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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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最後の練習 前編


ついに明日がサッカーの本番。

今日が最後の練習日。

私とフラン、小鳥に雛乃、メイドさんが3人。

それにマネージャーであるみゆちゃんとめぐるちゃん。

店長さんを除いて全員集合。

フットサルコートを借りての練習だ。


「今日は実践に近い練習するから。

 私とフランチームとそれ以外。

 チーム分けに異存はあるか?」


ないでーすと皆で言う。

2対5。

だけど油断はできない。

個人のスペックは向こうが遥かに上だ。


「お嬢様。本番は明日ですからね。

 無理はしないでくださいね。」

フランが私の手をぶんぶんと振ったあと、敵コートへ。


向こうはフランがゴールキーパー。

小鳥が……なんていうんだろ。

その他ぜんぶ担当?


「雛乃!ディフェンス任せたよ!

 ゴールは任せてね!」

「うん、頑張るわ。

 新入りも頼りにしてる」


雛乃はディフェンダー。

フットサルだとまた言い方が変わるらしいけど、そこはサッカー練習だし。

攻撃はメイドさんたちに任せる陣形だ。


「じゃあ行きますよー!みゆちゃん、笛おねがい!」


ピィーー!


みゆちゃんのホイッスルで試合が始まった。

メイドさん達がボールを蹴り始める。

敵のディフェンダーは小鳥一人。

小鳥も体力を温存してるのか、深追いはしてこない。

私を除いた全員が敵のゴール近くへ。


「行くよ!フランちゃん!」

何度かパスを回したあと、メイドさんがシュートした。

だがそれは敢えなくフランに止められた。

「小鳥お姉様!お願いします!」

フランが小鳥にボールを投げた。

そして小鳥は一瞬で4人抜いてゴールを決めた。


予想はしてたけど、圧倒的だ。


「今日の目標は私たちから1点とることな!」

小鳥が自陣に戻りながらそう言った。


それから同じ流れで3点取られて気付いた。

これは無理ゲーだと。


私も含めて5人でパスを回しても、フランはその圧倒的な反射速度で全てのボールをキャッチする。

そして小鳥がフランからのパスを受けて、速攻でカウンター。


5対1でもフランを超えられない。

5対1でも小鳥を止められない。

点差は着々と開いていく。


「ふふん」

フランのドヤ顔も敵にすると恐ろしい。

こっちのチームはどんどん息が荒くなってきている。

向こうの2人は一切息が乱れてない。


「タイム!」

少し仕切り直し。

このままじゃ絶対勝てない。


「ねえ、今日だけみゆちゃんチームに入れてもいい?

 2人なら危なくないようにプレーできるでしょ?」

とりあえずこれはマスト。

うちのチームは攻撃力が足りてない。

みゆちゃんという主砲は絶対に必要だ。


「もちろんいいですよ!

 みゆちゃんも一緒に遊びましょう!」

「ありがと。フランちゃん。

 てかげんはしないからね。」


2人が喜んでるのを見て、小鳥もそれを止めることはしなかった。

これでだいぶ勝てる確率は上がった。


「じゃあちょっと作戦タイムするから!

 2人は遊んでて!」

2人に告げて私たちは円になる。


「とりあえず1点取らなきゃだよね〜」

「だね!10点差だけど1点取れば勝ちだもんね!」

「フランちゃんのドヤ顔可愛すぎる……。

 試合に集中できないよ!」


メイドさんたちも頑張ってくれてる。

私もどうにか頑張らないと。


「新入り?なにか作戦とかあるかしら……?」

雛乃が上目遣いで聞いてきた。

「私も考えてるんだけど……。

 サッカーの作戦とか分からないし……。」

そもそも今やってるフットサルとサッカーの違いもよく分かってない。

頭を捻ってもいいアイデアは浮かばなかった。

「サッカーじゃなくてもいいよ!

 2人の弱点とかない?」

メイドさんに言われて少し視点を切り替える。


「あ、それならもしかしたらいけるかも……!」


みんなに作戦を伝えてコートに戻る。


「作戦は決まったか?」

「うん、ばっちり。覚悟してね。」


私たちは睨み合う。

絶対に小鳥とフランをぎゃふんと言わせる。

それが今日の目標。


「……でもそれ疲れない?」

小鳥はめぐるちゃんとフランを乗せて馬になっていた。


私たちのチームとは裏腹に、小鳥とフランチームは緊迫感など微塵もなかった。


絶対に1点取って褒められてやる。


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