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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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最後のメンバー?


「それじゃあ今日は頑張ってくるね。」

「いってらっしゃい!お嬢様!」


今日はメイドさんたちが家にサッカーの練習に来る。

私は普通の人の練習にはついていけないし、今日は単独でメンバー探しだ。

メイドさんたちはフランが目当てだし、小鳥も一緒だから任せてしまっても大丈夫だろう。

私は私の任務に集中しなければ。


大学の授業を受けて、あとは学内をウロウロ。

声を掛けられそうな人……。

できれば1人で、あんまりキラキラしてなくて、怖くなさそうな人。

サッカーしたいぜーって言ってる人は居ないだろうか?

居るわけがなかった。


1時間ほど構内を彷徨ったが、めぼしい人は居ない。

11人まであと3人。

でも小鳥とフランは運動能力で言えば2人分はある。

だから最低でもあと1人居ればいいかなって思ってる。


「……でもあとの1人が見つからないなー。」

ベンチに座って独りごちる。

フランが恋しい。

もう半日もフランと会えてない。

メンバーは見つからないし、フランとは離れ離れ。

なんとなく悲しくなってくる。


「あとの1人ってなんのことですか?」

「うわ!」


急に話しかけられてびっくりしてしまった。

知らない子だ。


「人手が足りないんですか?

 僕で良ければ手伝いますよ!」

「えっと、君は?」

「僕は1回生の結城ゆうきこのみです!

 あはは、こう見えて女の子なんですよ。」


気になっていたことを先回りされてしまった。

このみちゃんの見た目は性別不詳って感じだ。

むしろ男の子に近い。

サルエルパンツにぶかっとしたパーカー。

声は女の子だけど、見た目だけだと判断が難しい。


「それで人が足りないってどういうことですか?」

でもこれはすごく嬉しい申し出だ。

このチャンスは絶対にモノにしたい。


かくかくしかじか


「サッカーのメンバーを集めてるんですね。

 僕で良ければ力になりますよ!」

「ほんとに!?すごく助かるよ!」


このみちゃんの手を取って感謝を伝える。

このみちゃんはへへっと嬉しそうに笑った。


「あ、でも1個だけお願いしたいことがあります。」

このみちゃんは一転して深刻そうな顔をした。

お願い?できることならなんでもするけど。


「駅前にカップル限定のパンケーキがあるんです。

 不躾なお願いですが、一緒に食べてくれませんか?」

「それくらいなら全然大丈夫だよ。

 私が奢ってあげる。

 報酬の前払いってことで。」

「わ!そんな!ありがとうございます!」


そうして私はまた1人メンバーを獲得した。

そう思って、浮かれていた。


このみちゃんの怖さも知らないで。

それを知るのはこの少し先。


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