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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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いつものメンバー+1


「ねぇ聞いてよ小鳥っちー。

 こいつにナンパ邪魔されたー。」

「キャプテンさんと店長さんナンパしたんだよ。

 殴って正解だよね?」


小鳥は私の頭を撫でた。

やった。正解だった。


「みゆちゃんとめぐるにナンパしたら殺すからな。」

「しないよ〜。2人もよろしくなー。」


鈴が差し出した手をめぐるちゃんは握った。

みゆちゃんは小鳥の陰から出てこなかった。


「このひとはだれ?」

みゆちゃんはまだ警戒モードだ。

鈴は雰囲気が軽薄そうだし仕方ない。

「俺は鈴。よろしくな、みゆっち。」

今度は握手に応じた。

まだ顔は警戒してるけど。


「めぐめぐもよろしくな。

 めぐめぐめっちゃ可愛いね。彼氏いる?いだっ!」

私が手を出すよりも早く、小鳥が叩いた。

でも私も殴っておく。

「いだいっ!2人ともヒドくない??」

警告を無視する方が悪い。


「ご、ごめんなさい。

 私、好きな人がいるので……。」

めぐるちゃんは丁寧に振っていた。

こんなやつ、ビンタでいいのに。


「めぐるちゃんは私のだから、手を出さないで。」

「ちげぇよ。めぐるはあたしのだ。」

「わ、私のために争わないでぇー……」


恒例の茶番。

何度やってもめぐるちゃんは幸せそう。


「いいなー。俺のことも取り合ってくれよ。

 2人とも俺の元カノだろ?なぁー?」


意味の分からないことを言い始めた。

とりあえずもう一回叩くか?


「わ!拳下ろして!冗談だよ!!

 お前らに振られたことはちゃんと覚えてるって!」

降参の意を示したから許しておこう。


「ふたりにもなんぱしたの?」

「うん、こっぴどく振られたー。

 俺、わんわん泣いたんだぜ。」


また適当なことを言ってる。

振られてもケロッとしてた癖に。

すぐ嘘ばっかりつくのは殴られたいんだろうか。


「お嬢様お嬢様。」

フランが小さな声で耳打ちしてきた。

フランも何か思うことがあるのかな?


「……お肉、焼けてますよ。」

そういう訳では無かった。

今は私のお世話を焼くことに夢中らしい。


「その子、サッカー強かったよなー。

 プロかなんか?」

「私は完璧なので、サッカーもできるだけですよ。

 完璧なので、お肉も焼くの上手です!」

そう言ってフランは焼いたお肉を鈴に分けてあげた。

「あー……わりぃ。

 まだご飯食べれる気がしねえ。

 小鳥っち代わりに食べて。あーん。」

鈴が小鳥に渡されたお肉を横流しした。


「確かにフランが焼いたやつの方が旨く感じんな。

 みゆちゃんにも一枚焼いてあげてくれ。」

小鳥に頼まれて、嬉しそうにフランがお肉を焼き始める。

「たしかにおいしい。

 わたしもやいてみていい?」

みゆちゃんも上手そうだけど、それは止めておいた。

まだ小学生のみゆちゃんには危ないし。

「みゆちゃんがもっとおっきくなったらね。

 楽しみにしてるよ。」

そう言うとみゆちゃんは頷いてくれた。


「そういえば、今は彼女いるの?

 彼女居るのにナンパしてるわけはないよね……?」

そういえばこいつは平気で二股するような奴だった。

場合によっては、有害指定してみゆちゃんやめぐるちゃんの前からは排除しなきゃいけない。


「ん?居るよ。」

うわぁ……。

まじで有害だった。

どうしよ。排除しなきゃじゃん。


「そんな目で見るなよ!

 ちゃんと彼女からは同意貰ってるし!」

「本当に?そう強制してるんじゃなくて?」


正直、すごく信じがたい。

急に旅行キャンセルしてどっか行っちゃう女だし。


「ちょっと待ってろよ!今電話してくるから!

 本人に証明させてやるよ!」

そう言って鈴はお店の外に出ていった。


それから3分後。


「……」

すごくとぼとぼと帰ってきた。

「えっと……どうしたの?」

聞いてほしそうだったから聞いてあげる。

「……もうとっくに別れたと思ってたって。

 1年ちょっと空けただけであんまりだよ……。」

自業自得を極めてる。

むしろその彼女さんが可哀想だ。


「そのうち刺されても知らねぇからな。」

小鳥が諦めの入った声で言う。

「それで死ねるなら本望だぜ。」

鈴はそう言ってカッコつけて笑った。

頼むから相手の女の子の経歴に傷をつけるのはやめてほしいけど。


「ラストオーダーの時間です。

 何かご注文はありますか?」


店員さんに声を掛けられて時間に気付いた。

いつの間にかもう宴も終わりの時間が近づいてきている。

お腹ももうはち切れんほどに膨らんでいた。


「お嬢様?何かご注文はありますか?」

「私はもうお腹いっぱい。みんなは?」


皆ももうお腹いっぱいだったみたい。

追加の注文をする人はいなかった。


「じゃあ主催から最後の挨拶頼む。」

「えー……しなきゃ駄目?」

「駄目」


小鳥が手を叩き、皆の注目が集まる。


「今日はみんなのおかげですごく充実した1日になりました。

 試合結果は31-0とズタボロでしたが、すごく楽しかったです!

 またこのメンバーで集まれること。

 そして次は1点でも取れることを祈願して……。

 お手を拝借!あ、一本締めで!

 よーぉ!」


パンっ


乾いた音が1回。

それで打ち上げはお開きとなった。

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