フランへのリベンジ
鈴にボコボコにされて、くすぐり倒された1週間後。
「雛乃、手伝って……。」
「私、ゲーム得意じゃないわよ……?」
私は雛乃の家を訪れていた。
「お嬢様のターゲットには私も含まれてますからね。」
フランが雛乃の腕の中で話す。
そう、今回はフランも私の復讐対象の一人だ。
「だってフラン酷いんだよ!
みんなで私をよってたかって!」
フランもくすぐり倒してやる。
それも私が勝ったうえで。
「お嬢様にならいつでも歓迎なんですけどね?」
「ううん、それじゃ気がすまないの。」
「じゃあ私がくすぐっちゃお。」
「雛乃お姉さま。くすぐったいです!」
雛乃の腕の中でフランがきゃっきゃと笑う。
雛乃、それはさすがにずるくない?
「ゲーム機は鈴がくれたから。
繋いでもいい?」
雛乃が頷いたのを確認して、ゲーム機を接続する。
すぐに壮大なテーマ曲が流れた。
「じゃあ今日は私と一緒にフラン倒すの手伝って。」
雛乃にコントローラーを渡す。
そして私はジョーカーを選んだ。
「あれ?今日は私と練習するんじゃないの?」
雛乃が困惑の声をあげた。
「ううん、2人でフラン倒すの。
私たちが一度でも勝ったらフランくすぐるの。」
本気………?
そう言いたげな目で見られた。
本気も本気。
それでもフランに勝てる気はしないし。
「じゃあほら、雛乃もキャラ選んで。」
「う、うん。分かったわ。
私はこの子にするわ。可愛いし。」
雛乃はプ※ンを選んだ。
ピンクで丸い可愛いポ※モン。
「最初はハンデ無しね。
フランの強さ、知った方がいいだろうし。」
ギミック無しのステージ。
アイテムも無し。
それぞれストックは2つずつ。
一人につき2回やられたら終わり。
私と雛乃の2対1。
「……♪」
フランは鼻歌混じり。
昨日と違ってものすごい余裕を感じる。
戦いが始まってからも余裕は変わらなかった。
鼻歌を歌いながら、私たちを鏖殺していく。
「私のキャラ、武器とかないの!?
ああっ!?寝ちゃった!起きて!」
雛乃はずっとあわあわしていた。
「あ、その技じゃない!!
違う!違うの!!待って!」
私もずっとあわあわしていた。
当然の如く、初戦は惨敗だった。
「ではハンデはいかがなさいますか?」
フランがニコニコしながら聞いてくる。
「とりあえずフランは瀕死からスタートにして……。」
フラン相手にダメージ稼ぐのとか絶対に無理。
一発でも入れば勝ちからスタート。
「あとストックもフランは1にして。」
「かしこまりました。」
これで行けるかな。
フランの使うカー※ィは開始からボロボロ。
私と雛乃のキャラは元気いっぱい。
しかも1回ずつならやられても大丈夫。
「雛乃はキャラ変えなくていいの?」
多分、プリンは上級者向けだと思う。
飛び道具もないから、相手に近づくのも難しいし。
「ううん、どうせだしこの子で頑張るわ。
次はちゃんと寝ないようにする。」
そう言って雛乃はプ※ンをもう一度選択した。
「ふっふっふ。これくらいのハンデなら余裕ですよ。」
フランはまだ余裕の表情を崩さない。
さっきの試合で、私たちのレベルを完全に把握したという顔をしている。
「それではスタートです!」
フランの掛け声でゲームスタート。
今度はさっきよりもずっと有利だ。
一発でも大きい技を当てたら勝てる。
「喰らえ!」
開幕から私はダッシュで突っ込む。
これが当たれば勝てるはず!
「♪」
フランは鼻歌を歌いながら、それをガードした。
そしてそのまま私を軽く吹っ飛ばして距離をとった。
そしてその少しあと、雛乃が動いた。
「わ!え!?あれ!?起きてください!」
そして響く撃墜音。
眠ったのはフランのカー※ィ。
吹っ飛んだのも同じくフランのカー※ィだった。
「……嘘でしょ?」
え?雛乃が勝った?
フランに一瞬で?
「雛乃お姉さま……?
もしかしてさっきは手を抜きましたか?」
フランも自分が負けたことをまだ信じられない様子だ。
信じられないと言った表情で雛乃を見ている。
「ごめんなさい。
本当は1週間前からすごく練習してたの。」
そう言って雛乃は髪をかきあげた。
先週の一件はめぐるちゃんから聞いていたらしい。
そして私が復讐に来るのを予見しためぐるちゃんが雛乃に練習してもらうようにお願いした。
結果、2人でみるみると上達したらしい。
「でもフランに勝てるのはおかしくない??
フランだよ?すごく強いんだよ??」
「だってハンデと油断があったもの。
もう1回やったらボコボコにされちゃうわ。」
そこまで言ったところで、『カー※ィ!』とキャラクター選択音が響いた。
「もう1回!もう1回お願いします!
次は負けないです!」
フランの再戦要求。
それに雛乃は余裕の笑みを浮かべた。
「もちろんいいわよ。
でもその前に……。」
「新入り、一緒にフランちゃんに罰ゲームしよ?」
そう言って悪戯に笑った。
「わ!お嬢様!ちょっと待ってくださいっ!
ふふふっあはははっ!雛乃お姉さまも待ってっ!」
2人でくすぐるとフランはそれはそれは楽しそうに笑った。
私の出番は無かったけど、これでフランには復讐完了。
フランも楽しそうだし、私も満足。
ちなみに、油断の無いフランにはどんなにハンデを増やしてもボロ負けだった。
さすがフラン。とても強い。




