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03. 魔王軍襲来

夜が明け私とヤトは魔界の奥地目指し更に歩みを続ける、魔界では陽の光は指さないので感覚で時間を把握するしか無かったが、ヤトは魔界での生活で慣れていたのか朝方には目を覚ましていた。


「ニーナはどこ目指してるの?」


ヤトにそう言われ私は少し頭を抱えた。目的地と言う場所は無い、ただ漠然と身を隠せる場所を探しているだけだ。いい加減隠れるのも飽きてきたが、序列持ちと戦うことになるならもう少しだけ準備する事がある。


「とりあえず人目のつかないとこかな」


「だったらヤトいい所知ってるよ」


「ほんと!?」


ヤトは私がそう言うと、嬉しそうな笑みを浮かべマジ!と言うと私を先導して歩き始めた。

流石魔界の住人だ、思いもしない大収穫をしてしまったかもしれない。

ヤトの後をついて行くこと2時間程、岩場のような場所へとたどり着き急に歩みを止めたヤトだったが、私が辺りを見渡しても特に何も見当たらない。


「何にも見えないけど?」


「見てて見てて」


私がそう言うとヤトは地面の落ち葉を払いながらそう言った。

地面の落ち葉を払うとそこには扉のようなものが現れ、ヤトがそれを開くと地下へと続く階段が現れた。ヤトはそれをこれみよがしにアピールするとドヤ顔をして見せた。


「おー!凄いなここ!」


喜ぶ私を見て嬉しくなったのか満面の笑みを浮かべるヤト。私は偉い偉いと言いヤトの頭を撫で、その地下へと続く階段に足を踏み入れた。


階段は意外と深く10mほど地下へと入った所で棺桶のような物が祀られた祭壇が姿を表した。まさか、ここって。


「ヤト…ここって...」


「墓だよ!」


こんのクソガキが!予想通り墓じゃないか!まぁ隠れ家には最適っちゃ最適だが…。

他に行く宛ても無い私はここを一時的に拠点にする事にした。地下には棺桶が祀られている祭壇がある部屋があり、その奥にもう一部屋何も無い部屋があった

私はそこに自身の道具を出し拠点とした。


「所でヤトなんでこんな所知ってるんだ?」


「ここヤトの村の子供たち隠れ家にしてたの」


なるほど、子供がよく作りたがる秘密基地と言うやつなのだろう。

拠点の整備を終えヤトと他愛のない話をしながらゆっくりしていると、突如私の敵探知スキルが作動する。


「ヤト、ここに隠れてな。誰か来たみたいだ」


「わかった」


私はヤトにそう言うと地上へと向かった。敵の数は30人程で恐らく魔王軍か魔物の群れだ。

地上への扉を開き顔を出すとコチラに向かって、全身鎧に包まれた魔物の軍隊が進軍してきていた。幸いまだコチラには気付いていない様なので、私はソッと外に出て扉を閉めると真っ直ぐと軍隊の方へと向かった。

とりあえず先手必勝だな。


「え?…ッあ!」


私は走って一気に距離を詰め先頭を歩いていた1番偉そうな、金色の装備に身を包んだ魔物の顔面に飛び蹴りをぶち込んだ。恐らくこいつがリーダー格だろう

蹴られた魔物は声を上げそのまま後ろへと吹き飛び、仲間数人を巻き込んで倒れ込んだ。

私の予想通り敵は魔王軍の様で、全員が鎧に身を包んでいた。鎧の中を見ると魔物の正体は骨だけで体が構成されている『スケルトン』という魔物だった、スケルトンは衝撃に弱い為それを補うために鎧を着ているのだろう。


「貴様ァ!何をする!」


すると回りに居た別のスケルトンがそういい、手に持っていた槍で私に攻撃しようと突撃してくる。

最初に蹴り飛ばしたスケルトンがやはりリーダーの様で、周りの奴らは銅や銀色の装備に身を包んでいた。


「話聞きたいからとりあえず金のお前以外は用無しだわ」


私はそういい周りのスケルトン達を次々と殴り飛ばしていく。圧倒的な力の前にはコイツらの装備も無意味の様で、殴られた瞬間に鎧は大きく凹み中のスケルトンは粉々に砕け散った。

何とか抵抗しようと槍を振るってきた奴もいたが、雑魚の魔物がいくら私に向かって攻撃しようが一緒だ。その攻撃は私に傷を付けることも叶わず逆に槍の方がへし折れていた。

そしてそんな一方的な鏖殺がしばらく続くとその場には、粉々になったスケルトン達と1人情けない悲鳴をあげながら逃げようとするリーダー格のスケルトンのみとなった。


「逃がさねぇよ!」


私は走って逃げようとするスケルトンの両足を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたスケルトンの両足は鎧ごと吹き飛び、上半身のみとなったスケルトンはその勢いのまま地面に転がり倒れた。


「で、お前ら何でこの辺うろついてんだ?」



スケルトンへの尋問を終えた私は再び地下へと戻ってきていた。

アイツらがこの辺を彷徨いていたのは私がヤトを助ける時に倒したオーク達が原因の様だ。元々何の目的かは分からないがヤトを捕まえてくるように、命じられたオーク達だったが私が消してしまったせいでこの辺一帯に追加の魔王軍が派遣されているらしい。


「ん〜、厄介だな」


厄介な拾い物をしたとは思ったがまさかここまでとは。まぁ、どちみち魔王も避けては通れない道だ。

それにアイツら殺しちゃったからまた別の部隊がこの辺来るだろうし…あー!考えれば考える程面倒臭い!


「ニーナ困り事?」


私が頭を抱えてくるとヤトが私に近づいてきてそう言った。こういう所があるから厄介は厄介だが憎めないんだよなぁ…。


「魔王がちょっとね…」


「ヤト魔王様知ってるよ!」


満面の笑顔でそう言うヤト。

ん?知ってる?


「嘘でしょ!?詳しく教えて!」


ヤトの両肩を抱え私がそう言うと、ヤトはビックリした表情を浮かべたが言葉を続けた。


「今の魔王様は前までヤトの村の近くに住んでたんだ。蜂の姿をした魔物で森で暮らしてたんだけどよく一緒に遊んでた!」


スラスラと衝撃の事実を意気揚々と述べていくヤト。

私は再び頭を抱えそうになるが、とにかく聞くことに専念する。

その後もヤトは笑いながらも話を続けて行った。



「ヤト〜、あまり帰り遅くならないようにね!」


「は〜い!」


人間と魔物の戦争が激化していく中、この村は分かりにくい所に位置しているからなのか魔界の中でも特別平和な日々が流れていた。

いつも通りの平和な日常の中、お母さんの声を背に私は家を出ていつもの場所へと向かった。

最近私には新しいお友達が出来た、その子は村の近くの森の中に住んでる魔物で森からは出てこないから私が遊びに行くしかないの。

森へと到着し奥へと足を踏み入れる。しばらく歩くと色とりどりな花が咲いている花畑のような場所に辿り着く。


「蜂さ〜ん!」


私がそう言うとその花畑の真ん中に咲いている一際大きなヒマワリの様な花から全長5センチ程の蜂が姿を現した。


「蜂さんじゃなくて私の名前は『メリッサ』!今はこんなちっさいけど大きくなったら凄いんだから!」


そんなことを言いながら私の周りをブンブンと飛び回るメリッサ。彼女は蜂の魔物の様で村の外れで死にかけてたのを私が偶然見つけて、この花畑に連れて来て保護してあげた。

死にかけてた時の印象とは真反対に元気に飛び回るその姿に私は嬉しい気持ちが込み上げてくるのを感じた。


「メリッサ今日は何して遊ぶ?」


私がそう言うとメリッサはうーんと考えるとこう言った。


「隠れんぼ〜!」


「えー!メリッサちっさいから見つけれないよ!」


「おいおいなんて事言いやがるこの子は!」


そんなアホなやり取りをしつつもいつものように楽しく遊ぶ私とメリッサ。

2人の無邪気な笑い声は森中へと響き渡り2人ともとても楽しそうな表情を浮かべていた。

だがそんな平和な日常は突然終わりを迎える。


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