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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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肝試しの場所探し


「ここ!どうでしょうか??」


大学から帰るとフランが1枚の写真を見せてきた。

鬱蒼とした古民家の写真。

雑草に覆われていて、長いこと放置されていたのが伺える。

すごくいい感じの雰囲気。

確かにここを使えるなら肝試しにはもってこいに思える。

でも。


「フラン。一緒に探しに行くって約束だったよね?」

「ごめんなさい!待ちきれませんでした!」


今日は大学についてこないと思ったら、一人で探しに行っていたとは。


「でもよくこんな良い感じの場所見つけたね。」

隙間時間で調べてたけど、検索エンジンでは良い場所は全然見つからなかった。

「チューリップ畑に行く途中に有ったのを思い出したんです。」

そう言ってフランは頭を差し出した。

撫でて貰うのを待ってる。

「うん、でかしたよ。フラン。」

一人で行っちゃったのは寂しいけど、褒めるしかない大手柄だ。

これで作戦の成功は決まったようなものだ。


チューリップ畑に行く途中なら距離感的にもちょうどいい。

もし小鳥が大慌てで逃げ出したとしても、山道を転げ落ちたりする心配もない。


「あとは管理人さんから許可を取るだけだね。」

「もちろん既に許可は得ています。」

「え、うそ。」


じゃあもう本当にすることないじゃん。

小道具や衣装はめぐるちゃんと鈴が担当してる。

そうなると私はもう当日までお役御免だ。


「ただ貸していただく条件が2つあるみたいで……。

 念のため、確認していただいてもよろしいですか?」


少し改まってフランはそう言った。

まあ無条件って訳にいかないのは当たり前だ。

掃除とかお金とかならありがたいな。


「一つは掃除に手を貸して欲しいとのことです。

 それは私がするので、任せてください!」

「それは絶対だめ。一緒にしよ。」


胸を張ったフランを窘めた。

なんでも一人でしようとしすぎ。


「だって最近執事らしいことできてないです……。」

そうは言っても、全部フランに任せるのは悪いもん。

それにご飯作ってくれて、歩く時はエスコートしてくれて。

執事らしいことはたくさんしてくれてる。

「私もフランと一緒に頑張りたいんだよ。

 掃除は2人の仕事にしよ?

 みんなとじゃなくて、2人ならいい?」

頭を撫でながら提案したら頷いてくれた。

最近あんまり2人でなにかすることもなかったしね。

掃除でもフランとならきっと楽しい。


「じゃあ掃除は一緒に。

 私も掃除得意なんだから。期待しててね。」

フランが少し笑った。

ちょっと馬鹿にされてる気がする。

でもそれは掃除の時に名誉挽回しよう。


「じゃあもう1つの条件ですね。

 これを見てください。」

フランが1枚の写真を取り出した。

「……え?」

思わず目を疑った。


御札で厳重に封をされた部屋。

明らかに曰く付きの部屋の写真だった。


「ここには入ったり触れたりしちゃ駄目らしいです。」

「ちょっと待って。なにこれ?」


バカでかい鍵に、バカ太い縄。

それに御札によって封じられた扉。

明らかに呪われてる。


「え、ほんとにガチのところ?」

フランは首を傾げている。

なにかわたし、おかしなこと言ってる?


「触れなきゃ大丈夫らしいです!

 お家は広いですし、気にしなければ大丈夫ですよ。」

フランはニコニコとそんなことを言った。

「……ちなみに触れたらどうなるか聞いた?」

恐る恐る聞くと、フランはにこやかにこういった。


「触れて無事だった人は居ないとのことです。

 そんな風に仰ってました!」


でも私が居るから安心ですね。

そうフランの表情は雄弁に語っている。


「……」

明らかにやばい部屋。

でもフランが見つけてきてくれて、もう一度褒められるのをニコニコと待ってる。

でも明らかにやばい……。


「う、うん!これくらいなら問題ないね!

 でかしたよ!フラン!」

天秤はフランの笑顔に傾いた。

だって、フランが楽しそうだもん!

やっぱり嫌だとは言えないって!


そうして場所は確定した。

呪われた古民家。

肝試しにはぴったりすぎる。


ぴったりすぎて、内心震えてしまうほどに。

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