてきました!」


「数は!」


「未知数です!」


「私が出ます!城下の民達には、建物に籠るように伝えなさい!すみませんコナー。話の続きはサハギンを始末してからにしましょう。しばらくここでお待ちください。」


 女王様が兵士を連れて去り、部屋には俺とシルヴィだけが残った。

「……シルヴィってお姫様だったんだな」


「……そっちこそ別の世界の記憶を持ってるなんて聞いてないんだけど」


 部屋にしばらく気まずい空気が流れた。

「はぁ……お互い大変だね」


「そうだな……なぁ、シルヴィ。女王様たちだけにサハギンの相手任せて大丈夫なのか?」


「大丈夫よ、ただでさえ魔力の豊富な海で育った人魚は、人間よりも魔力が多いのにお母様は普通の人魚の何倍も魔力があるんだもの。サハギンの十や二十お母様の相手じ……何あれ……」


「……!?」


 シルヴィが話をしながら窓に近づき外の様子を覗くと、尻もちをついた。俺はシルヴィが見たものが気になり窓の外を見た。窓の外を覗くとそこには王国全体に張られた結界にびっしりと張り付くサハギンの姿があった。


「なんで……こんなことに……」


「シルヴィ落ち着け!あの結界は外からの力で破れるようなものなのか!?」


「今まで破られたことはないけど、あの数ならもしかして……ねぇどうしよコナー!」


「どうするったって……あぁもうここにいても始まらねぇ!門に向かいながら考える!」


「待って!私も行くわ」


 俺とシルヴィは窓から外に飛び出し門へと向かった。

「なぁ人魚は魔力が多いって話してたけど、ということはシルヴィにも大量の魔力が流れてるんだよな?」


「まぁ私もお母様ほどじゃないけど人魚の中だと多い方だとは思うわよ?もしかして何か思いついたの?」


「まぁね、上手くいくかはわかんないけど。一つ思いついた。」


 俺はシルヴィに門へ向かいながら作戦を伝えた。

「お前ここに何しに来た!今は外で女王様が戦っておられる!お前はシルヴィ様と城に隠れていろ!」


「あの数、女王様と兵士だけで足りるんですか?上手くいくかは賭けですが、一つ作戦があるんです!」


「なんだそれは?」


「今は話してる時間も惜しい!早く通してください!」


「わかった、ただし女王様より前に出ないよう気をつけろ、巻き込まれるぞ!」


 門番は門を開けて俺とシルヴィを通してくれた。

「シルヴィ様何故ここに!」


 外では兵士が門を守るように戦い女王陛下は兵士の前に立ち、バカでかい竜巻をおこしていた。

「シルヴィ、魔力を貸して」


 俺とシルヴィは手を繋ぎ、シルヴィから俺へ俺から海へと魔力を流し命令を与えた。

 

 「形よ変われ《チェンジシェイプ》」


 俺の体を通して海に流れたシルヴィの魔力が、みるみるとイメージした生物を形作っていく。

「す……水神様……」


 俺はジョゼフさんから見せてもらった海の怪物の絵を海水で形作った。その姿はまさしく海の大蛇シーサーペントと呼んでも差し支えないだろう。


 俺がシーサーペントにサハギンを飲み込むように命令を与えるとシーサーペントは瞬く間に結界を囲むサハギン全てを飲み込み、俺の元へと戻った。

「……なんですかこれは!コナー、あなたがやったのですか?」


「シルヴィの魔力を借りて俺が魔法を唱えました。ただ飲み込んだのはいいんですが、魔力が限界で維持するのでやっとです……」


「大丈夫です、よくやってくれました、シルヴィ、コナー。一つに纏まっているなら私の魔法で片付けられます」


 女王様は持っていた杖をシーサーペントに向けた。

「潰れなさい」


 女王様が使ったのは魔法は、普通の魔法とは違い、ただ水に言葉で命令を与えただけのものだった。女王様の言葉で、サハギンを飲み込んだシーサーペントは、みるみると縮んでゆき、紫色の血液だけがその場に残った。

「コナー、シルヴィ、二人のおかけで助かりました。コナー今日はもう遅いです、あなたがよかったらですが、今日は泊まっていきませんか?」


 気づけば海の中は暗くなり始めていた、魔物が活発になる時間だ、今から帰るのは危険かもしれない。

「すみません、お言葉に甘えてお世話になります。」


 俺は、一日人魚の国で過ごすことになった。

「コナー、邪魔が入ったが。改めて本題に入らせてもらう」


 俺は食事に招待され、豪華な料理を味わっていた。海の中だと言うのに食卓には牛の肉などが並んでいる。おそらく自分たちにかけたように家畜にも魔法をかけたのであろう。


「本題とは?」


 俺はナイフとフォークを止めて皿の上に置いた。

「最近になって魔物たちの動きが活発になってきています、闇の神が現れるのもそう遠くないのかもしれません。」


「闇の神とはそんなに危険な存在なのですか?」


「わかりません、ただ大地の神なら地上全てを、水の神なら海の全てを操ります、他の神も同じくです。もし伝説の神々の戦いが始まれば今度こそ世界は滅びてしまうかもしれません。そこでコナー、あなたに人間との仲介役を頼みたいのです。」


「仲介役ですか?」


「そうです、人間は私たちを忌み嫌い拒んできましたが、今こそ他種族が手を取り合う時です。その手始めに人の王と語り合うための場を用意して頂きたいのです。頼めますか?」


「善処してみす。ただ私はただの一般人なので、王様との面識などは当然ありません。努力はしてみますが……」


「それで構いません、お願いしますね。明日の朝早くにあなたを地上に送るため兵士を何人かつけます。その兵士は海岸沿いに待機させておきますので御用の際はお使いください」


 話を終え、食事をとると。俺は部屋へ案内され人魚の国で朝を迎えた。

 

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