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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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めぐるちゃんへのやりかえし


「めぐるちゃん、今ひまー?

 ちょっと私の部屋来れる?」

「え、はい。暇ですよ。」


ランニングが終わって練習前の時間。

サッカー練習の前に今日はやらなきゃいけないことがあった。


めぐるちゃんが私の部屋に入ったことを確認して後ろ手に扉を閉める。

 

「暇してて良かった。」

「なんのようですか?」

「いやいや。」

「……?」


首を傾げるめぐるちゃん。

私はじわりじわりと部屋の奥へと追い込んでいく。

布団は敷きっぱなし。

フランにも小鳥にもみゆちゃんにも了承を得ている。


「え、えっと。王子様?」

「前に言ったよね。」

「な、なにを……?」

「今度仕返しするって。」

「きゃー!」


めぐるちゃんを布団に押し倒す。

くすぐりの仕返しだ!


「きゃー、やめてー」

にしてもめぐるちゃんはすごく嬉しそうだ。

嫌がる演技が全くできてない。

悲鳴もただの黄色い歓声だったし。

なんなら部屋に入った瞬間から、何かを察してニヤニヤしてた。


でも仕返しは仕返し。

思いっきりくすぐってやろう。


「ぐへへ。どこからくすぐってやろうか。」

「王子様!もっと耽美な感じがいいです!」


リクエストされてしまった。

仕返しなのに。


「う、うん。ごほん。」

一度だけ咳払い。


「さぁ可愛いめぐる。もう逃げられないよ?」

「……ひゃぁ」


めぐるちゃん楽しそうだな。

顔が真っ赤になった。

でも本番はこれからだから。


「ほら、靴下脱がすよ」

めぐるちゃんの靴下をゆっくりと脱がす。

「……」

めぐるちゃんは唇を食いしばってる。

痛みでキャパオーバーを避けようとしてるのかな……。


「これ、本当に続けて大丈夫……?」

「大丈夫です。続けてください。」


食い気味に答えられた。

めぐるちゃんの足の裏に指を当てる。


「どう?くすぐったい?」

めぐるちゃんは唇を噛み締めたまま。

効いてるのか全然分からない。


「じゃあこれからが本番だよ」

めぐるちゃんの服の中に腕を潜り込ませる。

そしてお腹をくすぐる。

「ふふっ。抵抗しちゃ駄目だよ。

 これはお仕置きなんだからね。」

耽美ってこれで合ってるよね。

自信が持てない。


「涎なんて垂らして……。

 いけない子だね。」

めぐるちゃんが咄嗟に口を拭こうとした。

私はその手を押さえつける。

「動いていいなんて言った覚えはないよ。

 ほら、私に身を委ねて……。」

めぐるちゃんが目を閉じる。


薄暗い部屋の中、私はめぐるちゃんのお腹をなぞる。


「はい、ストップ」

ことりが手を叩いた。

「お嬢様。やりすぎです。」

フランに嗜められた。


「小鳥ちゃん!フランちゃん!

 良いところだったのに……」

口を尖らせるめぐるちゃん。

そんなめぐるちゃんに小鳥はデコピンした。


「痛い!」

めぐるちゃんがおでこを抑える。

「お前、どこまでさせる気だった?」

小鳥がニコニコとめぐるちゃんに言った。

「う……」

めぐるちゃんが黙り込んだ。

「えーと……びーくらいまで……?」

もう一回めぐるちゃんはデコピンされた。


「めぐるお姉様。独り占めはずるいです。」

フランもめぐるちゃんにデコピンした。

「じゃ、じゃあフランちゃんも良ければ……いたっ!」

小鳥がまためぐるちゃんにデコピンした。

すごい勢いでデコピンされてる……。


「おい、バカ。こっちこい。」

小鳥がニコニコと私を手招きする。

え、なに、こわい。

恐る恐る近寄る。


「痛いっ!」

そして思ったとおり、デコピンされた。


「よし、じゃあ練習行こうぜ。」

そう言って小鳥が立ち上がった。

「う、うん」

私はおでこを抑えながら小鳥に着いていく。


「……のに……」


後ろから小さい声が聞こえた。


「フラン」

私は指を鳴らす。

「はい!かしこまりました!」

そう言ってフランがめぐるちゃんの小さな声を復唱した。


「小鳥ちゃんも混ぜるのに……と言ってました!」

「王子様!フランちゃん!」


前を歩いていた小鳥が振り返る。

そしてそのままめぐるちゃんに近寄ると、めぐるちゃんの上に馬乗りになった。


「こ、小鳥ちゃん!優しく!優しくして!」

「2人はちょっと先練習してろ。

 私はめぐるにちょっとお灸を据えてから行く。」

「う、うん。お手柔らかにね。」

「めぐるお姉様!頑張ってくださいね!」


後ろからデコピンのぺちんって音が何度もする。


「ふふっ」

私はその音を聞いてつい笑ってしまう。


「お嬢様?どうかしましたか?」

「いや、めぐるちゃんが羨ましいなって思ったの。」

「デコピン、されたいんですか?」


フランがすっと指を構える。


「違う違う!小鳥とすごく仲良くなってるから!」

そう言うとフランも頷いてくれた。

「2人も仲良しですもんね。

 すごく微笑ましいです。」

ニコニコとフランも言う。


小鳥とめぐるちゃんもずっと一緒に居られたらいいな。


そんな風に願いながら、私たちはサッカーの練習を始めた。

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